コロナをきっかけに、これまでの暮らし方を見直し、もっと自分らしいスタイルに換えていこうとする「換え活」というマインドがトレンドになっている。
シニア世代が「換え活」をプランニングするにあたり、まず考えるべきは、人生100年時代となり雇用年齢が延長されたことで、これまでのシニアに比べて現役で過ごせる時間がずっと長くなっているということだ。
例えば60歳定年の時代、50の坂を上り始めると老後が頭にチラつきだしたというが、今の50代であればこの先20年、60代でも10年以上はアクティブに行動することができる。50代で老後を意識しすぎてネガティブに丸まってしまうのはまだ早い。「換え活」をチャンスととらえ、よりポジティブに、もう1度自分らしいライフスタイルを取り戻してみてはいかがだろう。
1.豊かな人生を探すヒントは「換え活」にあり
「換え活」の方法は多様であり決してひとつではない。“自分らしさ”がそれぞれ違うように、100人いれば100の「換え活」ストーリーがある。「換え活」を始める一例として、ここでは50代男性2人が実践する「換え活」を紹介する。
A 飲み会の時に言っていた家のリフォーム、もう終わった?
B ようやくね。50にして念願の書斎をもつことができたよ。若い頃からの夢だった壁一面に書棚を設え、机や椅子は長時間使っても疲れにくいタイプにこだわったので、毎日が快適そのものだ。会社のリモートワークも書斎を使っているんだ。
A うらやましいね。男の城を手にいれると、何事にも集中できるだろう。
B 実は書斎を作ったのはもうひとつ理由があるんだ。社会人大学院に通ってMBA取得を考えている。これまでの仕事の体験やスキルを活かして、ゆくゆくはコンサルをしたいと思っているんだ。まあ、あくまで夢だけどね。そのための勉強部屋であり、仕事に発展できれば、オフィスとしても活用したいと考えている。
A Bさんは社内でも勉強家で知られているからな。いい選択だといえるね。
B 早朝の時間を使って勉強をしているせいで、最近は飲み会に行く機会も減り、午前4時30分には起床する朝型の生活に変わったよ。眠気覚ましに早朝ウォーキングを始めたせいか、近頃は体調もいいね。
A 僕らは70歳まで現役を続けられる世代だから、あと20年も何もせず守りに徹してのんびり余生を送るという気分にはなれないね。Bさんの、50代からのチャレンジはポジティブに暮らしていく上でもとてもプラスになるね。
B 私がやっていることは、今の言葉でいうと「換え活」というそうだ。少し大げさかもしれないけれども、私は「個室」を「小型オフィス」に「換え活」したといえるかな。Aさんも自然と「換え活」をやっているかもしれないよ。
A 生活の変化といえば、少し前に家電や大き目の二段ベッドが付いたキャンピングカーを買ったことかな。もともと山歩きとカメラが趣味だったけど、もっといいシーンを撮りたくなってね。好きな時間に現地に赴き、風景や植物、天体などを撮影している。車中泊ができるので、時間に縛られることなく自由に趣味を満喫している。実はもうひとつ目的があって、クルマで旅をしながら、最高のロケーションがあればいずれ移住をしたいとも考えているんだ。
B 目的に向けてアクティブに生きていくことは立派な「換え活」だよ。しかも、その一歩としてクルマを「移動空間」から「居住空間」に「換え活」しているんだから。
A 「換え活」でお互いいつまでもポジティブに、年齢を積み重ねていけるといいな。
2.「換え活」は自分を向上させるためのチャンス
「換え活」は十人十色。始め方もいろいろで、身近なところでは「商品やサービスなどの選び方を変える」ことも、「換え活」のひとつだ。タイムカレントが全国の20~69歳の男女1000名を対象に行った調査によれば、「商品やサービスなどの選び方を変えたり、変えたいと思った」と回答した人は52.1%。コロナ禍やSDGsブームを背景に、自分のライフスタイルを重視する「換え活」傾向が進んでいることがわかる。
こうしたデータから、「換え活」に詳しいファイナンシャルプランナーの飯村久美さんは、「換え活が広がる兆しを実感した」とした上で、「よりよい商品、サービスに乗り換え、自分にとって本当に必要なもの、合ったものを選び、自分のライフスタイルを向上させることも『換え活』です」と語る。
アフターコロナに向けて、消費者の「選び方」に変化の兆しがあることがわかった。
実際に「変えた」ものは「投資」(21.6%)、「友人との付き合い方」(18.8%)、「趣味・レジャー」(14.4%)という結果に。
「変えたい」と思ったものは「趣味・レジャー」の回答が27.4%と最も多く、「投資」(25.7%)、「友人との付き合い方」(16.0%)、「ファッション」(14.8%)と続いた。
「逆に選び方のあまり変わらなかったものが『レンタル系サービス』、『シェアリングサービス』や、『駐車場代』、『自動車保険』です。一度契約すると見直しが難しいことが手つかずの理由として挙げられますが、こうしたものも自分のライフスタイルに合ったものを探してみることをお勧めします」(飯村さん)
飯村さんは「換え活」のメリットとして大きく2つを挙げる。
「無駄なモノ削ぎ落し自分に必要なものをチョイスしていくと暮らしも豊かになる」
「自分のライフスタイルを向上させていくチャレンジでありチャンスである」
加えて「換え活」のコツを、身の回りのさまざまなことにアンテナを張ることだといい、「自分らしいライフスタイルを追求していってほしいと思います。1つでも2つでも実践することで人生が豊かになっていきます」と、飯村さんは「換え活」を始める人にアドバイスを送った。
3. 「換え活」がゼロからわかるポータルサイトがスタート
「換え活」に興味を持った人、自分も「換え活」でライフスタイルを向上させたいと思った人に向けて、「換え活」をゼロからスタートするための様々な情報をまとめたポータルサイト「換え活スタイルラボ」が誕生した。「食」、「お金と暮らし」、「健康と美」、「ファッション」、「カーライフ」、「エンタメ」、「便利」、「安心」など全10ジャンルから関心のあるカテゴリーを選び、より自分に合った「換え活」のヒントを見つけることができる。
例えば「お金と暮らし」ではキャッシュレスに換えて暮らしをより快適にする「換え活」や、「スポーツ」や「旅」の新しい楽しみ方を詳しく解説した記事が順次アップされる。さらに、今までなんとなく更新してきた自動車保険なども、「自分目線」で一度見つめ直すいいきっかけとなるだろう。
サライ世代にとって、人生100年時代を見据えて「換え活」をはじめるなら、今がちょうどいいタイミングだ。
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構成・文/安藤政弘