従来からお香典を渡すことは、「お世話になった方へお金を包むこと」とされていますが、本来の意味は「仏前に香を供えること」です。葬儀のやり方が多様化する現代でも、基本的なことは変わりません。

この記事では香典のマナーについて、京都日葬(https://kyoto-nissou.com)の阿部 雅がご紹介いたします。

目次
香典のマナー
渡し方のマナー
最後に

香典のマナー

香典のマナーについて一番大切なことは、故人を思いやる気持ちではないでしょうか。

香典の金額はどれくらいが適切?

様々なお付き合いがある中で、香典の適切な金額、相場を把握しておくことも重要です。ただ、無理のない範囲で構いませんので、お悔やみの気持ちを込めてお渡しすることを忘れないでください。

一般的な相場は、こちらをご参考になさってください。

両親 10万円
兄弟姉妹 5万円
祖父母・叔父叔母・従妹 1万~3万円
友人・知人・職場の同僚 3千円~1万円

年齢や環境によって、自分ができる範囲で判断していただくことが大切です。

葬儀に関しては考え方が柔軟になってきましたが、偶数の金額や新札は、今でもマナー違反とされております。せっかくのお気持ちを無駄にしないようにお気を付けください。例えば1万円では少ないし、3万円では多いという場合なら、お香典を1万円にし、もう1万円は供花などのお供えにしていただく方法もあります。こちらをご参考なさってはいかがでしょうか。

香典袋の書き方は?

香典袋と言いましてもたくさんの種類があり、宗教によって表書きが異なります。その中でも特に代表的な書き方の例を挙げますので、ご参考にしてください。

仏教は「御霊前」(浄土真宗は除く)、「御香典」
キリスト教は「御花料」
神道は「御玉串料」

このほかにもたくさんの書き方があります。葬儀に参列する前に、宗教・宗派などを把握することは困難です。ですから、基本的には「御香典」で問題ないと思います。お渡しする際に一言「何もわからなくて… 」と添えていただくだけで、喪主様のご理解もいただけることでしょう。

香典袋はいまやコンビニ等で、簡単に購入できるようになりました。販売されている商品に間違いはないと思いますが、黒白に結び切りの水引となっております。一つアドバイスするのであれば、葬儀の際は金額に関係なく、水引が付いている袋の方がより丁寧です。水引が印刷されている袋もありますが、そちらは法事や法要の際に利用されたらよいでしょう。

また、香典袋には諸説ありますが薄墨が良いとされております。しかし、葬儀に日々立ち会わせていただいておりますと、薄墨で書かれている方は少なくなっております。昔は筆ペンなど便利なものがなく、墨を磨る際に薄く調整できたのかもしれません。お時間がある際は薄墨をご用意できれば一番良いのですが、最近は筆ペンそのままの濃さで書かれていても、失礼にはあたらない風潮になってきております。

なお、香典袋には金額を必ず記入してください。普段使用する漢数字ではなく「旧字の書体」で書くことが通例です。壱(1)、参(3)、伍(5)、仟(千)、萬(万)、壱拾萬(10万)がよく使われる例です。いつか必ず使用する場面が訪れるはずですから、頭の隅にとどめておいてください。

渡し方のマナー

昨今では家族葬が多く、以前のように受付が用意される葬儀は少なくなってきました。

直接手渡しする場合

受付が簡素化されている場合、香典は喪主様に直接お渡しすることが一番良いでしょう。袱紗(ふくさ)に入れ、相手に名前がわかるようにお渡しください。香典袋のままではマナー違反といわれる方もおりますが、常に準備できているものはありませんので、そのままでも一言謝罪を入れたら問題ないと考えます。

重要なのは、タイミングです。通夜・葬儀を問わず、開式ギリギリのタイミングでお渡しすることで、ご迷惑をおかけしているケースを多々お見受けします。開式前は、進行の段取りや準備等で時間がありません。そんな中で一人一人の参列者と挨拶をかわすことは難しいでしょう。

参列は故人の弔いの場ですから、少し早めに来場し、「生前は大変お世話になりました、気持ちなのでお受け取りください」など、短めの挨拶を添えて香典を渡し、開式の時間まで静かに待機することが、ご家族にとって一番助かるのではないでしょうか? 開式ぎりぎりに来場され、長々と話をされることはマナー違反です。これにより開式が遅れることもしばしばありますが、先に来られて待たれている方や宗教者、またはご家族の皆様にご迷惑をおかけすることになるのでご注意ください。

開式ぎりぎりになった際は慌てることなく、式後落ち着いた時を見計らい、そっと喪主様にご挨拶してください。または葬祭スタッフに一言お声がけするのもよいと思います。失礼のないように声をかけるタイミングを教えてくれることと思います。

郵送する場合

葬儀に参列できず、郵送にて香典を送ることもあるでしょう。「いつ送ればよいか?」など聞かれることもありますが、個人的には訃報を聞いたらすぐに郵送することが、一番いいと思います。その行動の想いは、喪主様をはじめとしたご家族の方に一番わかりやすく届くのではないのでしょうか? 

その際に必ずお手紙を一緒に送るようにしてください。弔いの言葉から始まり、自己の紹介、想い・思い出、お礼、そして、必ず香典を同封していることを書き添えることを忘れないでください。

香典辞退されている場合

ご家族のみで執り行う葬儀が増え、参列をお断りすることが多くなりました。これにより香典を辞退されるケースが増えております。将来は、生前お世話になった方へお礼ができない、葬儀の場面では香典ができないとなるのでしょうか。お礼ができない寂しさはぬぐえません。

私は参列が許される際は、辞退されていても香典は用意するようにしています。喪主様に挨拶する際に、直接渡してみて、それでも断られるようでしたら諦めます。気持ちだけでも受け取って欲しいものです。どうしても受け取っていただけない場合は、お花をお供えしてあげるのもよいと思います。参列の際にお線香や菓子折を持参することもご家族には思いが伝わるのではないでしょうか。一つの参考にしてみてください。

最後に

一昔前の葬儀を思いますと、ご自宅やお寺、葬祭ホールで葬儀をする際は、受付帳場がいくつもありました。そして、開式前に香典を受付にお渡しして記帳した後、お焼香の時間を待つ……。この形が通例でしたが、今は家族でゆっくり送り出す形が主流になりました。お香典やお供えは迷惑になるからご辞退する、との考えが多くなりましたが、少し寂しくも感じております。相互扶助という助け合う心や、伝えられてきた良い部分を残していくことが、日本独自の弔いの形、文化の継承につながると思います。

●執筆/阿部 雅 京都日葬( https://kyoto-nissou.com

「毎日のことから万一のことまで」地域を支える京都日葬グループ
不安から安心へ~をモットーに、様々なご相談にお応えしている。変化していく宗教観、家族観の中で弊社ができることは何か? なんでも相談できる集団であり続けることが、お客様の不安を安心に変えられる一番の方法だということを実感し、独自の京都日葬グループを確立。

●構成・編集/京都メディアライン(https://kyotomedialine.com FB

 

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