東北きっての有名な2つの秘湯を手軽に楽しめる
全国の名だたる温泉を訪ね歩く“名湯巡り”が人気旅行になって久しい。簡単な旅支度で出かけることのできる手軽さから、シニア旅としてはすっかり定番化している。
そんな便利な時代になっても、なかなか出かけるきっかけがつかめず、いまだ多くの温泉愛好者の憧れとなっているのが、人里離れた大自然の中に、こんこんと湧きでる“秘湯巡り”であろう。秘湯は隠れ湯などといわれるように、もともと交通の便の悪い辺ぴな地にあることから、列車を乗り継ぐだけで容易にたどり着けるわけではなく、マイカー旅行でもその道のりをみて尻込みすることも。しかし、不便さゆえ、時間がおだやかにゆっくりと流れ、貴重な日本の原風景がある。今も残る古き佇まいや手つかずの自然にはロマンを掻き立てられるものだ。
とりわけ折り紙付きの効能をもつ源泉を有する秘湯が数多く存在するのが本州最北の青森県である。例にもれず、いずれも市街地から遠く離れた辺境にあるが、しみじみとみちのくの旅情を味わいながら秘湯巡りができるのが、旅行の大手「JTB旅物語(中部)」が提供する新ツアーコース、旅物語プレミアム「憧れの秘湯不老ふ死温泉に泊まる(2泊目)2つの秘湯と白神山地・青池・奥入瀬渓流3日間」だ。
2泊3日の行程で、一度は行ってみたい2つの秘湯を楽しめるプランで。1人10万円と料金も懐にやさしい。出発日によって酸ヶ湯温泉旅館と、「ランプの宿」で有名な青荷温泉から選ぶことができるのも特徴であり、2日目は、日本海の眼下にどこまでも広がる大海原を眺めながら湯浴みのできる黄金崎不老ふ死温泉に宿泊。何かと息苦しい昨今、人混みを避け、新緑萌えるみちのくの秘湯を満喫できる内容となっている。
小牧空港発着で青森県内はのんびりバスの旅
みちのく秘湯の旅の出発点は、愛知県にある県営名古屋(小牧)空港。航空機で青森空港へと移動し、青森県内の秘湯を巡るバスの旅となるため、バッグ一つで気ままに参加することもできる。
「旅物語プレミアム」ブランドでは、ツアーバス1台につき最大23名に限定。ひとり2座席を利用可能で、密にならず安全・安心を確保する。また、現地にくわしいバスガイドが同行するため、自然が織りなす車窓の風景を楽しみながら、郷土の文化や歴史にも触れられる。
旅のはじまりは奥入瀬渓流の心地よい散策から
1日目は、青森空港から、十和田八幡平国立公園を代表する景勝地、奥入瀬渓流へと向かう。渓流道を包む新緑のトンネルをくぐり、清流やいくつもの滝の美しい景観に目を止め、自然と一体になってのんびり散策。深呼吸するだけでリフレッシュができるといわれるだけに軽くウォーキングを楽しむのもいいだろう。
江戸時代から名湯として親しまれた温泉風情あふれる酸ヶ湯
1日目のお宿は酸ヶ湯と青荷温泉から選択。酸ヶ湯温泉は、八甲田連峰の西麓、標高約900mの高地に建つ開湯300年を超える温泉郷。八甲田山の絶景を望みながら名湯と温泉情緒を満喫できる。山深い辺境の地にありながら、湯浴みと豊富な効能を目当てに、江戸時代から湯治場として栄えたという。昭和29年には、温泉の効果が期待でき、湧出量が豊富で、環境も整った温泉地として「国民保養温泉地第1号」に選定されている。一軒宿の名物は、広さ160畳、柱一本ない総ヒバ造りの混浴大浴場「ヒバ千人風呂」。源泉かけ流しの広大な浴室には、源泉の異なる「熱の湯」、「四分六分の湯」、「冷の湯」、「湯滝」(打たせ湯)と4つの浴槽がある。立ち上がる湯けむりに包まれる幻想的な世界も大きな魅力となっている。混浴が気になる方は、湯浴み着(別料金)の着用や男女別の「玉の湯」の利用もできる。
大自然に囲まれた秘境・青荷渓谷に建つ郷愁ただよう「ランプの宿」
青荷温泉は昭和4年に歌人の丹羽洋岳が開湯。標高約400mの山峡にあり、秘境・青荷渓谷の渓流沿いに建つ本館と、つり橋の対岸にある3棟のはなれがひっそりと佇む。 電気はなく、夜は灯油ランプの明かりだけが灯されるひなびた風情から「ランプの宿」として全国的に知られている。施設には源泉かけ流しの4つのお風呂があり、本館側に総ヒバ造りの「健六の湯」と「本館内湯」が、吊り橋を渡るとせせらぎの音が心地よい「露天風呂」、総ヒバでつくられた内湯と露天風呂からなる「滝見の湯」が並ぶ。露天は混浴だが、女性専用タイムを設けることで女性客も安心して楽しめる配慮も。湯巡りしながらの、青荷渓谷の豊かな自然に心を打たれる。お湯は無色透明、無味無臭で肌にやさしい単純温泉。神経痛から疲労回復まで、幅広い効能をもつ。
客室や廊下、広間などの至るところに灯油ランプが置かれ、郷愁に似た古き良き温泉情緒が隅々まで行き渡る。櫛ヶ峯と雷山の山峡の地にあるため、携帯電話やインターネットは利用できず、テレビも視聴できない。静寂に包まれた、都会の日常では決して味わえない贅沢な時間を過ごすことができる。
白神山地の麓にあるコバルトブルーに輝く神秘の青池
2日目は、青森三大佞武多の一つ「五所川原立佞武多(たちねぷた)祭り」で使われた、高さ約23m、重さ約19tの巨大な人形灯籠「五所川原立佞武多」を展示する「立佞武多の館」を見学。続いて、白神山地の麓に広がる湖沼群「十二湖」でもっとも名高い、コバルトブルーの水をたたえ、神秘的な美しさで見る者を魅了する青池に向かう。深さ約9mの底まで見える透明度を誇り、見ているだけで心が洗われた気分となる。
目の前に日本海の大海原を神々しい夕日に照らされる「黄金崎不老ふ死温泉」
2日目のお宿は、日本海と一体となったような大パノラマを眺めながら露天風呂を楽しめる秘湯「黄金崎不老ふ死温泉」。世界自然遺産・白神山地の麓、日本海に沈む夕陽で、空も海も一面が黄金色に染まることに由来する景勝地・黄金崎に建つ一軒宿だ。海岸と一体化したひょうたん型の露天風呂から海までの距離はわずかに約1m。視界を遮るものはなく、絶景を目の当たりに、今までの体験したことのない開放感を味わいつつ、湯浴みをとことん堪能できる。温かさが体の芯まで届き、湯ざめしにくいことから「熱の湯」の別名をもち、毎分400ℓ湧き出す、鉄分を多く含んだ赤褐色の泉質は、含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉。殺菌効果や肌を滑らかにする効果もあることから、「傷の湯」、「美肌の湯」としても名高い。
「黄金崎不老ふ死温泉」を後に、3日目は青森県の最高峰で、日本百名山にも選ばれる岩木山の雄大な山影を湖面に映す津軽富士見湖で途中下車。湖面に架けられた、日本一長い木造の三連太鼓橋「鶴の舞橋」を渡る。全長約300mの橋を渡りきると「長生きができる」ともいわれており、岩木山を背景とした、青森県産「ひば」1等材でつくられた木のぬくもりに満ちたアーチ橋の姿形は、知る人ぞ知る絶景にあげられている。
帰りは青森空港から、空路で一路、県営名古屋(小牧)空港に到着する。憧れの秘湯を気軽に満喫できる旅。温泉好きはもちろん、大自然に恵まれた地を巡る旅としてもおすすめできる。
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取材・文/安藤政弘