生理前や生理中にあらわれる身体の反応はさまざま。イライラ、気分が落ち込む、食欲が増す、肌荒れ、便秘などの症状に悩まされている女性は少なくありません。しかし、その経験を共有する機会は女性同士であってもあまりないもの。
そこで、女性が、自分で自分のコンディションを知ることができるよう、生理に関するさまざまな情報をまとめた『生理中です』から、産婦人科医・高尾美穂先生の生理と向き合う考え方をご紹介します。
女性の人生設計は自分で決めよう
みなさんは、私たちが自分の人生を自分の意思で決めていっていると思いますか? 実は、そんなことはなかったりするものです。
例えば、この大学に受かったからこの大学行こうとか、この会社が内定くれたからこの会社に行こうとか、結構受動的な流れで決まっていくことが、人生の多くの場面で起きています。
特に女性は、子どもをいつぐらいのタイミングに、誰と子どもを産むのか、自分の意思で決めているかといったらそうとばかりはいえないのが現実です。結婚をして、「子どもがほしいな」と思って妊娠したなら最高ですが、いつぐらいに産もうかなーと悩んでいるうちに「できちゃいました」、というケースが日本は他国に比べてとても多いです。これは、言い換えると、他国に比べてはるかに避妊が男性頼みになっている現状が起きているわけです。
つまり自分の人生設計というものを自分で考えるというよりは、ある意味、時の流れに身を任せてしまっている、そんな人がほとんど、ということです。
それは避妊方法をみてもわかります。日本ではピルを飲んでいる人の割合はたった5%、欧米諸国は4割以上の国が多いです。避妊用の器具を使っている人に至っては日本では1%未満です。中国では日本と同じようにピルを使っている人の割合は少ないですが、子宮内避妊器具は40%も使われているので、世界各国では女性が何らかの方法を選択し、利用しているということです。私たちがいかに受動的かということに、気が付いてほしいなと思います。
妊娠できる能力を「妊孕性(にんようせい)」と言いますが、男性はゆるやかに妊孕性が落ちていきますが、ゼロにはなりません。ですが、女性は閉経によって妊孕性が終了してしまいます。まさにタイムリミットがあるわけです。そう考えたら、自分がいつ子どもを産むのかということを、男女のカップルで女性がリードしていくのは、決しておかしくないわけです。これからの時代は、「私たちが自分で決めていく」という姿勢をぜひ強く持っていただけたらと思っています。
特に、子どもを持つ人生を願っている人にとっては、ぜひ、自分で人生設計を決めるという考えを持ってください。社会に出る時や、高校を卒業するタイミングで自分の人生設計をどうしていきたいのか、一度じっくり考えてもらえればいいかなと思います。
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今の時代は、女性も仕事を得て自立することが可能です。しかし、出産を希望するのであれば、タイムリミットがあることは間違いありません。若いうちから自分はどうしたいのかを考え、人生設計をすることが大切ですね。
『生理中です』パク・ボラム著 / ミン・ウネ著 / 高尾美穂監修
世界文化社
定価1650円
高尾美穂(たかお・みほ)
産婦人科医。女性のための総合ヘルスクリニック イーク表参道副委員。医学博士。スポーツドクター。ヨガドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学付属病院産婦人科助教を経て2013年より現職。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの活動を通じ、専門的な知識をわかりやすく啓発活動に精力的に取り組む。高いプロ意識とソフトで親しみやすいキャラクターが評判となり、テレビや雑誌、イベントなどで幅広く活躍中。著書に『超かんたんヨガで若返りが止まらない』(世界文化社)がある。 YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」を毎日更新し、女性の健康のみならず、よりよく生きるためのヒントを届けている。