あなたは「めんどくさい」をためこんでしまう人ですか? それとも「めんどくさい」をうまく調整できる人ですか?
めんどくさいが減ってくると心に余裕が出てくるものです。そこで今回はめんどくさくない人生を創造する方法をお伝えしましょう。
■誰とも関わらない時間を作ろう
めんどくさくない人生とは、心に活力が満ちていくワクワクした時間がたくさんある人生のこと。そんなめんどくさくない人生に変えるための重要なキーワードが“ひとり時間”です。
ひとり時間とは誰ともコミュニケーションを取らない時間のことをいいます。メールもSNSも電話もしない、友人や家族と会話もしない、自分だけの自由で独立した時間。
あなたはそんな時間を毎日どのくらい取っていますか?
普段他人と接する際にはあなたは仮面をかぶって何らかの役割を演じています。
会社では上司に対して良き部下、後輩に対しては頼りになる先輩など。他にも良き妻、良き夫、良き友人、良き恋人……と色々あるでしょうが、そんな仮面を脱いで素顔に戻れるのがひとりの時間なのです。
他者と交わることで意識のベクトルは他者に向きますので、自分を見つめることは難しいでしょう。
一方で、ひとり時間は意識のベクトル全てを自分に向けることが可能なのです。これにより心のエネルギー状態をチェックしたり、心が消耗しないようにスケジュール調整をしたりと、心のメンテナンスが可能になります。
また緊張とは無縁のひとり時間を取ることによって、過緊張になりがちな多忙な時間から離れられ、心の整理整頓効果や、閃き効果も得られます。
ひとりで心地よくボーッとしているときには、副交感神経が優位に働くために過緊張が解消されて心が安定しますし、ひとりで心地よく散歩をしているときなどはセロトニンがバランスよく分泌されたりします。
ひとり時間を過ごしていると、いいアイデアや解決策が閃くのはこのためです。
■ひとり時間の作り方ポイント
では、どのような時間の過ごし方が良いひとり時間となるのでしょう?
ゲームやインターネットで時間をつぶすなどと連想する人もいるかも知れませんが、基本的にIT機器は脳の緊張や疲れを助長してしまいます。SNSや対戦型ゲームなど、他者が絡むとさらに疲れは倍増していきます。
その時は楽しくても後から疲れを感じるようなひとり時間では心のエネルギーが補給できたとは言えません。ひとり時間には、IT機器が関係しない過ごし方を選ぶのがコツです。
それを踏まえたうえで、私が提案する良質なひとり時間の作り方のポイントは2つ。
(1)特別なお金や休暇(または長時間)を要しない
(2)基本的に健康に良いことで、あとに疲れが残らないこと
まず、(1)に関しては、温泉旅行やコンサートなどお金や時間が必要なことではなく日々の生活で気軽にできる事柄が望ましいです。多忙な生活の中でひとり時間を増やすためには、できるだけハードルを低くすることが大切です。
(2)は、お酒を多量に飲んだり、タバコをたっぷり吸うといった体に悪いことや、激しすぎるスポーツや夜更かしといった、あとから体がだるくなったり疲れを覚えることを避けること。ひとり時間の質には、できるだけこだわってください。
良質なひとり時間の具体的な例を挙げると、「座り心地の良い椅子やソファーで本をじっくり読む」「カフェで普段よりワンランク上の珈琲をゆったり楽しむ」「大好きなアーティストの音楽を心ゆくまで聴く」「お気に入りのルートを散歩する」「好きな香りの入浴剤でじっくり入浴する」「心地よくストレッチをする」「マッサージチェアでくつろぐ」「美術館や博物館をぶらぶら散策する」など。
このように良質なひとり時間のリストを、7つほどあらかじめ用意しておくことをお勧めします。
するとちょっとした時間が空いた時に、その日の気分や体調、状況に応じて素早く効果的なひとり時間を選ぶことができます。忙しいときは5分でもOKですので、ぜひ“ひとり時間”を作り至福の時間を過ごす生活を試してみてください。
監修・構成/奥田弘美
取材・文/田中十兄
指導/奥田弘美(おくだ ひろみ)
精神科医(精神保健指定医)、日本医師会認定産業医、作家
1992年山口大学医学部卒業。精神科医として診療を行うほか、嘱託産業医として都内20か所の企業にてビジネスパーソンの心身のケアに関わっている。近著に「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)、「図解『めんどくさい』をスッキリ消す技術」(マキノ出版)など。11月末には「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネージメントセンター)を出版予定。
【参考図書】
『図解「めんどくさい」をスッキリ消す技術~仕事、家事、人間関係がすべて楽になる!~』
(奥田弘美・著、マキノ出版)