2021年4月、NHKスペシャルにて「#みんなの更年期」が放送されたことをきっかけに、ハッシュタグがSNSで賑わうなど、そこから更年期について多くの人が関心を寄せるようになりました。2022年2月には、岸田首相が衆院で「女性の更年期支援策を検討する」と発言。3月には厚労省が「更年期症状・障害に関する意識調査」を実施するなど、現在日本では更年期に関するセミナーや調査などが多く行われるようになっています。
そんな中、更年期症状や女性特有の健康課題に悩む女性へ向けたLINE健康相談サービス「menopeer(メノピア)」を展開する株式会社menopeerは、女性特有の健康課題が現れてくる40〜50代の更年期世代についての調査を実施。その結果とともに更年期症状や緩和方法をご紹介します。
更年期とは
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を指します(公益社団法人 日本産科婦人科学会より)。女性特有の健康課題が顕著になる年齢は40〜50代と言われており、更年期に入ると生理の周期が伸びたり、出血量が変わるなどの変化が現れます。更年期の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくこと。その症状には個人差があり、症状は300種類以上もあるとされています。婦人科を受診するきっかけとなる症状の代表的なものは、イライラ・涙もろくなるなどの精神症状や、肩こり・めまい・頭痛・関節痛などの身体的症状、ほてりやのぼせ、ホットフラッシュ、発汗などの血管運動性障害が挙げられます。
女性の更年期離職による経済的損失は約4,200億円
(※1)NHK「更年期と仕事に関する調査2021」
(※2)PRESIDENT WOMAN「女性の5割はホルモンで昇進を断る」2019/03
(※3)日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」
働く女性およそ3000万人のうち、45歳から54歳までの「更年期世代」は約4分の1。現在、36歳から55歳までの女性の約半数以上が何らかの更年期症状を抱えていて、40〜50代女性の約9.4%が更年期症状/障害を理由に退職しているというデータがあります(※4)。その経済的損失は約4,200億円にも上るとされています(※1)。
(※4)日本ヘルスケアアドバイザーズ「更年期の実態調査2017」
女性ホルモン関連の不調をはじめとして、更年期など女性特有の健康課題が現れてくる40〜50代は、女性にとってちょうどキャリアアップの重要な時期に重なります。女性が男性と同等に長く働く制度や環境は整備が進んでいる一方で、更年期症状によって女性が自己実現を断念してしまうことがあるのです。
産婦人科医は医師全体のわずか約4% 更年期医療専門の医師不足は地方でより顕著
産婦人科医数は元々不足しており、医師全体のわずか約4%(※6)。また、産婦人科医の中でも更年期医療に専門性を有する医師は限られており、特に地方ではこのような傾向が顕著で、通院へのハードルが高い状況にあります。
さらに、不調があっても半数以上の女性が誰にも相談せずに放置しがちといったデータもあります(※4)。
(※6)厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
更年期症状の緩和方法
更年期のさまざまな症状の緩和には、個人的に行えることとしては、大塚製薬の更年期ラボによると生活習慣の改善が推奨されています。
生活習慣の改善を目指すためには、
・ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を生活に取り入れること
・バランスの良い食事を心がけること
などを意識するといいでしょう。
また、自分だけで解決しようとせずに医師に相談することも大切です。更年期の症状は個人差があり、前述した精神症状や身体的症状に加えて社会的因子が関与しています。病院での治療方法として少量のエストロゲンを補うホルモン補充療法、全体的な心と体のバランスの乱れを整える漢方療法などがあります。他にも、気分の落ち込みなどの精神症状が強い場合には向精神薬を用いる場合もあります。
◇ ◇ ◇
日本ヘルスケアアドバイザーズ「更年期の実態調査 2017」によると、日本では多くの女性が更年期症状に悩んでいるにもかかわらず、半数以上の女性が誰にも相談せず、何もしていない現状とのこと。更年期は女性が自分の心身と向き合うべき大事な時期です。人生100年時代では、更年期は折り返し地点です。残りの半分の人生を快適に過ごすため、自身の体と向き合う時間を作ってみませんか。
文/ふじのあやこ