【家族の秘密】「まともな男は全員結婚している…」50代女性の婚活茨道、やっと出会えた婚約者の正体～その２～

「あなたと一緒にいても、落ち着かない」

女性はそこから電車で1時間程度のところにある、千葉県の住宅街に帰宅。電車が都心から離れるごとに、明るかった表情がだんだん暗くなっていくのが印象的でした。

重い足取りで、一戸建ての家に帰宅。女性は結婚しているようです。翌朝、高校生らしき女の子と、中学生の男の子が学校へ。

8時に女性の夫らしきがっちりした体型の男性が出て来て、車で出勤。この女性を調べると、彼の前職の部下で、現在は派遣社員をしていることがわかったのです。以上の報告をすると、道子さんは「信じられない！」と大泣きし、その場で彼に「すぐに横浜に来い！」と連絡していました。

道子さんは泣きながらも、電話をスピーカーにして会話し、ICレコーダーで録音。感情的になっているのに、証拠を押さえるために無意識に行動している。これはすごいと思いました。

会話を聞いていると、彼の元部下は、家庭のことで悩んでおり、その悩みを聞いていただけだという。

道子さんは「すぐに女と別れろ」と命令するも、彼は「まあまあ。あとで話そう」となだめている。「じゃあ、これから女の家に行き、この人の夫と私と3人で話す」と言うと「そんなことをしても、あなたの得にならないよ」と言っています。

そんな押し問答を15分くらい繰り返した後に、彼の方から「やりたければ、おやりなさい。そして私はあなたと別れる。あなたと一緒にいても心が休まることはない。あなたは相手に求めるだけで、与えることを知らないから」と言っていました。

話の流れから、道子さんは「彼と婚約した」と言っていましたが、実際はお互いに恋心があるのは事実ですが、終活の一環としてのお試し感覚でのルームシェアだったのです。彼はまだ自宅を引き払っておらず「道子さんとは別れる。家の荷物も引き上げて置く。金輪際、連絡しないでいただきたい」とキッパリ。道子さんは「どうしてくれるのよ！　会社にも結婚すると言ってしまった。私が恥をかくじゃない！」と言い、「あなたとは別れたくない」と泣いている。

彼は電話をしながら移動していたようで、道子さんがそれに気づいて慌てて自宅に帰ると、彼の荷物は引き上げられていたそうです。

「これから彼女に会って彼とは別れてもらう」と言っていましたが、それをしたところで道子さんには何の得もない。ひとまずお話を伺い、思いのたけを話してもらい、気持ちが落ち着いたところでお帰りいただきました。

道子さんは意地でも別れたくない。そこで、弁護士に相談するなどして頑張ったそうですが、婚約の証拠もないので訴訟は無理。ＩＣレコーダーの録音も意味もなさないとのことでした。

「日本は法律的に結婚していないと、何の権利もないんだとわかりました。それを考えると、母と母の彼氏が事実婚しているのは尊いことなんだなと」

この件で感じたのは、「結婚しなくても生きて行けるが、人はひとりでは生きられない」ということ。道子さんは信頼できるパートナーを求めているけれど、そのレベルに合致する人がなかなかいない。相手に合わせようにも、50年以上生きて来て、気づくことも変えることも難しいのです。こういう人は、今後も増えていくと感じました。今は元気でも、いずれ動けなくなる時が来る。その時どう生きるかを、私たちも考えなければいけないと思いました。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社　http://www.ritztantei.com/