
2016年の大河ドラマは、三谷幸喜さんが2004年の『新選組!』以来12年ぶりに大河ドラマを手掛けた作品です。主人公は真田信繁(演・堺雅人)。本来、織田信長とは接点がないと思われますが、このドラマでは信長(演・吉田鋼太郎)が武田家を滅亡させた「天目山の戦い」の後に陣を敷いた諏訪法華寺に真田昌幸(演・草刈正雄)とともに信長に挨拶に出向くという設定でした。主人公信繁を戦国の雄・信長に会わせたいという制作陣の考えが反映された設定かと思われます。
真田信繁を信長に会わせる
本能寺の変の2か月前。真田昌幸は織田信長に対面できることになりました。場所は、信長が滞在していた諏訪の法華寺。いくつもの大河ドラマで、信長が明智光秀を打擲した舞台として登場している大河ドラマファンにとってはお馴染みの寺院になります。
『真田丸』では、真田昌幸だけではなく、次男で主人公である真田信繁(演・堺雅人)も同行するという設定でした。
武田家を滅ぼした直後の法華寺ということで、徳川家康(演・内野聖陽)もその場に居合わせます。家康はかつて、三方ヶ原の戦いで武田軍に惨敗した経験があります。真田昌幸は武田家臣時代、武藤喜兵衛を名乗って三方ヶ原合戦で軍功を挙げており、家康にとっては因縁ある存在でした。
信長と真田が対面する場所としては無理のない設定で、さすが三谷幸喜さんと、うならせられることになるのです。
真田親子はまずは信長嫡男の信忠(演・玉置玲央)に面会します。信忠は、昌幸が信長の配下となるという書状と同時に、昌幸が上杉宛に助けを求める書状を入手したといって、昌幸を詰問します。昌幸はなんとかその場を乗り切ることができ、信長に拝謁することができたのですが、そこにはブーツをはいた信長が入ってきます。
信長「真田安房守か」
信長のこの一言で、真田の織田への服属が認められるという段取りです。
その直後、信繁らは、織田信長が明智光秀(演・岩下尚史)の頭を欄干に打ち付けながら、「おぬしが何をした、もう一度申してみよ!」と折檻する姿を目の当たりにすることになります。いくつもの大河ドラマ昨品で、信長と光秀の間に確執が生じる一因だったとされる事件です。
信長が去った後、家康がぐったりとしている光秀を介抱する場面も挿入されました。
予知夢? の中の本能寺
領地安泰に安堵して小県に戻った昌幸と信繁。今度は安土に人質を出さなければならないという展開です。信繁が姉の松(演・木村佳乃)を人質として差し出すことを提案。随行する家臣の中に夫の小山田茂誠(演・高木渉)を紛れ込ませることで、松の了解を得たのです。
安土の真田屋敷で、眠りにつく信繁ですが、信長が光秀を折檻する姿を夢に見ます。
そのころ、京都の本能寺で「敵は本能寺にあり」と光秀が軍配を掲げる様子が映し出されます。燃え盛る炎の中で、鎧から兜が崩れ落ちます。
はっと目覚める信繁。
ここで『真田丸』第4回が終了します。まさかの週またぎの展開になりました。
崩れ落ちる甲冑と信忠の自刃
第5回冒頭では、ナレーションにより「真田の織田への服属が決まった。信繁は人質となった松を送るため、信長の本拠地、安土を訪れた。事件は、明くる日の未明に起きた」と改めて説明されます。
天正10年(1582)6月2日。激しく燃え盛る本能寺が画面に映し出されます。
「一代の風雲児織田信長は本能寺において49年の波乱の生涯を閉じた。武田家を滅ぼしてからわずか3か月後のことである」
ナレーションによる短い説明がなされます。信長本人は登場せず、炎の中、鎧から兜が崩れ落ちる様子で信長の死を表現するという斬新な手法がとられました。
本作は、「超高速本能寺」などと評されました。真田家の興亡の中では、本能寺の変はトピックスではないので、自然な流れではあるのですが、それでも「歴史通」「大河ドラマ通」の三谷幸喜さんならではの爪痕がしっかりと刻まれました。
「崩れ落ちる甲冑」で信長の死を表現したこともそうですが、大河ドラマ史上初めて織田信忠が自刃する場面が挿入されたのです。さすが三谷さん、多くの大河ドラマファンが膝を打ったのです。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











