「料理はほぼ妻が作ってくれています」
よく僕の作品のタイトルは“ダジャレ”だと言われますが、僕としては「言葉の見⽴て」だと思っています。日本は言葉に「見⽴て」の文化がある。その一例が、おせち料理です。鯛は「めでたい」、昆布は「(よろ)こぶ」、黒⾖は「まめ(に働く)」など。また、物の見立ても行われており、レンコンは穴が空いているから「見通しがいい」とか、伊達巻は巻物(書物)に似ているから学業成就など、形状にも意味があるのです。
――日本人は意識せず、見立てに親しんでいた。だからこそ、田中さんの見立て作品がスッと心に入っていくのでしょう。それにつけても、15年間、毎日欠かさず作品を作り、発表しているということにも驚嘆します。
見てくれる人がいるから、そして協力してくれる家族がいるから続けられています。制作は午前中に行い、モチーフを配置し始めて、写真を撮影します。そこから作品名を考えて、SNSに投稿するまでに平均3〜5時間くらいです。
食べ物をモチーフにした作品は、実際の食材を使うことも多いです。料理はほぼ妻が作ってくれます。作品に「#このあとおいしくいただきました」と書いてあるものは、本物を使っています。そうでないものは食品サンプルを使用しています。
どうしても長期の出張とかでアトリエを空けないといけないときは、前もってその分の作品を撮り溜めるようにしていますが、やはりできれば毎日制作したい。それは、作品には時代の気分が表れるから。「今日、この日はこれを見立てよう」というインスピレーションを大切にしているのです。

出典:『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』
やはり、「今」を楽しく表現することは、多くの人を笑顔にする。今後もいい作品を発表していきたいと思っています。
インタビュー後編では、生活の中心が「見立て」になって困ったこと、アイディアがどのように生まれるかなど、作家としての能力の磨き方、初心者への見立て作品の作り方について紹介していきます。
田中達也さんの新刊

『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』 4950円 小学館
2011年4月20日から、毎日欠かさず制作・撮影し、Instagramなどにアップする、15年間5000を超える見立て作品の中から、365作品を厳選した超保存版作品集。1ページ1ページ、日々のカレンダーをめくるように楽しめる。
取材・文/前川亜紀 撮影/黒石あみ(小学館)











