今、京都の宿が進化している。京都駅前には個性的なホテルが集中し、町なかには日常に溶け込む宿が生まれている。次の旅の拠点にしたい9軒を厳選して紹介する。
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※応募要項はこの記事の最後にあります。
このごろ、京都で流行る宿
「京都の情緒が感じられる町家の宿と駅前の至便なホテルがおすすめです」
近年、外国人観光客が増え続ける京都。平成29年の観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、外国人延べ宿泊者数の上位5都道府県は、東京、大阪、北海道、京都、沖縄となっている。それに伴い京都市内では宿泊施設の建設ラッシュが続いている。日本のホテル事情に詳しい高崎経済大学地域政策学部教授の井門隆夫さんは最近の動向を、次のように話す。
「京都のホテル開発は、昭和初期に府庁や市役所がある丸太町や三条界隈から始まり、繁華街がある四条に広がりました。そして今は京都駅前を中心に大型のホテルが次々と生まれています。日本各地を巡る訪日外国人にとって、交通至便な駅前は絶好の立地なのです」
京都市では町並みや景観を守るために「景観条例」という厳しい規制を制定し、なかでも京都駅周辺は高さ20mを超える建造物が建てられなかった。しかし平成27年に条例の一部が緩和され、大型の新規ホテルが建築できるようになった。朝食に力を入れるホテルや駅前の喧騒を忘れる上質なホテルなど、個性を競うホテルは日本人にとっても魅力的だ。
もう一点、京都ならではの宿泊施設として注目すべきは町家を改修した宿だ。京都の趣を担ってきた町家は戦前の古い建物が多く、老朽化し、現代の生活に合わなくなり取り壊されるものが多い。これを歴史的な価値を残しつつ宿泊用に再生し、簡易宿所(※ホテルや旅館より施設の許可要件が緩和されたカプセルホテルやゲストハウス、民宿、ペンションなど。)として活かす取り組みが盛んだ。
「町家の宿は、京都に長期滞在する欧米人に人気があるようですね。調理器具や食器が備わる台所もありますから、購入したお惣菜を温めたり、簡単な食事を作ることもできます。町家は建物の構造上、段差や階段があったり、ホテルのような手厚いサービスが受けられるわけではありません。多少不便かもしれませんが、それも含めた滞在を自由に気ままに面白がれる人に向いていますね。旅慣れた方におすすめです」(井門さん)
京都は多種多様な宿泊施設が揃う町だと、井門さんは言う。高級ホテルからビジネスホテル、老舗の片泊まりの宿から若者向けのゲストハウスやカプセルホテル、さらに修学旅行向けの旅館もあり、さながら宿の見本市のようだ。
何度訪ねても愉しみが尽きない京都。宿を替えることで異なる魅力や佇まいが見えてくるかもしれない。京都の今を体感できる新しい宿を選んでみたい。
●解説 井門隆夫さん (高崎経済大学 地域政策学部 観光政策学科教授・58歳)
昭和36年、東京生まれ。現JTBに入社し宿泊商品やマーケティングを担当。平成23年井門観光研究所を設立、宿泊業と地域の活性化に努める。大正大学客員教授。
住まうように泊まる町家改造型の宿
広い浴室を中心にした京町家の贅沢な空間
suki1038 高台寺(東山区)
京町家や中古住宅の再生販売や宿泊事業などを手掛ける京都の不動産会社・八清による『suki1038(スキイチゼロサンハチ)』。今年3月に京都御所東に2室と東山の高台寺近くに1室を開業した。そのひとつ、一棟貸しの『suki1038 高台寺』は伝統的建造物群保存地区である石塀小路に位置する。かつて茶屋が軒を連ねた一帯は、祇園の奥座敷と呼ばれる佇まいをみせる。
玄関を入ると町家特有の通り庭と呼ばれる土間空間があり、その奥には広々とした開放的な浴室が備わる。「限られた町家の空間の中で非日常を体験していただけるように、浴室に特化した間取りを考えました。ご希望でシャンパンなどを用意しますので、優雅な時間を過ごしてください」と同社の岡田直子さんは話す。
室内には大型スーツケースを収納できる空間や洗濯乾燥機も備わり、長期滞在にも向く。
1階の寝室と2階の和室は石塀小路側にあり、窓越しに石畳を歩く観光客の姿を目で追うことができる。大切に守られてきたこの町並みの一角で、まるで昔からの住人になったような気分になる。
【宿泊案内】
●suki1038 高台寺 住所:京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町463-6 電話:075・351・0071(受付10時~17時)チェックイン15時、同アウト11時 料金:1棟につき8万6000円~(定員4名)。
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由緒ある料亭跡地に立つ京の雅を感じる別世界
そわか(東山区)
八坂神社の南、大正元年(1912)創業の料亭『美濃幸』の跡地に立つ『そわか』は、100年の時を刻んだ由緒ある数寄屋建築を踏襲するように改修された宿である。下河原通に面する暖簾をくぐり、石畳の路地を進むと本館の玄関に辿り着く。11室ある本館は建築当時の部材や匠の技を随所に残しつつ、快適に生まれ変わった。
「一番腐心したのは防音です。料亭の小部屋と客室では用途が違いますから、防音材を入れ、古い土壁を剥がし、土台となる竹小舞を編み直し、再度土壁を塗るという手間のかかる伝統工法も用いています。また、冬の寒さ対策のために床暖房や内風呂も備えました」
こう話すのは総支配人の矢島泰介さん(35歳)。この宿を通して、茶の湯の心を取り入れた数寄屋造りの美を知ってもらいたいと言う。
たとえば中庭はかつては腰掛待合があり、茶室へ向かう静かな茶庭だったものを、新たに植栽を加えて客室からその眺めを楽しめるようにした。また著名な数寄屋大工だった中村外二が手掛けたとされる待合は、バーに改装。ラウンジは以前は厨房だった場所で、その名残に井戸を配している。
選ぶ愉しみがある客室
本館の客室はすべて造りが異なるが、格式ある格天井や腰板付き障子、欄間や竹格子の細工など随所に職人技が活かされ、まるで高級旅館にいるような趣だ。さらに現代作家のアート作品などが配され、華やぎも加味されている。本館から続く新設された新館は、町家のように細長い部屋や畳敷きの小部屋を備えた客室など12室あり、モダンで個性的である。昨年11月の開業ながら部屋指定の客人が多いのも頷ける。
朝食は併設のレストラン『ラ・ボンバンス 祇園』でいただく。和洋2種類を用意し、和食は手作り豆腐や魚の西京焼きなどを揃え、削りたての鰹節と薬味で出汁茶漬けも味わえる。洋食では鰹出汁を使った具沢山の洋風スープや、炭火で焼いたトーストが味わえる。
古きよきものと新しさが調和し、細部にまで粋が宿るホテル。京都の底力を見るような思いだ。
【宿泊案内】
●そわか 住所:京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る清井町480 電話:075・541・5323 チェックイン15時、同アウト11時 料金:1室につき5万円~(定員2名)。23室。
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充実の台所と快適なカリモク家具で暮らすように過ごす
京の温所 麩屋町二条(中京区)
京都御所の南に開業した『京の温所 麩屋町二条』は、京都に本社を置く下着メーカーのワコールが手掛ける4軒目の宿泊施設である。築約150年の2階建ての京町家を現代生活に寄り添う住空間へと再生、なかでもそのまま住まいになるほどの充実した台所が特徴である。台所にはIHコンロやオーブンレンジ、コーヒーメーカー、調理器具、食器類など一式を揃える傍ら、町家の意匠である炊事の熱気や煙を逃す吹き抜けの火袋やおくどさん(竈)を残し、その風情も存分に楽しめる。
「家具は良質の木材と優れた技術で知られるカリモク家具で、桜材の座卓や直径180cmのウォールナットの円形テーブルはこの宿のために設計されたものです」と同社広報・宣伝部の山本圭奈子さんは話す。ダイニング、2室の和室、2室の寝室がある広々とした室内には木のぬくもりが溢れ、旅の疲れを癒してくれるようだ。
宿の近くには家具や古美術の店が集まる夷川通があり、掘り出し物が見つかるかもしれない。フロント受付の際に情報を仕入れ、いつもとは違う散策をしてみたい。
【宿泊案内】
●京の温所 麩屋町二条 住所:京都市中京区麩屋町通二条上る布袋屋町502 電話:0120・307・056(ワコールお客様センター/9時30分~17時)チェックイン16時、同アウト11時 料金:1棟1名につき約4万8000円~(定員8名)
2組4名様宿泊券プレゼント 【宿泊条件】●京の温所 麩屋町二条の宿泊券、1泊2日、朝食無し
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点在する個性的な5棟のホテルを自在に楽しむ
ENSO ANGO 麩屋町通II(下京区)
昨年10月に開業した『ENSO ANGO(エンソウアンゴ)』は四条通と五条通の間に点在する5棟からなるホテルの総称で、宿泊客はいずれのホテルの施設も利用できるという分散型ホテルである。社長の十枝裕美子さんがその特徴を話す。
「分散型ホテルはイタリアの小さな美しい村々を活性化させるために、空き家をホテルにして集落を巡ってもらうというアルベルゴ・ディフーゾという提唱から始まりました。京都でもホテルを回遊することで、知らなかった路地に入ったり地元の方と触れ合うなど、思いがけない体験ができると思います。各ホテルは作陶家の安藤雅信さんや現代アートの日比野克彦さんら様々な方が内装に関わっていますので、それを見て回るのも楽しいと思います」
確かに、レストランやバー、ジムなども分散し、ラウンジも各棟でまったく雰囲気が異なるので、すべてを巡ってみたくなる。また麩屋町通にある『麩屋町通II』では茶室や畳の部屋を設け、坐禅体験や茶道具の解説などのプログラムを用意。柔軟な発想で旅ができるホテルだ。
【宿泊案内】
●ENSO ANGO 麩屋町通II 住所:京都市下京区麩屋町通高辻上る鍋屋町241-1 電話:075・585・5790(予約直通) チェックイン15時、同アウト11時 料金:1室2名利用ひとり1万1500円~ 86室。
3組6名様宿泊券プレゼント 【宿泊条件】●ENSO ANGO 麩屋町通IIの宿泊券、1泊2日、朝食付き
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京都駅前エリアの至便なホテル
シンプルで上質、千年の都を意識したホテル
THE THOUSAND KYOTO (下京区)
千年の都・京都の知恵ともてなしの精神を込めて名付けられた『THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンドキョウト)』。躑躅(つつじ)と竹が出迎える玄関を抜けると、20m以上の吹き抜けのロビーがあり大階段が鎮座する。館内には宇治茶の生産地・和束町の茶葉を中心に日本茶や和紅茶を扱う『TEA& BAR』、和洋ふたつのレストラン、スパなどが揃い、上質な空間を作る。
客室はスタンダードルームでも37平方メートルという広さを確保し、和紙の風合いを活かした色味で統一され、シンプルで清々しい。窓の外に庭を設しつらえた部屋もあり、駅前とは思えぬ優美さも持ち合わせている。
「部屋着は作務衣をご用意しています。また京都産の炭と桜のエキスを配合したオリジナルのボディクリームも販売していますのでぜひ試してください」と広報の森未来さん。随所に和の要素を取り入れ、旅装を解いた心を和ませる。
朝食は日本料理店『KIZAHASHI/階(きざはし)』で愉しみたい。最初に供されるのは目覚めのお出汁。鰹と昆布の濃厚な旨みの一番出汁が体中に沁み渡る。しっかり手をかけた味を堪能したい。
【宿泊案内】
●THE THOUSAND KYOTO 住所:京都市下京区東塩小路町570番 電話:075・354・1000 チェックイン15時、同アウト12時 料金:1室6万3000円~222室。
3組6名様宿泊券プレゼント 【宿泊条件】●デラックスルームの宿泊券、1泊2日、朝食付き
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豊かな目覚めと一日の活力を高める圧巻の朝食
ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA(南区)
京都駅に隣接する『ホテルグランヴィア京都』が運営する『ホテルヴィスキオ京都』は宿泊主体型ホテルだが、ホテルグランヴィアと同等の品質を提供する。広報の中窪真子さんは次のように話す。
「ホテルは3つのBを重視しています。ひとつはシモンズ社製のベッド。次にバスルーム。全室に洗い場付きの浴室を導入し、さらにサウナ完備の大浴場も設置。そして100種類以上のブッフェ式のブレックファスト(朝食)です」
フランスの食や文化の普及に努めた功績者に贈られるシュバリエを受章した同グループ社の総料理長が監修した朝食は、パイ生地にクリーム煮を詰めるフランスの家庭料理・ヴォローヴァンやフォワグラバーガー、焼きたての牛肉ステーキなど実に多彩。もちろん生麩や伏見の酒粕、京野菜を使った料理など、京都の味覚も豊富に揃え、連泊客も唸る品数である。
客室は7タイプあり、室内にワークデスクを置かないため、すっきりしている。その代わりに宿泊者専用ラウンジではパソコンを持ち込み過ごす客が多いという。自分流にホテルを使いこなしたい。
【宿泊案内】
●ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA 住所:京都市南区東九条上殿田町44-1 電話:075・280・1111 チェックイン15時、同アウト11時 料金:1室3万5000 円~ 423 室。
5組10名様宿泊券プレゼント 【宿泊条件】●スーペリアツインの宿泊券、1泊2日、朝食付き
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駅前の利便性を活かした同系列ホテルの起点
三井ガーデンホテル京都駅前 (下京区)
今年8月に誕生した『三井ガーデンホテル 京都駅前』は市内にある同系列ホテルの4軒目となる。一歩足を踏み入れると茶庭を意識したフロントロビーが現れる。茶釜や行灯、組子細工が配され、駅前の喧騒を忘れる静けさが漂う。
客室も茶室の趣を取り入れ、障子窓や違い棚、床柱などがしっとりとした侘び寂びの風情を醸し出している。さらに京友禅と現代のデニムが融合した「京都デニムの間」や丹後ちりめんを用いた「丹後ちりめんの間」という特別な客室もあり、遊び心を刺激される。
朝食処である『レストラン&ゲストラウンジ茶季』は小上がりの畳や掘りごたつのテーブルがある寛げる空間。食事は抹茶塩でいただく天ぷらや、抹茶を使った料理など、飽きさせない。
「“三井”という信頼感を大切にし、お客様に選ばれるようになりたいですね」と総支配人の景山敬之さん(45歳)。同系列ホテルの連携を強化し、このホテルを起点に4ホテルの宿泊客の荷物を運ぶバゲージサービスを行なっている。
【宿泊案内】
●三井ガーデンホテル京都駅前 住所:京都市下京区東塩小路町848 電話:075・353・3135 チェックイン15時、同アウト11時 料金:1室2名利用でひとり7500円~ 136室。
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まもなく、オープン 一度は泊まってみたい、趣あるラグジュアリーホテル
和と洋が融合する京都の新しい顔
パーク ハイアット 京都(東山区)
清水寺へ至る二寧坂に面し、今年10月30日に開業する『パーク ハイアット 京都』。ハイアットのなかでも最上級のブランドを誇り、国内では東京に次ぐ2番目となる。ホテルは明治10年(1877)創業の料亭『山荘 京大和』の敷地内に立ち、周囲の景観に馴染むような低層階の建物である。敷地には同料亭が育んだ歴史的建築物や日本庭園があり、そのまま保存・復元され新たな魅力となる。
客室は八坂の塔と町並みを眺望する部屋や日本庭園付きの部屋、9室のスイートがあり、芳しく美しい木目のタモ材が使われる。また革新的な鉄板焼きレストランや懐石料理など、食も愉しみだ。
【宿泊案内】
●パーク ハイアット 京都 住所:京都市東山区高台寺桝屋町360 電話:075・531・1234 チェックイン15時、同アウト12時 料金:1室約11万円~ 70室。
閑静な洛北に満を持して開業する
アマン京都(北区)
金閣寺から徒歩圏内にある洛北・鷹峯地区。自然林を有する約32万平方メートルの広大な敷地に『アマン京都』が今年11月1日、開業する。紙屋川沿いの変化に富んだ森の中には24室の客室がある4つの宿泊棟と2棟のヴィラ、レストラン棟、スパ棟などが点在。宿泊棟の壁一面の窓からは木々の景観が楽しめ、居ながらにして森林浴ができる。
客室は畳や床の間、檜風呂が備わり、日本旅館の伝統を踏襲しながらもモダンな装い。また天然温泉のスパや日本料理など、京都らしい新たなリゾートである。
【宿泊案内】
●アマン京都 住所:京都市北区大北山鷲峯町1番 電話:0120・951・125(10時~17時) チェックイン15時、同アウト12時 料金:1室11万円~ 26室。
京の宿 宿泊券プレゼント応募方法
宿泊券を抽選で計17組36名様にプレゼントします。利用期間は11月18日(月)から2020年4月24日(金)です(除外日あり)。
http://p.sgkm.jp/2910にアクセスいただき、応募フォームに必要事項を記入後、送信してください。
[締め切り] 10月8日(火)
※当選された方には11月15日(金)までに宿泊券をお送りします。宿泊可能日、部屋の種類などの諸条件はホテルごとに異なります。夕食はつきません。
※個人情報は宿泊券のお届けに必要な情報確認のためのみに利用し、6か月を超えて保有することはありません。
※『サライ』京都特集の「いま泊まるべき京の宿9軒」は、『サライ.jp』および『サライ』2019年10月号でご覧になれます(取材・文/関屋淳子 撮影/小林禎弘)