1872(明治5)年、東京の湯島聖堂博覧会に初めてアイヌ資料が出品されてから、2025(令和7)年の大阪・関西万博に至るまで、およそ150年にわたり、アイヌ民族は博覧会と関わってきました。
博覧会は、知識や文化を広める一方、人や文化を比較し、序列化する場所でもあり、アイヌ民族は、差別や偏見、優越感を含むまなざしのもとで展示されることがありました。
そうした展示が行われた時代においても、その関わりは一方向的な「展示される対象」という図式だけでは捉えきれず、時代を経るごとに博覧会のあり方や参加のかたちも変化していきました。

公益財団法人アイヌ民族文化財団蔵
国立歴史民俗博物館で開催の「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」は、明治初めから150年、アイヌ民族が博覧会と関わってきた軌跡を辿ります。(10月6日~11月29日)
本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。
「本展では、工芸品、写真、絵はがき、書簡、衣装、映像などの資料から、博覧会に関わったアイヌ一人ひとりにとって、博覧会とはいかなる場であったのかを考えます。
近世後期の和人社会では、アイヌ民族が作った〈工芸品〉が、交易や贈答を通じて流通していました。和人社会から見た「異域」の産物として関心を集めたのです。明治初期になると、開拓使のもと、アイヌ工芸品は北海道の物産の一部として博覧会に出品されました。

松浦武四郎記念館蔵 ※展示期間10月6日~11月1日

※展示期間10月6日~11月1日
明治末から昭和戦中期まで、アイヌ民族は博覧会の「人間展示」に出場。これは生身の人間やその生活を観覧の対象とするもので、そこにはアイヌ民族を「未開」とみなすまなざしがありました。他方で、出場に際しては、さまざまな立場や思惑、関係性が複雑に絡み合っていました。
戦後の復興を記念した地方博覧会にはじまり、1970(昭和45)年の大阪万博、その後の国内外の博覧会においては、「人間展示」はなくなり、テーマや基本理念が重視されるようになりました。大阪万博以降、アイヌ民族は「日本のまつり」や「北海道の日」のなかのプログラムで紹介されるようになりました。


近年は、アイヌ民族や文化をめぐる社会的な関心が高まり、表現のあり方も多様化しています。2025(令和7)年の大阪・関西万博でのアイヌ舞踊公演「ウレシパ モシリ(ウレシパのシとモシリのリはそれぞれ小さいシとリ)」と展示「イランカラプテ(プは小さいプ)」を取り上げ、アイヌ民族と博覧会の現在とそのゆくえに迫ります」
【開催概要】
企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」
会期:2026年10月6日(火)~11月29日(日)
前期/10月6日~11月1日 後期/11月3日~11月29日
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
住所:千葉県佐倉市城内町117
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.rekihaku.ac.jp
開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
休館日:月曜日(10月12日、11月23日は開館)、10月13日(火)、11月24日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











