夏の風物詩・かき氷の進化が止まらない。自家製シロップや独創的な組み合わせなど、店主の自由な発想で誕生したかき氷は多彩な味で芸術的。夏の暑い季節に清涼感ととろけるような美味が楽しめる、新しいかき氷を紹介する。

『イタリアンかき氷 リコッタ』のいちごピスタチオティラミス
ティラミスクリームにピスタチオミルクの芳香が融合。甘酸っぱいいちごシロップが味を引き締め、どこを食べても美味。2400円
『果実と氷 岩澤』の山形佐藤錦
刃物産地・新潟県燕三条のかき氷機ならではの氷の薄さ。口溶けがよく、ソースがよくなじむ。2800円。
『イタリアンかき氷 リコッタ』のいちごピスタチオティラミス
「ジェラートのようなかき氷をつくりたかった」と語るのは、イタリアンかき氷店のシェフ・内田圭さん。ティラミスクリームをのせたメニューは、なめらかなクリームに氷が溶け合い、濃厚ながらあと味はすっきりし、スプーンが止まらない奥深さがある。
本場イタリアで働いた経験を持つ内田さんは、2013年にイタリア料理店を開いたとき、子どもも楽しめるドルチェを考えてイタリアンかき氷にたどり着く。課題は水分コントロールだ。氷でクリームやシロップの味が薄まらないように濃度と甘みをしっかりつけ、それを受け止める氷は厚めに削り、一体化したときのなめらかな口溶けに成功。ジェラートの食感だ。
さらにマスカルポーネチーズやピスタチオペーストなど、味の要になる材料は本場の味に近づけるため、イタリアから取り寄せた。
かき氷の構成にもひと工夫。ミルクベースの氷にベリーの赤ワイン煮を入れ、ピスタチオミルクといちごシロップの味を重ねてトップにティラミスクリームをのせる。味の強弱を上からつくり、飽きずに完食できるように盛りつける。素材の豊かな風味となめらかな口溶け、和と伊が融合した傑作だ。
イタリアンかき氷 リコッタ
東京都新宿区神楽坂3-2-33 巽ハイム1階
電話:なし
営業時間:12時〜15時30分(最終注文)、17時〜20時30分(最終注文)
定休日:不定(インスタグラムで確認を)
交通アクセス:JRほか飯田橋駅より徒歩約5分
要予約(https://select-type.com/p/ricotta/より)
※季節によってかき氷の内容は変わります。
『果実と氷 岩澤』の山形佐藤錦
“佐藤錦”は山形県が誇るさくらんぼ。なかでも贈答品に使用される特秀クラスの大玉をピラミッド形に9個、4個、1個と、惜しげもなく積み上げるのが、『果実と氷 岩澤』の作法だ。肉厚のさくらんぼにかぶりつけば、甘酸っぱい果汁が広がり、華やかな香りが立ちのぼる。ふわふわに削られた氷には自家製ミルクがたっぷりと。フルーツの個性を引き立てるため、あと味を軽やかに仕上げている。別添えのあまおう100%のいちごソースは、鮮やかな色と爽やかな酸味が際立つように非加熱でつくる。かけるだけでフルーツ感が増し、最後まで至福のときが続く。

店主・岩澤舞歩さんは、中学生の頃に食べたかき氷のおいしさに衝撃を受け、店を持つ夢をいだく。転機が訪れたのは2024年。広島市内に店を開くことになり、2025年に東京出店。かき氷は、大好きなフルーツが主役と決めていた。「かき氷だからこそ、素材のよさがストレートに伝わります」
春はいちご、夏は桃やメロン、秋はぶどうや洋梨、冬はかんきつ類。最高峰のフルーツを目当てに通う客が多いというのも、頷ける。
果実と氷 岩澤
東京都港区麻布十番2-21-9 網代コート1階
電話:なし
営業時間:11時〜21時30分(最終注文)
定休日:無休
交通アクセス:東京メトロ南北線ほか麻布十番駅より徒歩約1分
要予約(Table Checkより)
※季節によってかき氷の内容は変わります。
取材・文/石出和香子 撮影/伊藤菜々子
※『サライ』2026年8月号より












