11月29日から新たな「資格検定」がスタートする。「和」を知り、「和」を楽しみ、「和」を伝えることを目的に創設された「日本伝統文化検定(伝検)」だ。なぜ今、伝統ある工芸や文化のスペシャリストが求められるのか。「伝検」の狙いとは。
「伝検」を主宰するのは、時事通信社とジャパンタイムズなどが設立した一般社団法人日本伝統文化検定協会。会長は、宮中歌会始の講師を務める近衞忠大(このえ・ただひろ)氏、副会長には多摩美術大学教授で工芸評論家・工芸史家の外舘和子(とだて・かずこ)氏と、文筆家でアートプロデューサーの白洲信哉(しらす・しんや)氏が就任している。
訪日観光客の増加により、日本の伝統工芸や文化に対する関心は世界的に高まる一方だ。しかし、国内需要の減少や後継者不足により、存続の危機に瀕する分野も少なくない。事態を回避するためには、伝統文化を深く理解するサポーター(支援者)を増やすことが不可欠と考え、その育成と輩出のために伝検は創設された。自らの経験を踏まえ、近衞会長はこう語る。
「海外で長く過ごす中で、改めて日本の伝統文化の価値を再発見しました。この素晴らしさを未来につなげていくためには、楽しみながら学ぶ機会が必要と考えます」
下掲のように、伝検では伝統工芸、伝統文化を8つの分野に区分けした。検定には各分野から満遍なく、創意工夫を凝らした問題が出される。
日本伝統文化検定とは
「和」を知る・「和」を楽しむ・「和」を伝える日本のスペシャリストになろう! 以下の8分野から満遍なく出題される新しい検定。
【伝統工芸】日本各地で継承される匠の技
陶磁器・ガラス
金工・木漆工
和紙・染織
建築・庭園・美術
【伝統文化】四季に育まれた日本の美と粋
伝統色・文様
茶道・和菓子・日本茶
食文化・歳時記
芸能
2級と3級は年に2回、1級は年1回の検定開催
伝検の級と内容
3級・2級・1級で構成。3級は日本の伝統文化についての基礎知識、2級は仕事や暮らしに応用できる知識、1級は各分野の深い知識が、それぞれ問われる。
合格者には認定証などの特典
3級と2級はいずれも70%以上の正解で合格(2級は各分野50%以上正解が必須)。検定料は3級7480円、2級9900円。最難関の1級は2025年中に実施される予定だ。
検定に向けた「公式テキスト」も発売された。3級では9割以上、2級では7割以上が同書から出題される。伝検に挑戦したい人は“問題集”として、それ以外の人にとっては「和の教養」を深める“参考書”として有効活用できる。
合格者には認定証が発行され、伝統工芸品の割引購入が可能となる特典も準備中。認定証は、観光地でツアーガイドなどに携わる人の“資格証”としても役立ちそうだ。伝統文化を学べば、人生が豊かになることは間違いない。挑戦する価値は充分あるだろう。
読み応えある「公式テキスト」が新発売!
受験要項
受験期間(2級・3級)
11月29日(金)~1月31日(金)
申込期間&方法
2025年1月28日まで伝検HPから申し込み(1級は2025年中に実施予定)
検定はCBT(※2)方式で実施。受験者は、検定期間中、全国に300以上ある「受験センター」で、都合の良い日時を指定して受けられる。会場や日時の変更も3日前まで可能。
※2: 「Computer Based Testing(コンピューター・ベースド・テスティング)」の略。会場にあるパソコンで受ける。
模擬試験で腕だめし!
歴史の授業や旅行先で見聞きしているかもしれない。3~4問正解できれば、“伝統文化通”だ。
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提供/一般社団法人日本伝統文化検定協会 電話:03・3524・6550(平日10時~ 17時)