人生の節目に旅をすることは、記念になるだけでなく、これまでの人生に区切りをつけ、新しい人生を歩み出す後押しをしてくれます。
定年退職を機に、長い旅行を考えている人も多いでしょう。今回は、2008年のイスラエルで行われた調査から、引退者が海外旅行に期待することについてご紹介しましょう。裏返せば「旅に出るべき理由」としても読めるはずです。
出典は、米国カリフォルニア州立大学・心理学部教授のケネス・S・シュルツ氏監修の『リアイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』(日経ナショナル ジオグラフィック社)です。
■1:人生の区切りを付けたい
仕事人生から引退後の新しい生活へ移り変わる時、長期の旅行に出かけることで、人生の転換が図りやすくなります。引退のお祝いとして、これまで行ったことのない場所で新たな自分が見つかるかもしれません。
■2:新しい世界が見たい
これまで見たことのない世界を見ると、視野が広がります。時間にゆとりのある引退後は、旅のスタイルを滞在型に変えて、思う存分、新しい世界を味わいましょう。
■3:日常から離れつつ快適に過ごしたい
旅は冒険です。同じように続く毎日から逃れて、未知の世界を探検しましょう。何かと責任やお金の算段の多い日常から離れて、気分を一新する良い機会。目的地は日常から離れつつもリラックスして、快適に過ごせるところが理想的です。
■4:趣味の世界を追求したい
これまでの人生で観光やレジャーは一通り経験したから物足りない…。引退者の旅は趣味の世界を追求することでさらに価値が高まります。講演や個展、登山や世界遺産など、そこに赴かなければ得られない体験は貴重なものです。
■5:以前から関心のあったことに触れたい
旅をきっかけに新しいことを始める人は多いです。興味があったけれどできなかったこと、一度見てみたかった景色や文化など。旅をして終わりではなく、日常に帰っても旅がずっと続いているような感覚を味わえるでしょう。
■6:大切な人との絆を深めたい
子供や孫と連れ立って旅をすることで絆も深まり、思い出にもなります。また引退者に人気のある旅の一つに、遠くに住む友人や家族を訪ねるというものがあります。現役時代とは違い、ゆったりとした時の中で大切な人と語り合いを楽しむのは良質な時間といえるでしょう。
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以上、引退者が海外旅行に期待することについてご紹介しました。
多少、体や体力に不安があっても、消極的にならずに旅の目的を遂行しては如何でしょう。急ぐ旅路でもなく、高齢者向けの負担の少ないプランが多くなっているからです。旅の計画に不慣れな人は旅行会社やツアーガイドに相談し、要望に沿ったものを提案してもらいましょう。
【参考文献】
『リタイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』
(S・シュルツ監修、藤井留美 訳、定価 2,800円+税、日経ナショナル ジオグラフィック社)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/16/010500050/
文/庄司真紀