すがすがしい初夏の陽気に誘われて、妻と2人、クルマで一泊二日の小さな旅にでかけてきました。目的地は、東京湾アクアライン経由で都心から約40分で行ける千葉県の木更津です。木更津といえば、「三井アウトレットパーク 木更津」があまりに有名ですが、ショッピングだけではなく、海と山に恵まれた地の利から、海の幸、山の幸を使った滋味が豊富。しかも、東京湾沿いには、温泉と料理を堪能できる一大リゾート「龍宮城スパ/ホテル三日月」もあり、近場とはいえ旅気分を満喫できます。見どころいっぱいの木更津一泊二日の旅をご案内します。
【1日目】 11:30 東京湾に浮かぶ『海ほたる』でちょっとひと休み
都内にある自宅を出発したのは、よく晴れた平日の午前11時。クルマ旅は早出が当たり前ですが、木更津なら、朝ものんびり出かけられます。最寄りのランプから首都高速へ入り、湾岸線を経由して、東京湾アクアラインに合流すれば、海底トンネルのその先はもう木更津です。もともと横浜・鎌倉方面からのアクセスはスムーズですが、首都高横浜北西線の開通で、横浜北部からのアクセスもとても便利になりました。
都内を発って30分余り、東京湾を横断する東京湾アクアラインの「海ほたるパーキングエリア」(海ほたる)で一旦休憩を入れました。5階建ての「海ほたる」には、レストラン、カフェの飲食スペースやおみやげ物店のほか、疲れを癒す足湯などがあり、ホッと一息いれられる最適な空間となっています。ここは千葉県木更津市に位置するいわば千葉県の玄関口であり、みやげ物売り場には房総の特産品や名産品がズラリと並んでいました。海産物を使った「海ほたる」ならではの名物もあります。私たちは4階の「Bay Brand房の駅」で、私はいわしのすり身にタマネギとニンジンを練り込んで揚げたハンバーグ「大漁揚げ いわしバーグ」を、妻は国産米100%を使いすっきりした甘さのある「冷やし甘酒」を注文しました。いずれもシニアの方に人気のメニューということです。
屋内の無料休憩所「海が見える大回廊」でも飲食ができますが、好天に恵まれたこともあり、鐘を鳴らすと幸運が訪れるといわれる「海ほたる 幸せの鐘」のあるデッキでいただきました。
実はここに立ち寄ったもう一つの理由が、東京湾にぽっかりと浮かんだ人工島からパノラマで広がる素晴らしい眺望です。空気が澄んでいる日は三浦半島や富士山のシルエットを拝むことができます。また、東京湾岸のきらびやかな夜景を一望できることから、日本夜景遺産にも認定されていますので、日暮れに訪れても、昼間とは違う景観に魅了されるでしょう。
12:00 『三井アウトレットパーク 木更津』でショッピング
「海ほたる」を出ると、これまでの海底トンネルとはうってかわり、海上に架かるアクアブリッジを進んでいきます。東京湾アクアラインの終点、木更津金田インターまでは約5分。海ほたるでしばしの休憩をはさみましたが、次のポイントである「三井アウトレットパーク 木更津」には12時に到着しました。
日本最大級のアウトレットモールである「三井アウトレットパーク 木更津」は、「グリーンゾーン」、「アーバンゾーン」、「オーシャンゾーン」、「ガーデンゾーン」の4つのエリアがあり、アパレルから生活雑貨、飲食など300店以上のショップが集まっています。館内には緑に囲まれたガーデンテラスをはじめ、座って休憩のできる場所も多く、散歩感覚でゆったり館内を巡り、気に入ったお店に立ち寄ることができます。
『テーラーメイド』でゴルフ用品を新調
アウトレットに入り、はじめに私の目にとまったのがアメリカのゴルフ用品ブランド「テーラーメイド」のショップです。広い店内にはクラブから衣料品、アクセサリーまですべてがそろっています。1シーズン前の商品を中心に販売され、価格もリーズナブル。お店のスタッフによれば、房総には多くのゴルフ場があり、ラウンド帰りに仲間と立ち寄るという方も多いということ。この日は前々から新調したいと思っていたグローブと帽子を購入しました。
機能美に満ちた『マイヤー』の調理器具に妻もご満悦
フードコートでランチ休憩をとった後に、ふたたびショッピングを再開。今度は妻のリクエストで、高級調理器具で知られる「マイヤー」を訪れました。最近は無水調理にも使える鍋が人気になっていますが、妻は軽量でデザインのいいフライパンと、揚げ物調理にも使えるシリコントングを買いました。
その後も、お店をまわり洋服や家庭用品などを買い求めた妻はご満悦。いつものことですが「三井アウトレットパーク木更津」は、いい妻孝行となりますね。
シニアもリピートする新鮮なミルクで仕上げたマザー牧場のソフトクリーム
買い物を一通り楽しんだあとに立ち寄ったのが「マザー牧場 CAFE&SOFTCREAM」です。千葉県の人気観光地でもあるマザー牧場の直営店で、新鮮な搾りたての牛乳を使った濃厚なバニラのソフトクリームと、牛乳プリンも味わえるシニアに人気の「ぱふぇそふと抹茶わらびもち」を注文しました。約2か月ごとに入れ替わる季節のフルーツなどをふんだんに使ったソフトクリームや、アウトレット限定で販売する、クッキーボウルも人気が高いとのことでした。
時計をみるとあっという間に3時間以上が経過。ひとまず「三井アウトレットパーク木更津」をあとにして、本日宿泊する「龍宮城スパ/ホテル三日月」へと向かいました。
16:00 リゾート気分を満喫できる『龍宮城スパホテル三日月』
「龍宮城スパ/ホテル三日月」は、東京湾を一望できる海岸沿いにあり、リゾート感あふれるロケーションが人気のホテルです。窓辺から海を望む「龍宮亭」と、全室オーシャンビュー&テラス、半露天風呂を備えた「富士見亭」があり、趣の異なる部屋を好みに合わせて選ぶことができます。
スパ棟には空と海の雄大な景色が眼前に広がる展望大浴場があり、屋外と屋内にはプール、屋外の「オーシャンスパ」には「ゆず湯」、「ロイヤルゼリーの湯」など、多彩な温泉が用意されています。湯船から見る、東京湾最大の盤州干潟や、暮れなずむ富士山を背景にした東京湾は格別でした。
お待ちかねの夕食は旬の地産地消素材を贅沢に使った「和・洋・中」の食べ放題のバイキング。潮騒に旅情をかきたてられ、1泊でも、満足のいく旅気分を味わえました。
【2日目】10:30 『太田山公園』山頂からダイナミックな眺望を楽しむ
翌日は10時にチェックアウト。この日は木更津金田インター周辺から離れ、木更津の街巡りに出かけました。はじめに訪ねたのはホテルから、クルマで約20分のところにある「太田山公園」です。地元では約400本の桜が咲き誇る桜の名所としても知られ、この日は、緑豊かなのどかな園内からうぐいすのさえずりが聞こえてきました。
今回の旅で、私たちがぜひ訪れたかったのが、公園の山頂にそびえる高さ28mの「きみさらずタワー」です。木更津には、神代の世、日本武尊が、海神を慰めるため海中に身を投じた妃の弟橘媛を偲び、この地に永くとどまったという伝説があります。「君(日本武尊)が去らず」から、後年には「君去らず」といわれるようになり、これが木更津の語源といわれています。この伝説にちなみタワーの先端には、日本武尊と弟橘媛のモニュメントがデザインされています。タワーは自由に入場ができ、展望処まで階段を上がると、木更津市内や東京、横浜、遠く富士山も一望。美しい景観は、日本の夜景100選、ちば眺望100景にも選ばれているほどです。隣にある「木更津市郷土博物館金のすず」では、木更津の歴史を学べるさまざまな考古資料なども展示されています。インター周辺とは違う木更津を知る絶好のスポットといえるでしょう。
11:30 港町を望む大橋を渡り潮干狩りのメッカ『中の島公園』に
続いて訪れたのは、木更津港の入り口に架かる高さ27m、長さ236mの中の島大橋は、歩道橋としては高さ日本一。橋のたもとにある鳥居崎海浜公園には駐車場があり、潮干狩りの名所である中の島公園へはこの橋を歩いて渡っていきます。夫婦でウォーキングを楽しみましたが、橋上からの景観は壮大で、潮風の心地よさが印象的でした。またテレビドラマ・映画『木更津キャッツアイ』のロケ地としても知られ、男性が女性を背負って渡ると恋が実るというストーリーから「赤い橋の伝説」が生まれ、「恋人の聖地」にも認定されています。
12:30 明治30年創業の料理店『宝家』で名物のあさりランチを堪能
木更津散策の後、木更津駅に近い食事処「宝家」で、名物の「あさりづくし」ランチをいただきました。創業120年以上を数える「宝家」は、木更津屈指の老舗料理店で、地元産の食材を使った料理は地元の方や、多くの観光客を魅了してきました。注文した「あさり御膳」は、あさりのかき揚げ、あさりの串揚げ、あさりご飯、あさりのお味噌汁などがついたボリューム満点の宝家名物。あさりの旨みをとことん堪能できました。あさりをたっぷり使った料理は、店主と親交の深い俳優の中尾彬さんが、アクアライン開通時、「旅行者に喜ばれる木更津の美味を出してみては」との提言から生まれました。のれんに描かれた「たからや」の文字や小槌の絵も中尾さんの手によるものです。
14:00 『道の駅木更津 うまくたの里』で地元産の新鮮な農産物を買う
食事の後は、木更津市初となる道の駅「道の駅木更津 うまくたの里」に立ち寄りました。木更津市特産のブルーベリーや千葉名産のピーナッツを中心に、地元産の農産物、干物などの海産物、さらに調味料や地酒、お菓子など2000点以上の商品がそろっています。農産物直売所では地元農家が栽培法や味にこだわった旬の野菜や果物を販売。鉢植えや切り花など季節の花が並ぶ店頭のお花コーナーも盛況でした。私は調味料エリアで醤油とのりの佃煮を、妻は新鮮な野菜と房総名物のびわを買いました。店舗には「のうえんカフェレストラン&TREE」も併設され、地元の新鮮な野菜や海産物を使ったオリジナルフードやスイーツを楽しめます。
これにて木更津の魅力を発見する、1泊2日のクルマの旅も終わりました。トランクいっぱいにおみやげを詰め込んで、「道の駅木更津 うまくたの里」に隣接する木更津東インターから圏央道へ入り、そのまま東京湾アクアラインで一路都内に戻りました。
ご夫婦でショッピングに出かけるなら、ちょっと滞在時間を伸ばして、木更津のクルマ旅を楽しんください。
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取材・文/安藤政弘 撮影/乾 晋也