せわしない毎日をしばし離れ、非日常感を満喫できるのんびり旅として、人気を集めているのが、フェリー「さんふらわあ」で行く北海道旅行だ。
初代『さんふらわあ』が運航を開始したのは1972年2月1日。50年以上の歴史が経過した現在も「さんふらわあ」はフェリーの代名詞であり、白い船体に描かれた「太陽マーク」はシニア世代にも馴染み深い。幼少期や学生時代に「さんふらわあ」の船旅に憧れた方も多いだろう。
長距離フェリーの船旅には2つの大きな魅力がある。一つは自宅からマイカーで旅先に向かい、現地の見どころをドライブがてら見てまわれること。旅行かばんやお土産はラゲッジに収まるので、荷物を持ったまま移動する手間もかからない。もう一つ、大海原を360度パノラマで見渡せるダイナミックな絶景もまた、船旅ならではの醍醐味といえる。
「さんふらわあ」は茨城県の大洗港から、北海道の苫小牧港を結んでいる。大洗発苫小牧行きのフェリーは、大洗港を午後7時45分に出航し翌日の午後1時30分に苫小牧港に到着する夕方便と、大洗港を午前1時45分に出航し同日午後7時45分に苫小牧港に到着する深夜便の1日2便が運航されている。
「夕方便」はさながら洋上を進む豪華ホテル
のんびりと旅気分を味わいたいのであれば、様々な個室が用意され、太平洋を一望できるレストランや開放的なパブリックスペースのある、さながら洋上の豪華ホテルというべき「夕方便」がおすすめだ。ペットと一緒にステイできる客室や、ドッグランも完備しているので、愛犬や愛猫との旅を楽しめるのも大きな特徴となっている。
食事は夕食と朝食の2回で、いずれも和洋中のバイキングが中心。旬の食材を使ったシェフこだわりの一品料理や郷土料理などメニューは多彩。ご飯ものや麺類、サラダ、デザート、フルーツなどもある。
最上階の7階にあるプレミアム(洋室)は眺望を独り占めできる専用バルコニー付き。落ち着きのある空間にベッドが2台あり夫婦2人旅にはぴったり。3名で宿泊する場合はソファーベッドも利用できる。バス、トイレなどは室内に完備。車いすでも利用しやすいプレミアムバリアフリー(洋室)もある。
ファミリーや友人グループでステイするなら、4名定員のスーペリアオーシャンビュー和洋室がおすすめ。全室シャワー&トイレ付きで室内で快適に過ごすことができる。
ほかにもペットとの同宿可能なスーペリアウィズペット(洋室)など、旅のスタイルに合ったさまざまなタイプの客室を用意している。
太平洋一望の展望デッキや展望浴場などパブリック空間も充実
旅の疲れを癒すお風呂も旅の楽しみの一つ。「さんふらわあ」には、視界を遮るものがない太平洋の絶景を目前に入浴できる展望浴場があり、湯船につかりながら至福の時を過ごせる。
船内を散策すると幅広い層の乗客に合わせたパブリックスペースも多く設置されている。圧巻のオーシャンビューが見られるのは、5階・6階にある二層吹き抜け構造による開放的な展望ラウンジを備えたプロムナード。海風をたっぷり浴びることのできる展望デッキでは、運がいいと、船上からイルカやクジラ、珍しい鳥たちに出会えることも。朝陽や夕陽、星空などの自然美も格別だ。
大洗・苫小牧間の所要時間は約18時間。船旅を堪能するにはちょうどいい時間といえる。2024年12月1日~2025年1月15日出港便まで、夕方便、深夜便の旅客運賃が20%、乗用車航送運賃が10%割引となる、「WEB限定・さんふらわあ冬割」キャンペーンを実施中。この機会に「さんふらわあ」の旅を楽しんでみてはいかがだろうか。
2025年1月21日深夜便に新造船「さんふらわあ かむい」が就航
大洗~苫小牧航路の深夜便に新造船のLNG燃料フェリー1番船「さんふらわあ かむい」がデビューする。船体のデザインは、海と空の美しい「青」をアクセントカラーに、「夜明けの海」と「新しい時代を照らす光」をイメージし、「新たな未来へ歩みだす船」を表現している。LNG燃料対応により、既存船に比べCO2の排出量を約35%抑え、社会全体のCO2排出削減に貢献する。また、既存船よりトラックの積載スペースを拡張し、客室の全室個室化によってトラックドライバーが快適に過ごせる空間を提供。モーダルシフトを促進し、「物流の2024年問題」の解決にもつなげる。就航日は2025年1月21日午前1時45分。大洗発深夜便からスタートする。
就航を記念して、北海道航路全船対象で「WEB予約限定さんふらわあ かむい就航記念割」キャンペーンを2025年1月16日~2025年1月31日まで実施。旅客運賃20%割引、乗用車運賃10%割引となる。
北海道に着いたらマイカーで名湯めぐりを満喫
「さんふらわあ」の到着する苫小牧は、札幌まで約70分、小樽まで約90分と車でのアクセスが良好。秋から冬へ移ろう今の季節、ぜひとも体験してほしいのが、温泉王国・北海道にある日本屈指の名湯めぐりだ。
登別温泉
苫小牧港から車で約50分の場所にある登別温泉は、1つの温泉に多様な泉種を持つのが特徴。約1万年前の火山活動でできた地獄谷のあちらこちらから源泉が湧き出ている。もうもうと立ち上る白煙と煮えたぎる温泉に圧倒される地獄谷の景観も見どころとなっている。登別温泉から8km奥にある小さな温泉郷が薬湯で有名なカルルス温泉。良質なお湯に加え、周囲の美しい景色も目を楽しませてくれる。
洞爺湖温泉
支笏洞爺国立公園指定の美しい渓谷にある洞爺湖温泉までは苫小牧港から車で約80分。無料の足湯や温泉自慢の宿泊施設も充実。日帰り温泉も多い。洞爺湖温泉街の中心部にあるにぎわい広場に約40万球の電飾が輝くイルミネーショントンネルや、音楽と花火のエンターテイメントショー「洞爺湖温泉冬花火2025」など冬にイベントも目白押し。湖畔の大自然を眺めながらのカヌーツアーや、トレッキング、クラフト体験もできる。
問い合わせ先
TEL:0120-489850(フリーコール)
029-267-4133(大洗船客予約センター)
0144-34-3121(苫小牧船客予約センター)
構成・文/安藤政弘