
人生百年時代と言われるようになり、定年退職後の働き方は多様かつ重要になっています。50代半ばにもなると、定年後の働き方について、少しずつ準備を始めたいもの。
そこで、参考にしたいのが、『定年後の働き方で知りたいことが全部のってる本』(監修:西村栄子、國富 真/発行:主婦の友社)です。
今回は、『定年後の働き方で知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)の中から、「定年後も働いたほうがいい?」「定年後はどんな働き方がある?」を紹介します。
定年後も働いたほうがいい?

かつては60歳で定年=キャリアの終わり、というのが当たり前でした。けれど人生100年時代といわれる今、年金の受給開始が65歳になり、定年後も人生が30年、40年と続くとなれば、やはりお金に関する不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
高齢世代で直面するのが「お金」「健康」「孤独」の3つのお悩み。そして実は、これらを一気に解決するのが「働くこと」なのです。
下のデータを見ると、シニアが仕事をしたい理由の1位は「生計の維持のため」。年金では賄いきれない費用を収入で補うことができれば、老後破産の不安からも解放され、心にも大きな余裕が生まれます。

けれど仕事をする利点は、収入だけに限ったことではありません。退職して社会との接点がなくなると、気力も体力も一気に衰えがち。適度に働き、外に出て誰かと会話をすることは、心身の健康と若さを保つ何よりの秘訣になるのです。さらに仕事を通じて「誰かの役に立つ」こと、「自己成長」を実感できることなども、孤独を解消して社会との確かな絆を得ることにつながります。
働くことを、自分らしい人生を再スタートするための一部としてとらえ直せば、定年後の景色もきっと変わって見えてくるはずです。
定年後はどんな働き方がある?
定年後の働き方で最も多く現実的なのは、会社の「継続雇用」制度を利用する方法。このうち退職せずに引き続き雇用されるのが「勤務延長制度」。いったん退職して新たな雇用契約を結ぶのが「再雇用制度」で、定年制がある会社のうち8割以上が導入しています(厚生労働省「就労条件総合調査 結果の概況」[令和4年]より)。
また会社によっては、有期雇用の契約社員や業務委託として定年後に働く場合を「嘱託(社員)」と呼ぶケースもあります。
定年を機に、新しい職場・職種にチャレンジしたい人には「再就職」という道が。就職活動を負担に感じるなら、「人材派遣」という選択肢も視野に入れておくといいでしょう。
これまで培ったスキルを武器に、長く現役で自分らしく働きたい場合は、フリーランス(個人事業主)として「独立」したり、「起業」にチャレンジするという人も。
自由な時間や生活環境を優先するなら「パート・アルバイト」で小さく働くという方法や、定年後に「Uターン・Iターン」で地方へ移住する人も少なくありません。
定年後は働き方が大きく変わる節目であり、やがて働けなくなるまでの準備期間でもあります。セカンドキャリアの次も見据えて、自分に合った働き方を考えていきましょう。
継続雇用(勤務延長・再雇用)
【メリット】
働き口を探す必要がなく、慣れた職場で長年の経験をそのまま生かせます。新しい人間関係を築く必要もないので、精神的にもラク。
【デメリット】
現役時代と仕事内容は同じでも、給与は大幅ダウンの傾向に。かつての部下が上司になるなど、立場の変化による戸惑いがある場合も。
業務委託(嘱託)
【メリット】
特定の業務や条件のもとで働き、時間や成果によって高収入が望める場合、逆に低くなる場合も。嘱託契約が含まれることもあります。
【デメリット】
労働基準法による保護や雇用契約はなく、会社の社会保険には加入できません。業務ごとの委託契約で、収入が不安定になる場合も。
再就職(転職)
【メリット】
新しい職種や業界にチャレンジしたい人に。これまでの経歴やスキルを高く評価されれば、収入などの条件を期待できる可能性も。
【デメリット】
一般にシニアの正社員採用枠は少なく、資格や特別なスキルがないと難しいことも。就職活動が長引くリスクも考えておきたいところ。
人材派遣
【メリット】
派遣会社が条件に合う仕事を探してくれるため、就職活動の手間や心理的な負担は少なめ。さまざまな職場を体験できるチャンスも。
【デメリット】
契約満了で仕事がなくなるため、雇用が不安定になりがち。責任ある仕事を任されにくく、キャリア形成には不向きな面も。
起業・独立
【メリット】
自分のやりたい仕事で、生涯現役でいることも可能。軌道に乗れば定年前より収入アップも期待でき、大きなやりがいも実感できます。
【デメリット】
収入が不安定で、社会保険( 国民健康保険)の加入や事務作業、確定申告なども自分で行うほか、仕事を得る人脈や営業力も必要に。
パート・アルバイト
【メリット】
未経験でも始められる仕事も多め。自宅近くで探せて時間にも融通が利くため、無理のない範囲で社会とのつながりを維持できます。
【デメリット】
時給制で大きな収入アップは見込めない。社会保険の加入は要件をクリアする必要があり、小さい事業所では加入できないケースも。
Uターン・Iターン就職
【メリット】
地方に移住し、住居費などの生活コストを抑えて働けます。自治体の移住支援制度などもあり、田舎暮らしをしたい人のチャンスにも。
【デメリット】
都市部に比べて求人が少なく、職種も限られます。地域のコミュニティになじめるか、医療・介護体制は十分かなど確認する必要も。
* * *

定年後の働き方で知りたいことが全部のってる本
監修/西村栄子、國富 真
主婦の友社 1,760円(税込)
イラスト/森下えみこ











