株式投資というと「値上がり益(キャピタルゲイン)」に注目が集まりがちですが、実はそれ以外にも株を保有することで得られるメリットがあります。それが「株主優待」と「配当金」です。特に日本では株主優待の制度が充実しており、日常生活に役立つ特典を受け取れることから、投資初心者にも人気があります。

一方で、「いつ買えばもらえるのか」「どのタイミングで売ってもいいのか」といった仕組みが分かりづらいのも事実です。この記事では、株主優待と配当金の基本から、権利確定日の考え方、そして上手な活用方法までを整理していきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)を提唱する、独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。

株主優待とは?

株主優待とは、企業が自社の株主に対して提供する特典のことです。配当金のように現金がもらえるわけではありませんが、商品やサービスなど、企業ごとに特色ある内容が用意されています。株式を一定数以上保有している株主に対して、感謝の意味や長期間保有してもらうことを目的に実施されている制度です。

株主優待は何をもらえる?

株主優待の内容は企業によってさまざまですが、大きく分けると「割引券」「商品」「ポイント」の3つが代表的です。たとえば、外食チェーンであれば食事券や割引券、小売業であれば自社商品や詰め合わせセット、最近では電子マネーやポイントとして付与されるケースも増えています。自分の生活スタイルに合った優待を選ぶことで、実質的なお得感を感じられるのが魅力です。

誰がもらえる? 必要株数(単元株)と保有条件の基本

株主優待を受け取るためには、企業が定める「必要株数」を満たす必要があります。多くの場合、最低単位である100株(1単元)から優待対象となります(株価によって必要な投資金額は異なります)が、企業によっては300株や1,000株以上が必要な場合もあります。また、最近は「長期保有条件」を設ける企業も増えており、半年以上や1年以上継続して保有している株主に対して優待内容を優遇するケースもあります。

優待は「会社が任意で行なう」制度だと知っておこう

重要なポイントとして、株主優待は企業の義務ではなく、あくまで任意の制度です。そのため、業績や経営方針の変更によって、内容の変更や廃止が行なわれることがあります。優待目的で投資をする場合でも、「ずっと続くものではない」という前提で考えておくことが大切です。

株主優待と配当金の違い|両方もらえる? どっちが得?

株式投資のリターンとしてよく比較されるのが「株主優待」と「配当金」です。どちらも株主への還元ですが、性質や考え方は大きく異なります。それぞれの特徴を理解することで、自分に合った投資スタイルが見えてきます。

配当金とは何か?

配当金とは、企業が利益の一部を株主に現金で分配するものです。1株あたりいくらという形で支払われ、保有株数に応じて受け取る金額が決まります。安定して配当を出している企業は「株を保有していることで継続的に得られる収益」(インカムゲイン)を重視する投資家に人気があり、長期的な資産形成の柱にもなります。

また、インカムゲインを目的とする場合、日常生活費の足しにしたり、本業とは別に定期的に入ってくる収入として活用したりと、「もう一つの収入源」として楽しむ感覚で捉えられることも多いのが特徴です。

株主優待との違い

配当金は現金で受け取れるのに対し、株主優待はモノやサービスが中心です。また、配当は企業の利益に連動しやすいのに対し、優待は販促や株主に対する施策としての意味合いが強い点も違いです。税金面でも、配当金には課税がある一方、株主優待は課税されないケースも多いのが特徴です。ただし、商品券やポイントなど現金に近い性質のものは「経済的利益」とみなされ、課税対象となる可能性がある点には注意が必要です。


株主優待と配当金「両方」もらえるケース、もらえないケース

企業によっては、株主優待と配当金の両方を実施していますが、どちらか一方のみという企業もあります。また、同じ企業でも保有株数によっては優待のみ、あるいは配当のみとなる場合もあります。銘柄を選定する際には、「優待利回り」と「配当利回り」を合わせた総合的な利回り(どれくらいリターンが得られるか)で確認してみることが重要です。

<図表1>株主優待と配当金の違い

(株式会社SMILELIFE projectにて作成)

図表のとおり、それぞれに特徴があり性質も異なりますが、どちらが得かではなく、目的(楽しみか収入か)に応じて選ぶことが大切です。

権利確定日とは? いつ買えば間に合うのか

株主優待や配当金を受け取るために最も重要なのが「権利確定日」です。この日を基準に、株主としての権利を持っているかどうかが判断されます。ただし、実際の取引では少し前に買っておく必要があるため、「いつ買えば間に合うのか」をしっかり押さえておきましょう。

権利確定日、権利付き最終日、権利落ち日を整理

権利確定日は、株主名簿に名前が載る基準日です。そして、その2営業日前が「権利付き最終日」となり、この日までに株を保有していれば権利を得られます。逆に、その翌営業日が「権利落ち日」で、この日に株を売っても優待や配当の権利は失われません。つまり、「権利付き最終日までに買って保有しておく」が基本ルールです。

株主名簿に載る仕組み

株主として認められるためには、証券会社の口座で株を保有しているだけでなく、企業の株主名簿に名前が載る必要があります。現在は電子化されていますが、取引の受け渡しに一定の日数(通常2営業日)がかかるため、その分を逆算して権利付き最終日が設定されています。

【参考例】3月末決算法人の2026年度の原則スケジュール

・権利付き最終日:2026年3月27日(金)→この日までに買えば権利あり
・権利落ち日:2026年3月30日(月)→この日以降売っても権利は消えない
・権利確定日:2026年3月31日(火)→株主名簿に記載される日(形式的)

よくある勘違い

初心者がよく間違えるのが「権利確定日に買えばいい」と思ってしまうことです。実際にはその日では間に合わず、すでに権利は得られません。また、「権利付き最終日に買ってすぐ売っても大丈夫か」という点については、翌日の権利落ち日に売却すれば問題ありません。ただし、優待や配当の権利がなくなる分、その価値が株価から差し引かれる形で株価が下がる傾向がありますので、注意が必要です。

初心者向け|株主優待を上手に楽しむコツ

株主優待は楽しみながら投資を続けるためのいいきっかけになります。ただし、優待だけに目を奪われると、思わぬリスクを抱えることもあるため、優待の内容だけでなく、株価や企業の業績といった投資としての視点(値下がりリスクなど)とのバランスを意識することが大切です。

優待を選ぶ前に決めたいこと

まずは「自分が使うかどうか」を基準に選ぶことが大切です。利回りが高くても使わない優待では意味がありません。また、投資金額やリスク許容度も考慮しましょう。リスク許容度とは、どのくらいの価格変動や損失までなら受け入れられるかの目安です。無理のない範囲で選ぶことが重要です。

優待券の管理術

優待券には有効期限があるため、管理が重要です。届いたらすぐに期限を確認し、カレンダーやリマインダーなどに登録しておくと使い忘れを防げます。家族で共有するのも有効な方法です。

「優待+配当金」で考える時の注意点

総合利回りが高く見える銘柄でも、株価が下落すればトータルでは損になる可能性があります。また、優待の廃止や配当の減額といったリスクもあるため、企業の業績や将来性も必ずチェックするようにしましょう。

まとめ

株主優待と配当金は、株式投資の楽しみと実益を兼ね備えた魅力の一つです。ただし、優待や配当だけに目を向けるのではなく、企業の価値や長期的な視点も忘れずに持つことが大切です。自分の生活に合った形で上手に取り入れながら、まずは少額からでも無理のない資産形成を目指していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。ご自身のライフプランを考える時には、生命保険や金融商品の販売をせずに中立的な立場からコンサルティングに徹する独立系のファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。

●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

 

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