舘家の家訓「男子たるもの、紳士たれ」
――先ほど、渡哲也さんのお話を伺いましたが、舘さんの紳士的な佇まいは、渡さんから学ぶところも多かったのですね。
はい。ほかには、舘家の家訓「男子たるもの、紳士たれ」の影響も大きいです。祖父は士族出身で、江戸から明治という激動期を生きた人です。価値観がガラリと変わる時代を経験し、人としての理想を、英国紳士に求めていました。イギリスと日本は同じ島国同士という共通点があり、そこに感じるものがあったのでしょう。
この「紳士たれ」は幼い頃から祖父や父から教えられていたことであり、今でも「紳士とは何か」を問い続けています。
今思うに、紳士とは自らを犠牲にして貢献することや、相手への敬意を忘れないことに尽きると思っています。わかりやすいのは、レストランに行くときにジャケットを着ることでしょうか。服は「あなたは私の大切な存在です」というメッセージを、言葉にせずとも伝えることができる。僕は料理人やサービスの方々、何よりも一緒に食事をする女性への敬意をいつも服で表すようにしています。
だからレストランで最近よく見かける、女性はドレスアップしているのに、男性はTシャツにデニムというカップルに会うと、腹が立っちゃうんですよ。「女性へのリスペクトが足らん!」と。もちろん、余計なおせっかいだとわかっていますよ(笑)。

――舘さんがいつまでも変わらず、セクシーでいる理由がわかった気がしました。『免許返納!?』の主題歌はロックバンドTHE ALFEEの『Crossroad -愛の免許返納-』です。彼らも、年齢を超越しており、72歳にして日本の音楽シーンの最前線を走っています。
4歳下の彼らと僕は、THE ALFEEのデビュー間もないときに同じ場所に居合わせているんですよ。昔、六本木のレストラン・キャンティの近くにブティックがあり、彼らは買い物をしていました。そこに僕も偶然いたのです。田辺エージェンシーの副社長だった方から「彼らはこれから売れていくミュージシャンだ」と教えてもらったことを覚えています。
『免許返納!?』は他にもさまざまな縁があって、『西部警察』の撮影時にお世話になったホテルのオーナーが、ロケ地・福島県の磐梯吾妻スカイライン近くのホテルのオーナーになっていて、思いがけない再会を果たしました。作品にも「かつてのスタッフが結集する」という熱いシーンがありますが、現実にもそのようなことが多々あったのです。

南条弘の人生は、私の俳優人生と重なるところが多く、『免許返納!?』には、『あぶない刑事』シリーズや昭和の名作ドラマ、有名映画など、「もしやあの作品?」と思えるパロディが散りばめられており、映画愛と想像力が高まっていく作品です。ぜひ、親子で、夫婦でお楽しみください。
『免許返納!?』 6月19日(金)公開

南条弘70歳、職業・俳優。古希を迎えて人生最大の窮地に陥る。事の発端は俳優仲間が起こしたバイク事故へのちょっとしたコメントが一人歩きしたこと。世間は「さすがスター俳優、南条弘!」「南条最高!」と持ち上げ、一人歩きした論調はいつしかマネージャーや家族をも巻き込み、南条の意図とは全く異なる形で拡大解釈されてしまう。本人の意思とは関係ないのに、「で、南条さんはいつ“免許返納”するんですか?」と聞かれる日々。人生最大のこのピンチをどう切り抜けるのだろうか。
監督:河合勇人
出演:舘ひろし ⻄野七瀬 黒川想⽮
南野陽⼦ ⼋嶋智⼈ MEGUMI 真⽮ミキ
⼤地真央 吉⽥鋼太郎 宇崎⻯童
公式サイト:https://menkyohenno-movie.com
(C)2026「免許返納!?」製作委員会
取材・文/前川亜紀 撮影/古谷利幸











