取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

「いらない子」と言われて、今までのことが納得できた

今回お話を伺った、絵里奈さん(仮名・35歳)は、26歳の時に結婚して、現在は都内で夫との2人暮らしをしています。仕事はしておらず、以前は美容系の消耗品を扱う企業で事務の仕事をしていたそう。絵里奈さんは今年で結婚10年目となりますが、いまだに馴染めない義家族との関係に疑問を持っていると言います。

「私は自分の家族ともそこまで近い距離じゃないというか、どこか遠慮して頼ることはおろか、今は疎遠になっているような関係です。それを大人になってからもう一つの家族です、と言われてもどうすればいいのかわからなくて……。仲良くすることと、家族になることは違うと思うのです」

絵里奈さんは岐阜県出身で、両親と3歳上に兄のいる4人家族。家族仲は良くなく、自身のことをいらなかった子だと語ります。

「厳格な父親、何の権限もない母親と、私を下に見る兄、といったところでしょうか。いらない子という表現はオーバーなわけではなく、父親に実際に言われたことがあるからです。兄は成績が優秀で、私は普通。兄妹を比べて言われたことなのですが、『両親はずっとそう思っていたから、私に優しくなかったんだ』と妙に納得できたのです」

兄妹を比べる発言はどこから来たものかを教えてくれました。

「中学生の時に高校受験のために私に家庭教師をつけてもらったことがあるのですが、私は先生にわからないところを伝えるのが苦手で、わかったふりを続けてしまっていました。当然、成績は伸びませんよね。何人か先生が代わって、その後両親が兄にお小遣いを増やす条件で頼んで、勉強を見てもらうようになりました。そしたら、輪をかけてわからないことが増えて、成績はさらに下がってしまって。勉強ができる人あるあるなのですが、教え慣れていない人は自分がわかった方法で伝えてくるので、事細かく教えてくれることはなくて。兄には『時間の無駄』だと言われ、父親からは……。そこで見限られたのだと思います」

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