
1970年代、少女漫画は飛躍的な進化を遂げました。その中心にいて、少女漫画の地平を切り拓き、時代を超えて読み継がれる名作を生み出してきた三人。
萩尾望都(はぎお・もと)

『週刊少女コミック』(小学館)1976年10号
付録バレンタイン・カード
(C)萩尾望都/小学館
永遠に生きる吸血鬼(バンパネラ)・エドガーを主人公にした連作「ポーの一族」(1972-76年)をはじめ、少年期の繊細な心理描写が高い評価を受けた「トーマの心臓」、「11人いる!」「銀の三角」などのSF作品も多く手がけ、壮大な世界観の作品を描き続けました。
山岸凉子(やまぎし・りょうこ)

『LaLa』(白泉社)1981年9月号 扉
(C)山岸凉子
卓越した身体表現でそれまでのバレエ漫画とは一線を画した「アラベスク」で一躍注目を集め、若き日の聖徳太子を独自の切り口で描いた「日出処の天子」(1980-84年)では漫画界に大きなセンセーションを巻き起こしました。
大和和紀(やまと・わき)

『週刊少女フレンド』(講談社)
1976年10月20日号(20号)
(C)大和和紀/講談社
大正時代を舞台にした波乱万丈な恋愛ドラマ「はいからさんが通る」(1975-77年)は、何度もアニメ化・舞台化されている代表作。日本文学の最高傑作『源氏物語』を漫画化した「あさきゆめみし」(1979-93年)は、教育の現場からも高い評価を受けています。
三人の画業を辿る展覧会が、国立新美術館の開館20周年を記念して開催されます。(10月28日~2027年2月8日)
本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。
「本展では、三人の作家を軸に、内面の揺らぎや他者との関係、女性の自立や多様な性のあり方、歴史や文化への眼差し、異なる世界への想像力、そして重層的なレイアウトなどに見る漫画技法としての進化も含め、少女漫画が培ってきた幅広い主題と手法など、多層的に展開してきた少女漫画の魅力を「インフィニティInfinity=無限大」という言葉に込めました。
萩尾望都の幻想的で内面世界に深く分け入る物語、山岸凉子の人間の業や精神性に鋭く迫る表現、大和和紀の歴史や文化を背景にした華やかな作品世界。それぞれが独自の領域を切り拓き、少女漫画の表現を新たな次元へと更新し続けてきました。いずれも1960年代後半のデビュー以来、第一線で活躍を続けています。本展では、その約60年の歩みを辿ります。

『別冊少女コミック』(小学館)1975年10月号 扉
(C)萩尾望都/小学館

『りぼん』(集英社)1972年7月号 扉
(C)山岸凉子

『mimi』(講談社)1983年7月22日号(2号)扉
(C)大和和紀/講談社
漫画本編の原稿から読み取れる繊細な線、巧みな構成、雑誌の表紙や扉を飾ったカラーイラストの美しい色彩。原画ならではの質感を通して、印刷では再現しきれない微妙な色合いやディテールをぜひ会場でご覧ください。本展では、モノクロ及びカラー原画合わせて800点以上を展示します。(カラー作品は前期・後期で展示替えあり)」
音声ガイドナビゲーターは、『ポーの一族』『はいからさんが通る』など宝塚歌劇の舞台で作品世界を表現してきた柚香光さん。柚香さんの案内で会場を回るのも楽しみです。
【開催概要】
少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展
会期:2026年10月28日(水)~2027年2月8日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7—22―2
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式ウェブサイト:https://www.shojomanga.jp
開館時間:10時~18時、金・土曜日は~20時(入場はいずれも閉館30分前まで)
休館日:火曜日(ただし11月3日、12月8日は開館)、11月4日(水)、年末年始(12月
28日~1月5日)
料金:展覧会公式ウェブサイト参照
アクセス:展覧会公式ウェブサイト参照
取材・文/池田充枝







