
「ねんきん定期便は、いつ届くの?」「毎年届くはずなのに、今年は届いていない」「50歳を過ぎたら年金の見込額が分かると聞いたけれど、どこを見ればいい?」このように、ねんきん定期便について疑問や不安を感じている人は少なくありません。
ねんきん定期便には、これまでの年金加入記録や保険料の納付状況、将来受け取れる年金の見込額など、重要な情報が記載されています。
特に50歳以上になると、将来の年金見込額が具体的に表示されるため「老後にいくら準備すればいいのか」を考えるための大切な資料になります。そこで今回は、ねんきん定期便が届く時期や、届かない時に考えられる理由、50歳以上・60歳以上の人が確認したいポイント、届いた後の見方などについて見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)(ライフブック(R))を提唱する、独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。
ねんきん定期便はいつ届く?
ねんきん定期便は、原則として毎年、自分の誕生月に発送されます。ただし、誕生日当日に届くわけではありません。また、誕生月の何日に届くのかも人によって異なります。まずは、ねんきん定期便がいつ頃届くものなのか、基本的な仕組みから確認していきましょう。
毎年、誕生月に届くのが基本
ねんきん定期便は、国民年金や厚生年金に加入している人などを対象として、原則、毎年誕生月に送られます。たとえば、10月生まれの人であれば、基本的には10月にねんきん定期便が届きますが、発送や郵便事情などによって、到着する時期には多少の違いがありますので、「去年は10月5日に届いたから、今年も同じ頃に届く」と決まっているわけではありません。
また、年齢によって記載される内容や様式が異なります。特に50歳以上になると、将来の年金見込額を確認できるようになるため、ねんきん定期便を老後の生活設計に活用しやすくなります。
誕生月のいつ頃届く? 作成時期と到着時期の目安
ねんきん定期便は、誕生月の2か月前に作成され、誕生月に届くように発送されています。たとえば10月生まれの人なら、8月頃にねんきん定期便が作成され、10月に届くという流れです。ただし、1日生まれの人は少し異なります。1日生まれの場合は、誕生月の3か月前に作成され、誕生月の前月に届くようになっています。
そのため、1日生まれの人は、誕生月の前月に届いていても不思議ではありません。「まだ誕生月ではないのに届いた」と思うかもしれませんが、これは通常の送付時期です。なお、郵便事情などによって到着する日にちは前後する可能性があります。誕生月になったばかりで届いていなくても、すぐに年金記録に問題があると考える必要はありません。
「年金定期便」と「ねんきん定期便」の表記の違い
「年金定期便」と「ねんきん定期便」は違うものなのか、と疑問に思う人もいるかもしれません。正式な名称は「ねんきん定期便」です。インターネットで検索すると「年金定期便」という表記を見かけることがありますが、日本年金機構が使用している正式な表記が「ねんきん定期便」であり、「年金定期便」と表記されているものも、基本的にはこの「ねんきん定期便」を指しています。別の制度や書類というわけではありません。
ハガキで届く場合と封書で届く場合
ねんきん定期便には、ハガキで届く場合と封書で届く場合があります。原則として、35歳、45歳、59歳の人には封書で、それ以外の年齢の人にはハガキで送られます。封書の場合は、ハガキよりも詳しい年金加入記録などが確認できるようになっています。
特に59歳は、60歳という節目を前に、これまでの加入記録を確認する上で重要な時期です。封書で届いた場合は、「年金額だけ確認して終わり」ではなく、これまでの加入記録に間違いや抜けがないかもしっかり確認しておきましょう。

ねんきん定期便が届かないのはなぜ?
「誕生月なのに、ねんきん定期便が届かない」となると、「自分の年金記録に何か問題があるのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、届かない理由は一つではありません。住所の変更や年金記録の状況などによって、通常とは異なる対応になる場合もあります。
ここでは、ねんきん定期便が届かない時に確認したいポイントを見ていきましょう。
住所変更が反映されていないケース
日本年金機構にマイナンバーが登録されている人は、原則として住所変更の届出は必要ありません。住民票の異動などを通じて、日本年金機構の登録住所も更新される仕組みになっています。ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されていない人や、住民票の住所とは異なる場所に住んでいる人などは、住所変更の届出が必要になる場合があります。
引っ越しをしたばかりの人などは、住所変更がまだ反映されていなかったりすると、年金記録に登録されている住所と現在の住所が一致していない可能性があるため、手元に届かないことがあります。そのため、引っ越しをした後にねんきん定期便が届かない場合は、「住所変更の手続きをしていないから」とすぐに考えるのではなく、日本年金機構に登録されている住所が現在の住所と合っているかを確認してみましょう。
年金加入記録がない期間があるケース
届いたねんきん定期便を確認した際に、これまでの年金加入記録が複雑な場合には、ねんきん定期便の記載内容について疑問を感じることもあります。たとえば、会社を退職してから国民年金に切り替えるまでに期間が空いている、海外に住んでいた期間がある、学生時代の年金について手続きをしたなど、さまざまなケースがあります。
ねんきん定期便に「未納」や「未加入」といった記録があったとしても、すぐに「間違っている」と判断するのではなく、自分の過去の状況と照らし合わせて確認することが大切です。記録に心当たりがない場合は、年金事務所などに問い合わせて確認しましょう。
配偶者・扶養・第3号被保険者で迷いやすいポイント
会社員や公務員などの配偶者に扶養されている人は、「自分で年金保険料を払っていないから、年金にも加入していない」とは限りません。一定の条件を満たす20歳以上60歳未満の配偶者は、国民年金の「第3号被保険者」となっている場合があります。
第3号被保険者は、自分自身で国民年金保険料を納める必要はありませんが、第3号被保険者である期間が年金加入期間として扱われます。そのため、配偶者の扶養に入っていた期間がある人は、その期間がきちんと年金記録に反映されているか確認しておくことが重要です。
60歳以上で「届かない」と検索される理由
60歳を過ぎると、「ねんきん定期便はもう届かないの?」と疑問に思う人が増えます。しかし、60歳になったからといって、すべての人にねんきん定期便が届かなくなるわけではありません。60歳以上でも、年金の加入状況などに応じてねんきん定期便が送られる場合があります。
また、60歳以降は年金の受給開始時期や、働きながら年金を受け取る場合の扱いなど、確認したい内容が変わってきます。「60歳になったのに届かない」と思った場合は、年金事務所や日本年金機構に確認してみるといいでしょう。
50歳以上・60歳以上で見方はどう変わる?
ねんきん定期便は、年齢によって特に注目したい部分が変わります。50歳未満の場合は、これまでの年金加入記録を確認することが中心になりますが、50歳以上になると、将来の年金見込額がより具体的に確認できるようになります。
さらに60歳を過ぎると、「いくらもらえるか」だけでなく、「いつから受け取るか」という視点も重要になります。
50歳未満と50歳以上で記載内容が変わる
50歳未満の人のねんきん定期便では、これまでの加入実績をもとにした年金額などが中心となります。
<図表1>50歳未満の人のねんきん定期便

一方、50歳以上になると、現在の加入条件が60歳まで続くものと仮定した場合などの、将来の年金見込額が表示されます。
<図表2>50歳以上の人のねんきん定期便

そのため、50歳を過ぎたら、ねんきん定期便を「これまでの年金記録を見るためのもの」だけではなく、「老後の収入を確認するための資料」として活用するといいでしょう。ただし、表示されている金額が将来必ずそのまま受け取れる金額というわけではありません。
今後の働き方や厚生年金への加入状況、年金を受け取り始める時期などによって、実際の受給額は変わる可能性があります。
50歳以上で確認したい年金見込額
50歳以上の人が特に確認したいのが「老齢年金の見込額」です。ここに記載された金額を確認することで、老後の生活費をどの程度年金でまかなえるのかを思い描きやすくなります。
たとえば、夫婦2人の生活費が月25万円必要だとして、2人の年金を合わせた見込額が月20万円なら、単純計算で毎月5万円を貯蓄などから取り崩す必要があります。50歳を過ぎたら「年金はいくらもらえるのか」を確認し、その金額をもとに老後資金の準備を考えることが大切です。
60歳以上で確認したい受給開始前後のポイント
60歳以上になると、年金額に加えて「いつから受け取るか」が重要になります。老齢年金は原則65歳から受け取りますが、一定の条件のもとで60歳から65歳になるまでの間に繰上げて受け取ったり、66歳以降に繰下げて受け取ったりすることもできます。
受け取り開始時期を変えると、原則として一生涯受け取る年金額も変わります。そのため、60歳以降は「年金見込額はいくらか」だけでなく「何歳から受け取るのが自分に合っているか」も考えておきましょう。
64歳・65歳前後で注意したいこと
64歳から65歳になる頃は、年金について特に注意したい時期です。65歳から老齢年金を受け取る場合には、原則として年金の請求手続きが必要になります。「65歳になれば自動的に年金が振り込まれる」と思っている人もいますが、年金は原則として請求しなければ受け取ることができません。
また、60歳代で働いている場合は、給与と年金の関係について確認が必要になるケースもあります。65歳が近づいてきたら、ねんきん定期便だけでなく、日本年金機構から届く年金請求に関する書類もしっかり確認しましょう。
ねんきん定期便が届いたら、どこを見る?
ねんきん定期便が届いたら、年金見込額だけを確認して終わりにしてはいけません。特に重要なのは、「自分の年金記録が正しく登録されているか」です。ここでは、ねんきん定期便が届いた時に確認したいポイントを整理します。
年金加入期間を確認する
まず確認したいのが、これまでの年金加入期間です。会社員として厚生年金に加入していた期間、国民年金を納めていた期間、第3号被保険者だった期間などに、抜けがないか確認します。特に、転職を何度も経験している人や、退職後に自営業をしていた人などは、過去の記録を一度確認しておくと安心です。
「この会社で働いていた期間が載っていない」など、明らかに心当たりと違う部分があれば、そのままにせず年金事務所等で確認しましょう。
これまでの保険料納付額を確認する
ねんきん定期便では、これまでに納付した年金保険料についても確認できます。長年会社員として働いてきた人は、厚生年金保険料についても確認しておきましょう。
ただし、公的年金は「自分が払った保険料を将来自分がそのまま受け取る」という仕組みではありません。現役世代が納める保険料などを財源として、その時々の年金受給者に年金を支給する仕組みが基本となっています。
将来の年金見込額を確認する
50歳以上の人は、将来の年金見込額を確認しましょう。ここで重要なのは、単に金額を見るだけではなく、その金額で老後の生活が成り立つかを考えることです。たとえば、毎月の生活費が25万円必要なのに、年金見込額が月15万円なら、毎月10万円程度を貯蓄や就労収入などで補う必要があります。
こうした不足額を早い段階で把握できれば、貯蓄やNISA・iDeCoなどの制度を利用した資産運用などを含め、老後資金の準備について考えるきっかけになります。
夫婦で確認する時の見方
夫婦の場合は、それぞれのねんきん定期便を確認することが大切です。夫だけ、妻だけを見るのではなく、2人分の年金見込額を合計して、世帯としてどの程度の年金収入になるのかを確認しましょう。さらに、夫婦のどちらか一方が亡くなった場合には、世帯の年金収入がどう変わるのかも考えておくと安心です。老後資金を考える時は、「夫婦2人で生活する期間」だけでなく、「1人になった場合」も想定しておくことが重要です。
よくある疑問Q&A
ねんきん定期便については、「毎年届くの?」「60歳を過ぎても届く?」「なくしたらどうすればいい?」など、さまざまな疑問があります。ここでは、特に多い疑問について簡単に整理します。

ねんきん定期便は毎年届く?
原則として毎年、誕生月に届きます。ただし、年齢や年金の加入状況などによって、様式や記載内容が異なります。また、電子版のねんきん定期便を「ねんきんネット」で確認することもできます。
誕生月を過ぎても届かない時はどうする?
誕生月を過ぎても届かない場合は、まず登録されている住所などを確認してみましょう。それでも届かない場合は、日本年金機構の「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」や、近くの年金事務所に問い合わせることができます。「届かないから仕方がない」と放置するのではなく、一度確認しておくと安心です。
60歳以上でも届く?
はい。60歳以上でも、ねんきん定期便が届く場合があります。「60歳になったから、ねんきん定期便はもう届かない」という訳ではありません。60歳以降は、年金の加入状況や受給開始時期などを確認する意味でも、届いた書類をしっかり確認しましょう。
65歳になったら、ねんきん定期便はどうなる?
65歳以降も、年金受給者にはねんきん定期便が送られます。ただし、65歳前後は「ねんきん定期便」だけでなく、年金を受け取るための請求手続きに関する書類も重要です。65歳になれば自動的に年金が振り込まれるとは限らないため、年金請求に関する案内が届いたら、内容を確認して必要な手続きを行ないましょう。
いつまで保管しておけばいい?
ねんきん定期便には、これまでの年金加入記録など重要な情報が記載されています。過去のねんきん定期便をすべて永久に保管しておかなければならないというわけではありませんが、少なくとも内容を確認するまでは保管しておくと安心です。また、過去のねんきん定期便をなくしてしまった場合でも、再発行を依頼することができます。
日本年金機構に問い合わせることで、最新の年金加入記録をもとに作成したねんきん定期便を送ってもらうことができます。さらに、「ねんきんネット」を利用すれば、インターネット上で自分の年金記録や年金見込額などを確認できます。
まとめ
ねんきん定期便は、原則として毎年、誕生月に届きます。届いたら、年金加入期間や年金見込額を確認しておきましょう。特に50歳以上の人は、見込額を老後の生活設計に役立てることが大切です。60歳以降は「いつから年金を受け取るか」も含めて考えましょう。届かない場合や記録に不明な点がある場合は、日本年金機構や年金事務所に確認すると安心です。
資産運用や投資の助言は、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらの助言は本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
ご自身のライフプランを考える時には、生命保険や金融商品の販売をせずに中立的な立場から相談対応に徹する独立系のファイナンシャルプランナーへの相談をお勧めします。
●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)











