
仕事や家事に追われ「最近、ちょっとしたことでイライラする」「目が疲れやすく、夜には脚までつる」と悩んでいませんか? 漢方医学では、こうした一見ばらばらの不調を、五臓のひとつである「肝(かん)」の乱れから考えることがあります。
あんしん漢方所属の薬剤師で漢方薬にも詳しい中田早苗さんに、漢方医学における肝の役割とセルフケアをうかがいました。
漢方医学における「肝」とは?

漢方医学における「肝」は、西洋医学における肝臓そのものではなく、感情や自律神経、新陳代謝を含む全身の働きが滞りなく進むよう、調節する役割があると考えられています。
肝の主な働きは、生命エネルギーである「気(き)」を巡らせる「疏泄(そせつ)」と、栄養を運ぶ「血(けつ)」を蓄えて血流量を調整する「蔵血(ぞうけつ)」です。
気が巡れば気持ちを切り替えやすくなり、血が満ちれば目や筋肉にも栄養が届きやすくなります。つまり肝は、心と体の流れを整える役割を担っているのです。
肝の機能が低下するとどうなる?

肝はストレスの影響を受けやすく、感情を我慢し続けたり忙しさで休めなかったりすると機能が低下しやすいと考えられています。
肝の機能が低下すると、気の巡りが滞ってイライラや気分の落ち込み、食欲の低下、おなかの張りなどがあらわれることがあります。
また、肝に蓄えられる血が不足する「肝血虚(かんけっきょ)」では、目の乾燥や眼精疲労、爪の割れ、筋肉のこわばりやこむら返りにつながることも。このように、関係がないと思ってしまいがちな不調の背景に、じつは肝が関係していることがあるのです。
肝を補うセルフケア

肝を補うには血を補う食材を摂ったり肝の働きを助けたりするセルフケアを取り入れることが大切です。今日からできるセルフケアを紹介します。
1.肝を補う食材を摂る
漢方医学では、酸味は肝と関係する味とされます。酸味は単に酸っぱい味というだけではなく、その味の作用そのものを指しており、必ずしも酸っぱい食べ物とは限りません。
具体的には酢や梅、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、すもも、トマトなどが挙げられます。
また、肝が蓄える血を増やすには、鉄分やたんぱく質を含むレバーや赤身肉、うなぎ、かつお、あさりなどの補血食材がおすすめです。かつおをポン酢で食べるなど、酸味のある食材と補血食材をあわせて摂ることを意識しましょう。
2.香りを楽しむ時間をつくる
ストレスを感じて気持ちが張りつめているときは、香りを使って意識的にオフへ切り替える時間をつくりましょう。ティッシュやアロマストーンに精油を一滴垂らし、香りを楽しみながらゆっくり呼吸するだけでも十分です。
漢方医学では、柑橘系の香りには気の巡りを助ける効果があると考えます。スイートオレンジやシトラスなどの柑橘系のアロマを取り入れると、肝の働きのサポートにつながります。
3.ツボ押しをする
肝の働きを助けるにはツボ押しをするのも効果的です。おすすめは「三陰交(さんいんこう)」です。
【三陰交】

三陰交は足の内側のくるぶしの上にあり、くるぶしから手の指4本分上の骨のキワに位置します。気や血の流れを整える作用や、消化に関わる内臓を補助する働きがあり、全身へ気や血を届けるのを促進してくれます。
押す際は、押しやすい指で押しながら5秒かけて鼻から息を吸い、力を抜きながら10秒かけて口から息を吐き出しましょう。
肝の不調におすすめの漢方薬

イライラや目の不調など肝に関係する不調が続いているなら、漢方薬を活用するのもおすすめです。漢方薬は心と体のバランスを整えて、体質から改善を目指します。肝の不調には、血を補ったり気の巡りを助けたりする漢方薬を選びましょう。
抑肝散(よくかんさん):
ストレスや緊張を和らげ、精神を安定させてイライラや不眠などを改善する漢方薬です。神経が高ぶりやすい人に向いています。
大柴胡湯(だいさいことう):
体内の余分な熱を発散させ、肝の働きをよくすることで脂質代謝を促進する漢方薬です。ストレスで食べすぎてしまう人に向いています。
「市販薬をなんとなく続けている」「自分に合う処方がわからない」という人は、専門家に相談することが近道です。
オンライン漢方サービス「あんしん漢方」では、体質や症状に関する質問をもとに、漢方薬に詳しい医師や薬剤師が漢方薬の選択をサポートします。相談から漢方薬の購入までスマホひとつで完結できるため、忙しい人でもセルフケアに取り入れやすいでしょう。
肝を整えて軽やかな毎日へ

イライラ、目の疲れ、筋肉のこわばりなどの不調は、漢方医学では肝が発するサインとして捉えます。酸味や補血を意識した食事や香りによるストレスケアなど、毎日の小さなケアから肝を労わってみましょう。それでも不調が続くときは、我慢したり自己判断で複数の漢方薬を試したりせず、専門家に相談することが大切です。専門家の力も借りながら、肝の不調に振り回されない軽やかな毎日を目指しましょう。
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0320&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=260811







