もっと甘く、もっと美味しくをモットーに働く若き農場主
熊本県は茨城県に次ぐ、国内屈指のメロンの産地。県内の各地で「アンデス」「クインシー」「肥後グリーン」「レノン」といった品種が生産されている。比較的、手頃な価格のメロンが作られているのが熊本の特色だ。
訪れたのは有明海に近い宇土市の「河野FARM」。1.3町歩(約1万3000㎡)の農地で栽培を行なう、県内屈指の大規模メロン農家だ。農場主は3代目の河野智一さん、60年前に祖父が始めたメロン農家を継ぎ、現在は23棟のハウスでメロンを栽培する。
このハウスが広い。長さは約100mあるという。
「作付け面積は宇土市ではトップ、年間で約5万玉のメロンを出荷しています」(河野さん)
今年はハウスをさらに5棟増やす予定だという。
「高齢化で宇土市内のメロン農家が、最盛期の200軒から30軒以下に減少しています。それなら自分がやろうと、空いた農地を借りて作付けを広げています。祖父が始めたメロン栽培を継承、拡大したいということは常にありますが、地域全体の生産量の低下をくいとめたいという思いも強くあります」
取材時はアンデスメロンの出荷が始まった頃で、春から夏にかけてレノンメロン、肥後グリーンなどが加わり最盛期を迎え、多いときは1日2000玉を出荷する。
昨年、河野さんは出荷の主軸をネット通販などの直販に切り替えた。自分が作ったメロンがどこの誰に食べられているのか「顔の見える農業」がしたいと思ったからだ。「そのためにもっと甘くて美味しいメロンを作って、ブランド力を高めたい」と話す。
先輩農家の経験を共有したい
一方、河野さんが近年取り組んでいるのはデータ化だ。
「各ハウスの温度と湿度が育成にどのような影響があるのかデータを取っています。たとえば、どれくらいの温度帯で果実が一番太りやすいか、といった最適な栽培条件を数値化したいと思っています」
河野さんが模索するのは、メロン農家の持続可能性だ。
「高齢化で農業をやめる先輩農家の知識や技術を、データ化して記録し継承することの重要性を感じています。それを地域全体で共有したい、というのが夢ですね。この場所で続けてきたメロン農家の50年、60年の経験を継承しないのはもったいないですから」
河野FARM
熊本県宇土市笹原町101
取り寄せ期間:~8月(品種により異なる)
撮影/藤田修平、取材・文/宇野正樹












