デビューから50年、第一線を走り続け、ダンディでセクシーな魅力を保ち続けている俳優・舘ひろしさん。最新作は舘さんの魅力が詰まったアクションコメディ作品『免許返納!?』(6/19全国劇場公開)です。前編では若さを維持する秘訣や映画の見どころについて聞きましたが、後編ではご自身の生きる姿勢や、運命の出会いについてお伺いしました。(前編はこちらから)

――『免許返納!?』は、舘さんの分身ともいえるアクションスター・南条弘(70歳)が主人公。彼は苦労して手に入れた真っ赤なフェラーリを「こいつは俺の人生そのものなんだ」と愛し、共に人生を歩んでいます。舘さんご自身が、頑張って手に入れたものはありますか?
僕はこだわりがないので、何かを必死で手に入れるということはありません。でも若い頃は違いました。20代の頃オートバイが欲しくて、おふくろに「本を買うからお金が欲しい」と嘘を言って送ってもらい、オートバイを手に入れたのです。
あるときおふくろが僕のアパートに来て「ひろし、あんなにたくさん買った本はどこにあるの?」と聞いてきたときはまいっちゃいましたね(笑)。おふくろもわかっていたとは思いますが。

車については、僕自身はモーガンやトヨタ2000GTほかクラシックなものが好き。でも『免許返納!?』のスター南条弘の愛車はフェラーリ『328GTS』の赤でなければならないと、こだわりました。赤のフェラーリは、車そのものに圧倒的な雰囲気とわかりやすさがあります。プロデューサーが頑張って探してくれただけあり、実際、あのフェラーリはすごくいいお芝居をしてくれたと思いますよ。
――真っ赤なフェラーリは、映画スター・南条に愛され、亡き妻との思い出を重ねながら、未来につながっていく存在になりました。あのフェラーリは南条との特別な出会いがあったから、命が吹き込まれたのでしょう。舘さんにとって忘れられない出会いについて、お伺いしたいです。
それはやはり、俳優・渡哲也さんとの出会いです。渡さんとお会いしたから、今の僕がある。初めてお目にかかったのは、1979年10月、29歳の頃です。テレビドラマシリーズ『西部警察』の記者発表前に、渡さんが「舘くんと会いたい」と連絡をくださって、待ち合わせ場所の神宮前のコーヒーショップに10分前に行きました。
それなのに、もう渡さんはそこにいらっしゃって、僕の姿を認めると立ち上がり「渡です」と手をスッと差し出してくださった。そのときまで、僕は多くのスターと呼ばれる方にお会いしましたが、渡さんの佇まい、存在感は全く違いました。
人としての姿勢を問われている心地よい緊張感があり、そこが俳優の真価だと思いました。渡さんの折り目正しさ、人間力は今でも僕の目標です。

舘さんが影響を受けたのは、江戸から明治の激動期を生きた「士族出身の祖父」【次のページに続きます】











