点心の名店『家全七福酒家』のチャーシュー饅の肉だねに「李錦記オイスターソース」が使われている。李錦記「オイスターソース」565円(255g)

130年以上も指示され続ける「李錦記」

中華のみならず、さまざまな料理に便利な万能調味料であるオイスターソース。その誕生は1888年のこと。広東省珠海(しゅかい)の南水鎮(なんすいちん)で料理店を営んでいた李錦裳(リキンシェン)さんが、牡蠣を調理中に火を消し忘れたことに端を発する。時間が経過した鍋底には褐色の煮汁が溜まり、じつに濃厚なコクと旨みを蓄えていたことにヒントを得た李さんは、オイスターソースとして売り出し、「李錦記(リキンキ)」を創業した。

日本へもたらされたのは1960年代のこと。中華料理店へ調味料の提供を開始し、販路が広がる。やがて家庭用商品もでき、オイスターソースは認知されていく。創業時から変わらぬ真摯なものづくりを信条に、材料となる牡蠣は自社管理の養殖場で育てられ、秘伝の製法と最新の設備で、よりおいしく安全な品を提供している。

新鮮な牡蠣だけを使用し丁寧に火にかける。かつては手づくりであった。
最新の技術を取り入れ、さらなる品質アップに邁進。

オイスターソースのさらなるおいしさを追究する「李錦記」の専任シェフ

牛肉とじゃがいもを炒め合わせ、オイスターソースを加えるシェフ。スイーツとの相性がよく、プリンのカラメルソースにも採用している。

オイスターソースというと、中華の炒めものや煮込み料理に使うが、火を通さず“かける”だけでもよいということはあまり知られていない。そうした活用法を内外に伝えるべく、「李錦記」にはオイスターソースの可能性を試し探る、料理人が在籍している。

「牡蠣エキスの旨みとコク、砂糖による甘み、塩味を備えた『李錦記オイスターソース』。これさえあれば、食材の旨みを引き出し、味を浸透させることが容易です」と、シェフ。いわばオイスターソースは、日本の“めんつゆ”のような合わせ調味料なのである。

「日本のみなさんには、まずはオイスターソースを茹で野菜のつけダレとして試してほしい。次はお肉の下味付けに。濃厚な旨みがあるため15分ほどで味が染みわたり、塩、胡椒は不要。手間を省き、余計な塩分を控えることもできます」

下写真は料理例。主役に脇役にと、オイスターソースの懐の深さがうかがえる。

「李錦記」シェフによる、オイスターソースを活用したメニュー。炒めもの、麻婆豆腐は奥行きある味わいを引き出す。カニタマはソースをアクセントに。プリンは、カラメルソースにオイスターソースを用いることで、甘さを引き立て、エスニックな雰囲気に仕立てている。写真上から、牛肉とじゃがいものオイスターソース炒め、カニタマ、麻婆豆腐 トースト添え、オイスターソースのカラメルプリン。

香港の “三つ星”レストラン『富臨飯店』でオイスターソース料理の極意に迫る

『富臨飯店』きっての名物、鮑の煮込み料理。鍋の状態を見極めながら、オイスターソースを加える黄隆滔シェフ。
たっぷりと旨みを蓄えた鮑とナマコ、椎茸に、茹でたレタス、ひと口サイズのごはんを添えたひと皿。

あまたの料理人をはじめ、香港人が日頃から愛用する「李錦記オイスターソース」。ミシュランガイドで三つ星の称号を6年連続で獲得する『富臨飯店(フォーラムレストラン)』のエグゼクティブシェフ、黄隆滔(ウォンロントウ)さん(55歳)もまた幼少期から慣れ親しんできたという。なかでも思い出に残るのは「白切鶏(パイチーヂー)」という蒸し鶏で、

「母がよくつくってくれました。鶏肉を蒸し、オイスターソースをつけて食べるのですが本当においしかった。裕福ではなかったので鶏肉はごちそう。食卓にオイスターソースがあると、“今日は白切鶏だ”と喜んだものです」

そんな黄隆滔シェフによるオイスターソース料理の真骨頂が「鮑とナマコの煮込み」だ。これは“アワビ大王”の異名をとった創業者の故・楊貫一(ユエンクーンヤット)氏によるスペシャリテのひとつ。
 
31年にわたり、アワビ大王に師事研鑽を積んだ、黄隆滔シェフにとっても大切な料理で、

「師匠から受け継いだ味を提供できることが私の誇り。そのために食材の品質を追究しています」と、岩手の吉浜鮑(キッピンパオ)や青森の大間鮑(オウマパオ)など日本産の干し鮑を厳選する。

李錦記オイスターソースが食材が持つ本来の旨みを最大限に引き出す

「李錦記オイスターソース」で、艶やかで、風味豊かに煮込まれた鮑とナマコ、椎茸。

「日本産の干し鮑は旨みと弾力が申し分ない」という黄隆滔シェフ。そのよさを最大限に引き出す調理方法を訊くと、

「干し鮑は適切な湿度でじっくりと熟成させたのち、ていねいに戻します。鶏ガラや金華ハムでとっただしに鮑を入れ、弱火で長時間、鮑の中心部が半熟状態になるまでやわらかく煮込みます」

この状態を“溏心(とうしん)”といい、しっとりとなめらかな食感を生む。が、これではまだ最高のおいしさにはならぬ。黄隆滔シェフは、

「食材が持つ鮮味(中国語で旨みの意)を引き出せるかどうかが広東料理の肝。それには仕上げの調味料の品質が重要で、鮑料理の仕上げには最高品質のオイスターソースが不可欠なのです」と、鍋にたっぷりの「李錦記オイスターソース」を注ぐ。

オイスターソースによる一体感

「鮑とナマコの煮込み」は鮑と干しナマコ、干し椎茸を一緒に煮込む。ナマコは鮑とともに中華料理における四大海味のひとつ。椎茸も中華料理に欠かせない乾物で、それぞれ異なる食感と味わいを持つが、オイスターソースを仕上げに加えることで、三者の旨みを引き立て、まろやかなコクを出し、まとまりある一体感を深める。

「鮑とナマコはそのまま、椎茸と添えたレタスは熱々のソースをたっぷりからめてお召し上がりください」

乾物のほか、黄隆滔シェフが推薦するオイスターソース料理は「牛テールの煮込み」と「グース(ガチョウ)の足の煮込み」。どちらもコラーゲンを有し、オイスターソースと合わさることで一層コク深く、口当たりのバランスがよくなるという。

「『李錦記』は、私にとって単なる調味料ブランドではなく、まさに信頼できる頼もしい味方です」

富臨飯店(フォーラムレストラン)

銅鑼灣告士打道255-257號信和廣場1樓
電話: +852 2869 8282
営業時間: 11時30分〜14時30分、18時〜23時
定休日:無休

人生をオイしく、コク深く。「李錦記オイスターソース党」

李錦記オイスターソースを愛してやまない、俳優 高橋克典さんを党首に結成された「李錦記オイスターソース党」。特設ウェブサイト、SNSなどで伝統と革新それぞれのレシピを公開中。

 

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