いつまでも歩ける！ 膝痛予防ストレッチ【カラダが10歳若返る 鎌田式ずぼらストレッチ】

ストレッチで硬くなったカラダをゆるめ、ほぐすことは、体調不良の改善や病気の予防に有効と説く、74歳現役医師・鎌田 實先生は、さまざまな体調の不具合を自ら考案したストレッチで改善し、現在も大好きなスキーを楽しむ体力を維持しています。そこで、鎌田 實先生の著書『開脚はできなくていい！ カラダが10歳若返る 鎌田式ずぼらストレッチ』から、すぐに始められる簡単なストレッチをご紹介します。

文／鎌田 實

体を若々しく保つ膝痛予防の方法

数年前のこと。スキーで転んで、左膝の半月板を損傷してしまったことがあります。一時期は、関節内にヒアルロン酸注射を定期的に打たなければならないほど痛み、歩くこともままならないほどでした。けれど、日常的にストレッチをするようになって体が変わり、スキーも完全復活しています。 74歳を過ぎた今でも、ワンシー ズンに30日以上は滑っています。

「膝が痛い」という悩みを持っていらっしゃる方は多いのではないかと想像します。ストレッチは即効性があるものではありませんが、確実に体が変化していきます。ただし、決して無理をしないこと。「がんばるぞ！」と、気合いを入れるのではなく、テレビを見ながらの習慣くらいに捉えてください。僕の経験も踏まえると、膝が痛い人には別の本で紹介した鎌田式スクワットが効果的なのですが、そもそも膝が痛いわけですから、スクワットができない方も多いでしょう。だからこそ負荷の少ない運動やストレッチから始めることが、膝痛の悪化も防ぎ、あるいは予防にもなります。 

特に大腿四頭筋を鍛えると、膝が安定するため、歩くときに膝にかかる負担を軽くしてくれます。すでに膝痛がある方は無理せずに、できる範囲で行うようにしましょう。

 ストレッチを少しずつ続けていけば、いずれ鎌田式スクワットもできるようになるでしょう。足を開いたワイド・スクワットができるようになる頃には、膝痛も気にならなくなっているはずです。ぜひこのストレッチで膝痛を克服して、 90歳になっても自分の足で温泉旅行ができる体を目指しましょう。

膝痛予防（１）太ももの前側を伸ばし、大腿四頭筋を柔軟にして強化し、膝の痛みを予防する

大腿四頭筋の強化（１回15秒　左２回、右２回）

《ポイント》
・大腿四頭筋が硬いと反り腰になり、腰痛の原因になることも。 
・変形性膝関節症と診断された方も、痛みがないときならこの運動で膝痛の予防ができる。 
・呼吸は深くゆるやかに行うことで、体幹筋の強化にもなる。 

１． 仰向けになり、両膝を曲げる。

２．片足を上げて足を伸ばす。太ももの前側が収縮する。

３．反対の足も行う

膝痛予防（２）大腿四頭筋を刺激して、若返り・万能ホルモン「マイオカイン」の分泌もアップ

大腿四頭筋のストレッチ（１セット　左30回、右30回）

《ポイント》
・支えている手を後ろにして、上体を後ろにすればするほど、大腿四頭筋が伸びる。無理のない範囲で行うこと。
・大腿四頭筋だけでなく、腸腰筋のストレッチにもなる。大腿四頭筋・腸腰筋は、90 代になっても自分の足で歩くための大切な筋肉なので、 このストレッチは重要。

１．床に足を伸ばした状態で座る。

２．左足を後ろに曲げてお尻の横に入れて、曲げた足の太ももの前部 （大腿四頭筋）が伸びているのを意識する。 

３．30 秒間、姿勢をキープしたのち、右足も同様に行う。 

３の姿勢を横から見た図。手と上体を後ろにすればするほど、負荷が強くなる。

＊　＊　＊

『開脚はできなくていい！カラダが10歳若返る 鎌田式ずぼらストレッチ』（鎌田 實 著）
宝島社

鎌田 實（かまた・みのる）
東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり、赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作る。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金理事長、JIM-NET代表、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員ほか。ベストセラー『がんばらない』、『70歳、医師の僕がたどり着いた　鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』（ともに集英社）ほか、著書多数。