【家族の絆】「うちの嫁は妊娠したのに…」悪意なく妊娠アウティングする義母から守ってくれたのは～その１～

取材・文／ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

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mederi株式会社は、「SRHR（※）」に関する意識調査（実施日：2024年４月15日〜４月30日、有効回答数：mederi Pillの公式Xアカウントのツイート閲覧者である女性154人、アンケートフォームを用いたSNS（X）調査）を実施。mederi調べによると、「妊娠／出産に関して自己決定できると思うか？」という質問に対して、「不安を感じているが自己決定したい」が36.4%、「実際に自己決定できた」が28.6%、「自己決定できると思う」が20.8%と半数以上を占めていたが、「自己決定できないと思う」と回答した人も7.8%存在した。「妊娠／出産の自己決定するにあたって参考にしたもの」を聞いたところ、親の意見（56人）、周りの友人が妊娠／出産しているかどうか（40人）、友人の意見（39人）、SNSでの情報（36人）という順になった。

今回お話を伺った麗子さん（仮名・42歳）は25歳で結婚するも、妊娠の時期について義母から過干渉された。さらには、本人の同意なく妊娠を言いふらす行為である妊娠アウティングまでされたという。

※「SRHR」とは、Sexual Reproductive Health and Rights（セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ）を示す言葉で、「性と生殖に関する健康と権利」のことを指す。

結婚してすぐ子どもが欲しかった夫と２年後でいい妻

麗子さんは両親と２歳下に弟のいる４人家族。家族仲は良く、麗子さんは25歳で結婚するまで実家で暮らしていた。ちょうど仕事が楽しくなってきたところだったこともあり、当時は結婚を迷ったと振り返る。

「高校のときからずっとアルバイトをしている飲食店が新しい業態のお店を出すということで、就職しないかと誘われたんです。当時は、副店長としてお店を回すことが楽しくなってきたときでした。夫は大学時代に知り合った人で、４歳上だったから相手は適齢期だったんだと思いますけど、正直結婚は迷いました。１人暮らしもしてみたかったし、友だちもまだ結婚していない子ばかりでしたから。

でも、真剣な表情でプロポーズをされて、はぐらかしたり、もう少し待ってほしいとは言えませんでした。断ると別れることになるのかもしれないと思い、夫を失いたくなかったからプロポーズを受けました」

結婚してから夫はすぐに子どもが欲しいと言ってきた。結婚後も続けていた飲食店の仕事を辞めたくなかった麗子さんは「２年は待ってほしい」と伝えて、夫も承諾してくれた。しかし、そこに義母が口を出してきたという。

「結婚してすぐに夫は『子どもは３人以上ほしい』とか、『男、女の順番がいい』などと、子どもの話ばかりをするようになりました。結婚前に私は仕事をこのまま続けたいと伝えて、夫はわかったと言ってくれていたので、子どもはもう少し先になることを理解してくれていると思っていました。ちゃんと確認しなかった私も悪かった。夫とちゃんと子どもについて話し合って、２年後にと期日を決めたんです。私の27歳の誕生日が来たら……と。

でも、夫は上辺だけの承諾だったみたいです。義母が子どものことで私に会いに来ましたから」

夫の実家は麗子さん夫婦が暮らす地域の２つ隣の県だった。日帰りできない距離ではないが、50代後半の義母に無理をさせるわけにはいかないと、義母が麗子さん夫婦の家に遊びに来ることは泊まりを意味していた。

「義母は電話で遊びに行きたいと言ってきたときには子どもの話は一切していなかったのに、家に着くなり、義母自身が子どもを授かるのにどれだけ苦労したのかの話を延々と、寝る直前までされました。その日は仕事が休みの日で休息を取りたかったのに、どっと疲れたことを覚えています」

【「子作りは２年後から」の約束は簡単に反故にされた。次ページに続きます】