【家族の秘密】「就職した息子と連絡が取れない…」出世コースを歩んでいた中高一貫校出身の息子の初めての反抗期～その１～

LINEで「探さないでください」と連絡が来た

ご夫妻には3人の子供がおり、一番手がかからなかったのが、真ん中の息子さんだと言います。

「僕が電話をしても出てもらえない。妻や娘たちがLINEをしても返信がない。勤務先はコロナ以降、リモートワークになっていることと、プライバシーの問題があり、社員のことは伝えられないという。そこで、妻が息子の勤務先とつながっている外国人男性に連絡したところ、“あれ？　彼はもう6年前に退職したよ”と言うんです。これはいったいどういうことだと、真っ青になりました」

勤務先にいないことを知り心配かつ困惑している、という内容を、祐美子さんはLINEで送った。

「すると、“僕は無事です。探さないでください”と返信がありました。全く手がかからず、安心しきっていた息子が、こんなことになるとは全く思わず。生きていることは分かったのでよいのですが……」

息子さんが住んでいたのは、ご夫妻が所有する港区内のヴィンテージマンション。

「僕が合鍵を持っているので入ったら、きれいに片づけられている。何年も住んでいないことはわかりましたが、時々人の手が入っているような気配があるんです。例えば、ガス台にホコリが積もっていなかったり、定期的に空気の入れ替えをしているような気配があったり……息子の手がかりがないかと思って、本棚を探したら、子供の貧困問題や教育格差などの専門書がズラリとあった。教員採用試験の問題集もたくさんあり、息子は学校の先生になろうとしていたのだとピンときたのです」

幼いころから息子さんは、将来は学校の先生になりたいと思っていた節があったと言います。

「私たちが早くに私立に入れてしまったのですが、地元の友達と遊ぶことを楽しみにしていた。それに彼の中に何らかの“使命”みたいなものがあったかもしれません。でも、公立学校の先生の仕事は、非常に勤務環境も待遇も悪い。世の中から20周以上遅れていることに、気付きながらも何もできないようなことがまかり通っています。まさか息子が先生になろうとしているとは、全く思いませんでした」

私たちは息子さんの家にご夫妻と共にお邪魔し、探偵目線で部屋に残されたものをチェックしました。デスクトップパソコンが残されており、パスワードが入っておらず、メールのやりとりを確認。

すると、最終の送信日が5年前になっており、ある私立小学校の教員として息子さんは採用されていました。これで、ご夫妻は「よかった」と泣いて抱き合って喜んでいました。

でも私が電話をして確認すると「採用は辞退されています」とのこと。二人は一気に地獄に叩き落されたような顔をして、崩れ落ちていました。子を思う親の気持ちは、本当に深いものです。私たちが部屋を調べている間、嗚咽する祐美子さんの肩を壮一さんが抱いていました。そんな壮一さんも声を出さずに涙を流している。私たちももらい泣きをしながら、手がかりを探したのです。

メールの内容や検索履歴から、どうも息子さんは近畿地方の大都市にいるとピンときました。何人かキーマンになる方がいたからです。名前を検索すると、そのうちの半数が、息子さんが出た中高一貫高校の出身。勤務先なども割り出して、これを手掛かりに現地に行くことにしました。

【息子は貧しい人々が住むエリアで生活し、別人のような姿になっていた……その２に続く】

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社　http://www.ritztantei.com/