解けたらスゴイ！ 江戸の出版文化にまつわる超難問クイズ4問【江戸クイズ】

それでは、正解を発表します！

【クイズ1】
「本由（ほんよし）は　人の噂で　飯を食ひ」
これは、ある有名な記録を編纂した江戸の古本屋の主人、須藤由蔵について詠んだ川柳です。さて、須藤由蔵が残したその記録とは何でしょう？

（い）『東都歳事記』
（ろ）『藤岡屋日記』
（は）『氷川清話（ひかわせいわ）』
（に）『耳囊（みみぶくろ）』

正解（ろ）
由蔵が武士などに提供した情報をまとめたものだといわれ、文化元年（1804）から明治元年（1868）まで65年間の幕府政治関係の諸記録をはじめ、江戸での災害や事件、物価や景気、風評などを編年で記している。

【クイズ2】
「草双紙」は、江戸時代に誕生した庶民向けの小説のひとつで、赤本・青本・黒本・黄表紙・合巻などの区分があります。このうち、安永4年（1775）に出版された作品で、「黄表紙」の嚆矢とされている『金々先生栄花夢（きんきんせんせいえいがのゆめ）』の作者は、誰でしょう？

（い）恋川春町
（ろ）山東京伝
（は）唐来参和
（に）朋誠堂喜三二

正解（い）
『金々先生栄花夢』は、中国の邯鄲（かんたん）の夢の故事を日本風に作り直した作品。田舎から江戸へ出てきた金村屋金兵衛が、目黒不動前の茶屋で餅を喰ううちに眠ってしまい……。夢のなかで、神田の豪商の家業を継ぎ、放蕩の限りを尽くして勘当を受けたところで眠りから覚める。

【クイズ3】
天保13年（1842）、幕府はそれまでにない厳しい出版統制令を発しました。これにより、11代将軍家斉の大奥を揶揄するものとして、発禁処分となった柳亭種彦の作品は何でしょう？

（い）『偐紫田舎源氏（にせむらさきいなかげんじ）』
（ろ）『春色梅児誉美（しゆんしよくうめごよみ）』
（は）『里すゞめねぐらの仮宿』
（に）『仕懸文庫（しかけぶんこ）』

正解（い）
天保の改革での出版統制の強化は、風俗是正の名のもとに行なわれた。幕府はすべての出版物を検閲することとし、とくに絵草紙・錦絵・人情本に厳しい統制を加えた。『偐紫田舎源氏』の草稿は全40編であったが、天保13年（1842）38編まで出版されたところで絶版処分を受けた。

【クイズ4】
江戸後期には、ファッションや化粧などのさまざまな実用書が出版されました。では、文化10年（1813）に刊行されロングセラーとなった書物は、どれでしょう？

（い）『女重宝記』
（ろ）『都風俗化粧伝』
（は）『当世風俗通』
（に）『女大学』

正解（ろ）
『都風俗化粧伝』は、京都・江戸・大坂における4書肆（しょし）によって、文化10年に刊行された、女性の身だしなみに関する本。「醜女もたちまち美人になる」というのが売りであったという。挿絵入りで、顔・手足・髪の手入れの方法、帯や衣服の着方、にきび・そばかす・しもやけなどの対策について叙述している。

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いかがでしたか？　今回は江戸検定の2級と1級の過去問から出題したため、少し難しかったかもしれません。全問解けた方は自信を持ってくださいね！

※問題の出典：『第4回　江戸検問題公式解説集』『第3回江戸文化歴史検定（2008年度）江戸検出題問題公式解説集』

取材・文／オノハルコ（晴レノ日スタヂオ）