9月9日(水)はサライ10月号の発売日です。今回の雑誌の見どころについて早速ご紹介します!

大特集は「サライの『書』」
「書」の美しさを実感するためには、「書」がどのように書かれたか、そのプロセスを辿ること。本特集ではまず、その鍵になる「筆蝕」、すなわち筆尖(筆先)と紙から伝わる触覚的な「筆ざわり」に着目、書の歴史から案内し、筆と墨と紙が織りなすドラマを感じながら名筆を味わいます。
自分でも筆を取ってみることで、書家の心と作品へのより深い理解が得られる「臨書」を紹介するほか、写経、書道教室、手紙ほか、人生をさらに豊かにする、さまざまな書の体験まで提案します。
第1部 名筆は書家の心から読み解く

塗朱亀腹甲卜辞『乙』 前14世紀頃。文字はもっぱら天との対話に用いられた。中国河南省出土。天地を結ぶ中央線と直交線、左右への文字の配置。それによる左右対称と均等間隔は書の美の基礎をなす。
隷草書(右)
『居延漢簡』 後漢時代(89〜105年頃)。漢字は公文書に用いられるようになる。中国内モンゴル自治区居延烽燧遺跡出土。この地の駐在軍官による記録。速度感にあふれる初期の草書体で書かれている。
写真(左右共に)/台北・中央研究院歴史語言研究所
「筆蝕」の理解には、書の歴史を振り返ることが必須との観点から、総論では書家・石川九楊さんが、古代中国・殷王朝の甲骨文に刻まれた最古の漢字まで遡り、篆書や隷書ほか書体の誕生や変遷を繙き、書くこと自体の心地よさに人が出会い、書の美が確立する原点から案内します。
続く本論では、中国・日本の書史に輝く名筆を味わいます。
取り上げた名筆は、王羲之『喪乱帖』/顔真卿『自書告身帖』/空海『風信帖』/小野道風『屏風土代』/藤原伊行『葦手絵和漢朗詠抄』/藤原俊成『日野切千載集』/黄庭堅『伏波神祠詩巻』/俊芿『泉涌寺勧縁疏』/本阿弥光悦『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』/良寛 山田杜皐宛書簡『地しんは信に』。
誌面では文字の「形」を鑑賞するだけでなく、石川さんが筆蝕を表現した「トン・スー」「スー・グー」などオノマトペとともに、一点一画の触覚的な「書きぶり」を、自分の指でなぞりながら追体験できる構成です。
さらに、古典の書きぶりを読み解き再現する「臨書」を、書家で東京学芸大学教授の加藤泰弘(書家名は加藤堆繫)さんから教わります。

唐の天宝11年(752)、長安・千福寺の多宝塔の建立経緯を記した石碑の紙本墨拓で、顔真卿44歳の書。一点一画すみずみまで力みなぎる作品だ。東京国立博物館蔵
写真/ColBase
第2部 「書」に親しむ

写経、書道教室、手紙……。日常の暮らしには、手で文字を書く喜びがあります。「書の愉しみ」により、人生をさらに豊かにすべく、さまざまな書の体験を提案します。
一心になぞれば心が整うのが写経です。参拝者用の写経場を設けている寺院も多く、そのひとつ鎌倉の長谷寺を訪ねます。「書」を生涯の友とし、筆を持つ愉しみを取り戻す「手習いとしての『書』」を、書家の永守蒼穹さんが、小筆の持ち方や筆運びの練習から、巧拙より真心を尊ぶ手紙の書き方まで案内します。
また夏目漱石、北大路魯山人、西田幾多郎、鈴木大拙の墨書を紹介、偉大な文人たちの人生の中にあった「書」に接することができます。
引き出し付録は原寸で美の真髄に触れる
国宝 藤原行成筆『白氏詩巻』
重文 伝紀貫之筆『寸松庵色紙』

本来角張った漢字が、優美な曲線の和様文字で表現されている。国宝、25.4×265.2cm、平安時代(1018年)。東京国立博物館蔵
写真/ColBase
平安中期の能書、藤原行成(972〜1027)は、小野道風・藤原佐理とともに「三蹟」と称され、中国書の匂いをきれいさっぱり消し去り日本の書を完成させました。国宝『白氏詩巻』は、唐の詩人・白居易(白楽天)の詩を行成が1018年に書写したもの(下写真)。また、重文『寸松庵色紙』は、平安時代を代表するひらがなの名品で、『古今和歌集』の歌を書写した断簡です。筆者は紀貫之(872〜945)と伝えられますが、実際には貫之の生きた時代より1世紀ほど後に書かれたものです。いずれも原寸で掲載します。
別冊付録は『「漢検」で腕だめし』

1975年に始まった漢検(日本漢字能力検定)は、小学1年生修了程度の10級から最難関の1級まで12段階があり、年齢を問わず自分のレベルに合わせて挑戦できる検定です。学習を通じて語彙力や文章の読解力・表現力が高まる上、認知機能の維持が期待できる生涯学習としても人気です。
この別冊付録には、2020年度と2024年度の日本漢字能力検定で実際に出題された3級、準2級、2級、準1級、1級の問題を収録。漢検の試験内容と、それぞれの級の難易度を把握する目安になります。大いに活用していただきたい別冊付録です。
特集はニッポン「新蕎麦」行脚

美味なる季節が到来、香りもツヤもひときわ豊かな新蕎麦には秋の歓びが宿ります。本特集では、まず風味の際立つ在来種の名産地へ。生産者を訪ね、挽きたての味わいを賞味できる地元の名店にも足を運びます。訪ねたのは山形は摩耶山の麓。越沢集落で代々受け継がれてきた在来作物の越沢三角そば、朝晩の寒暖差が激しく平安時代より蕎麦栽培の適地だった長野の戸隠そば、在来種ならではのコシの強さと豊かな風味が楽しめる福井の越前そば。水と大地、連綿と続く人の営みが生み出す美味への誘いです。
「酒肴をつまみ、頃合いを待つのが蕎麦店の愉しみ」との視点から、料理と酒が堪能できる名店を東京と京都より案内します。また全国の “駅蕎麦” のなかから、蕎麦粉を追究する評判の4店も紹介します。
さらに自宅で作れる「つゆ」にも注目。本格江戸前 “本返し” の極意を、創業119年の老舗 『茅場町長寿庵』の店主が、江戸前蕎麦の要となる「かえし」と「つゆ」の技を伝授します。

サライ・インタビューは古舘伊知郎さん(フリーアナウンサー・71歳)

1954年、東京生まれの古舘伊知郎さんは、立教大学経済学部卒業後、昭和52年にテレビ朝日にアナウンサーとして入社、 “古舘節” のプロレス実況で人気を博します。昭和59年フリーに転身し、F1実況や『夜のヒットスタジオDELUXE』の司会などで一世を風靡、平成16年より12年間、『報道ステーション』キャスターを務めるなど、テレビで活躍を続けてきました。「それゆえに正統派と勘違いされることがありますが、私はずっと邪道。 “本物の邪道” です」と語ります。
少年時代、家族からは無口で引っ込み思案と思われていた古舘さんが、アナウンサーを目指したきっかけ、新人アナウンサー時代の失敗談から、ゲストを招いて台本なし、打ち合わせなしに約2時間、喋り続けて客席を笑いの渦に巻き込むトークライブや、客員教授として8年目となった立教大学での講義のことまで、縦横無尽に語り尽くします。
実況モンスター、言葉の格闘家と評される古舘さんらしく、「70を過ぎても成長したいから、つねに “ひとり反省会” 」「人生、強迫観念だらけ」ほか、印象的な言葉が間断なく飛び出すインタビューです。
読み応え満載!「サライ10月号」をお見逃しなく












