健康

嗅覚の衰えを防ぐセルフトレーニング｜『カレーの匂いがわからなくなったら読む本』

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2019/7/26

文／鈴木拓也

嗅覚の衰えを防ぐシンプルなセルフトレーニング｜『カレーの匂いがわからなくなったら読む本』

視力や聴力は、加齢により衰えてゆくことはよく知られているが、嗅覚も男性は60歳頃から、女性は70歳頃から急激に衰え始める。

加齢による嗅覚の低下は、「食事がおいしくない」、「食品が腐りかけていてもわからない」、「ガス漏れや不審な煙を臭いで感知できない」といった問題を引き起こす。さらには、嗅覚が平均以下に落ちている高齢者は、軽度認知障害の発症率が約50%も高くなるという研究結果もある。
「たかが、においがちょっと分からなくなっただけで」と侮れないのである。

そんなシニアの嗅覚低下を回避するセルフトレーニングを提唱しているのが、金沢医科大学の三輪高喜教授だ。三輪教授は、書籍『カレーの匂いがわからなくなったら読む本』（主婦の友社）に、そうしたトレーニングを載せている。今回は、本書から簡単に実践できるものを紹介しよう。

■加齢以外の嗅覚低下リスクを抑える

嗅覚の低下は、加齢以外のいくつかの要因によっても起こりえる。三輪教授は、まずその要因を取り除くことをすすめる。

・鼻の病気：副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などに罹っているなら、医師の治療を受ける。当然に思えるが、意外とこうした病気を放置している人が多いという。そのままにしておくと、治りにくくなるため、早めの対処が肝心。
・生活習慣病：動脈硬化や糖尿病に罹ると、嗅覚が低下することがあるので、こうした生活習慣病も適切な治療を受ける。また、喫煙も嗅覚低下のリスクになるので、禁煙にチャレンジする。
・運動不足：あまり動かないライフスタイルは、将来の嗅覚低下につながりうるという。そこで、週に３回は汗をかくような運動をするとよい。

■いい匂いを嗅ぐトレーニング

三輪教授は、化粧品など匂いのあるものと付き合いが多い女性は、男性よりも嗅覚が優れていること、調香師のような香りのプロは加齢によっても嗅覚が衰えにくい点を挙げ、匂いと親しむことが、嗅覚を維持するトレーニングになるとしている。

そのやり方は、「朝30秒＋夜30秒を目安に、匂いを嗅ぐ」という、至ってシンプルなもの。

具体的にどんな匂いを嗅ぐかは明記されていないが、土台となったドイツの「嗅覚刺激療法」では、バラ、ユーカリ、レモン、丁子（クローブ）を使っていることから、香りのよい花、フルーツ、スパイス、ハーブ（やその精油）となるだろう。
効果をアップさせるコツは、同じ匂いばかり嗅ぐのでなく、複数の匂いを嗅ぐようにすること。例えば、３種の匂いを10秒ずつ嗅いで計30秒というふうに。また、「これはキンモクセイの匂い」というふうに、嗅いだものが何かを意識することも大事だという。