光の画家とも呼ばれ、英国ロマン主義を代表する芸術家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851年)。10代から画家として頭角を現し、弱冠26歳にして英国美術界の最高権威であったロイヤル・アカデミーの正会員となったターナーは、自然に対する鋭敏な感覚と実験的な絵画表現によって風景画のありかたを一変させ、後世のモネら、印象派の試みに先行した画家ともいわれています。

1846年展示 油彩/カンヴァス
テート美術館 Photo:Tate
国立西洋美術館で開催の「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」は、ターナーの傑作80点超が集結する大規模な展覧会です。(10月24日~2027年2月21日)
本展の見どころを、国立西洋美術館の主任研究員、新藤淳さんにうかがいました。
「昨年、2025年に生誕250周年を迎えた、英国絵画史上でもっとも偉大な画家ともみなされるターナーは、移ろう光や大気、荒れ狂う海や空、あるいは産業革命期に人間が排出しはじめた蒸気や煤煙など、この世界の一定ではない諸相をときに克明に、ときに抽象化して描きだしました。

1840-45年頃 油彩/カンヴァス
テート美術館 Photo:Tate
彼は絵画の可能性をきわめて実験的に拡張し、その歴史に新地平を切り拓いた、まぎれもない変革者だったといわねばなりません。そしてこの画家の作品は、18世紀後半にエドマンド・バークやイマヌエル・カントらの哲学者によってさかんに議論され、その後のロマン主義の芸術に多大な影響をおよぼした「崇高」という概念を体現したものとして評価されてもきました。

1798年展示 油彩/カンヴァス
テート美術館 Photo:Tate
今回の展覧会は、世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館の所蔵品から、油彩画や水彩画など、80点以上をご紹介する回顧展です。ターナーの作品群をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿って展示します。

1840年 水彩、グワッシュ、ペン、インク/紙
テート美術館 Photo:Tate
しかし、そればかりではありません。本展では、ターナーが描いたものと戦後ないし現代の芸術作品を各章で併置して対話させることをつうじて、その過去の画家の問題意識が時空を超えて後世のアーティストたちの関心とも響きあうことを浮き彫りにします。どうかご期待ください」
【開催要項】
テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期:2026年10月24日(土)~2027年2月21日(日)
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
展覧会公式サイト:https://turner2026-27.exhibit.jp/
開館時間:9時30分~17時30分、金・土曜日は~20時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし11月23日、1月11日は開館)、11月24日(火)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月12日(火)※2027年1月12日(火)~2月21日(日)の期間、国立西洋美術館の常設展は閉室
料金:展覧会公式サイト参照
アクセス:展覧会公式サイト参照
巡回:大阪中之島美術館(2027年3月13日~6月27日)
取材・文/池田充枝







