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19世紀後半、ウィリアム・モリスが先導したアーツ・アンド・クラフツ運動は、当時の人々に大きな影響を及ぼし、イギリスの芸術家たちは、壁紙・タイル・家具・金工などさまざまな分野にわたって作品を生み出しました。
やがて世界各地に広がったアーツ・アンド・クラフツ運動は、アメリカでは機械工業を柔軟に取り入れることで独自の展開をし、建築家のフランク・ロイド・ライトやティファニー・スタジオの参加が知られます。
そごう美術館の「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」展は、運動の大きな流れを辿る展覧会です。(9月16日~11月5日)

ウィリアム・モリス《いちご泥棒》1883年
Photo(C)Brain Trust Inc.

本展の見どころを、そごう美術館の学芸員、寺田雅子さんにうかがいました。

「19世紀後半にイギリスで興ったアーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命以降急速に失われつつあった手仕事による制作活動を取り戻すこと、さらには、生活と芸術を一体化することを目指しました。
運動の中心人物となったウィリアム・モリス(1834-1896)は、手仕事が生活と結びついていた中世を理想とし、精力的に活動しました。

ウィリアム・モリス《格子垣》1864年
Photo(C)Brain Trust Inc.

《格子垣》は、モリスが、初めてデザインを手がけた壁紙です。バラの生垣、バラに集まる虫、そして虫を狙う鳥たちが描かれています。この壁紙は、モリスが新婚時代を過ごした家、レッド・ハウスにあった生垣から着想を得たといわれています。

ジョージ・ワシントン・ジャック《サーヴィル肘掛け椅子》1890年頃
Photo(C)Brain Trust Inc.

アーツ・アンド・クラフツ運動は、賛同者を増やし、イギリス、そして世界へと展開していきます。各地の歴史や文化を反映し、人々の生活を彩る多様なデザインが生まれました。
本展ではテキスタイルや壁紙、家具、金工など約170点の作品を通して、アーツ・アンド・クラフツ運動の歩みをご覧いただけます」

ジョン・ウォルシュ・ウォルシュ《カットグラスの扇型花器》
Photo(C)Brain Trust Inc
ティファニー・スタジオ《三輪のリリィの金色ランプ》1901-1925年頃
Photo(C)Brain Trust Inc.

時代を超えて生きるデザイン、手元においておきたいデザイン。ため息が聞こえてきそうな会場です。ぜひ足をお運びください。

【開催要項】
アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで
会期:2023年9月16日(土)~11月5日(日)
会場:そごう美術館
住所:横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階
電話:045・465・5515
公式サイト:https://www.sogo-seubu.jp/common/museum/
開館時間:10時~20時(入館は閉館30分前まで)
休館日:会期中無休
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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