価値観やライフスタイルが多様化し、正解のない時代にもかかわらず、周りと比べて「自分には強みがない」「自分はたいしたことない」と思い込んでいませんか?

大手コンサルティングファームに勤務しながら、週末にライフワークとして個人コンサル「はたらく女性のかていきょうし」を続けるタブタカヒロさんが提案するのは、解なき時代を生き抜くための「自分を物語化する」思考法。タブさん自身が仕事の壁にぶつかった際にキャリア論や戦略論を調べ尽くし、習得したスキルから編み出したキャリア戦略=「自分ものがたり」。

そこで、今回はタブタカヒロさんの著書『「自分ものがたり」で人生が変わる』(小学館)から、自分をものがたり化するための設定方法をご紹介。自分のこれまでを振り返り、好きだったこと苦手だったことからテーマを見つけることは、自分を見つめ直す作業になるそうです。

文/タブタカヒロ

「設定」は異端児風に

「異端児風」設定のお作法をひと言で表現するならば、それは「自分が主人公のものがたりの、設計」。具体的には、

主人公が「何を探し求める」ものがたりだろう?=テーマ
自分が共感してやまない、推せる主人公ってどんなのだろう?=キャラ

というふたつの問いについて、コネクティング・ドットして考えること。輝かしい学歴・職歴・受賞歴を並べる「ちゃんとした」経歴づくりとは全然違いますね。

まずはテーマ設計について。材料となる、ドット(経験)探しのコツは次の3つです。

・仕事に限らず、子どもの頃からさかのぼって思い出す
・出来事だけじゃなく、自分はどんな人だったか、何が好き、嫌いだったか、を思い出す
・ほろ苦い失敗、経験。あるいは「〜している時が楽しかった」という経験を思い出す

特に「自分は、子どもの頃から◯◯だった」みたいな振り返りは、本質的な自分のテーマをコネクティング・ドットしやすいのでおすすめ。「◯◯だった」の部分は、ポジティブなこと・ネガティブなこと、どっちでもOKです。

ポジティブ版「◯◯だった」の代表例は「◯◯が好きだった」。一見つながりのないキャリアでも、ちょっと広い目で振り返ると「◯◯が好き」的共通点は見つけやすい。その「好き」を追求するのが、自分ものがたりのテーマになるんです。

以前、ボクのクライアントで「音響関連の仕事を転々としてきたけど、これからは家業の旅館も手伝いたい。キャリアに脈絡ないけど」という女性がいました。ボクが「どんな子どもだったんですか?」って聞くと、「実家の旅館で子ども時代を過ごしたから、自然の音を聞き分けるのが好きな子だったかも」と遠い目で思い出しながら語る彼女に、「音というか、音の効果みたいなものが好きだったんですね。これまでの音響の仕事も、これからの静謐な旅館も、素敵な『音の声』を追求することがテーマなんですね」とお伝えして、自分にとって一貫性のあるテーマを見つけていただいたことがあります。

ネガティブ版「◯◯だった」は「◯◯が嫌いだった」とか「◯◯で失敗した」などなど、ほろ苦い経験からのコネクティング・ドット。

例えば、「子どもの頃から、◯◯ちゃんは△△な子という周りのイメージに合わせるのが、本当はイヤだった」という方、少なくないと思います。これって視点を変えると「自分の枠や殻を破ること」とか「自分の殻を破る人をひとりでも増やすこと」みたいな、わくわくするストーリーのテーマに変換ができちゃう。ものがたりって、ほろ苦い経験から始まるものが多いですよね。自分ものがたりも同様に、ほろ苦い経験は貴重な財産なんです。

テーマが見つかったら、次は主人公のキャラ設計。とはいえ、主人公=自分の分身なので、自分のキャラをゼロから作り替えるのって不自然ですよね。ここでも、過去を振り返ってコネクティング・ドットするのがコツ。自分が好きな既存の小説やドラマ、漫画の憧れのキャラに自分を重ねちゃうお作法をおすすめします。

憧れのキャラクターに自分を投影すると、自分もそのキャラクターと同じことができるような気がしますよね。実はこの現象ってたくさんの研究で実証されているんです。ヒーローの主人公になり切っている子どもほど集中力が高かったり(※1)、働く女性キャラが活躍するドラマを視聴した女性の方が実際に同じ職種に就く割合が高まったり(※2)と効果は抜群。

好きなキャラクターと自分をコネクティング・ドットすると、主人公としての自分が一気に「キャラ立ち」してイメージが明確になる。しかも「推せる」存在になる。自分ものがたりにわくわく感を足せて、完成度を上げてくれるお作法なんです。

テーマとキャラ。ここまで描けたら自分ものがたり化の設計ステップは完了です。

これまでの振り返りは、自分ひとりでやっても良いのですが、心を許せる知り合いと気軽におしゃべりしながらフィードバックをもらって気付きを得るやり方もすごく有効。あとは、手前味噌ですが、ボクに個人コンサルをご相談いただくのもおすすめです(笑)。

ボクの個人コンサルのことを「はたらく女性のかていきょうし」、通称「かてきょ」と呼んでいます。コンサルと言いつつスタイルはすごくカジュアルです。非日常的でおしゃれな雰囲気のホテルのカフェでお茶を飲みながら、トーク番組みたいに楽しいおしゃべり。クライアントの「これまで」を自然と聞き出し、コネクティング・ドットしていきます。

(※1)Rachel E White,Emily O Prager,Catherine Schaefer,Ethan Kross,Angela L Duckworth,Stephanie M Carlson/The“Batman Effect”:Improving Perseverance in Young Children Free/2016年12月16日『Child Development.』
(※2)21st Century Fox,the Geena Davis Institute,J.Walter Thompson/The Scully Effect:I Want to Believe in STEM/2018年
https://geenadavisinstitute.org/research/the-scully-effect-iwant-to-believe-in-stem/

*  *  *

『モヤモヤが晴れる最強の魔法「自分ものがたり」で人生が変わる』
著者/タブタカヒロ
小学館 1760円(税込)

タブタカヒロ
ビジネスコンサルタント/はたらく女性のかていきょうし
コンサル歴約20年。外資系アパレル企業を経て外資系コンサルへ転身、現在は大手総合コンサルティングファームでクライアントの課題に向き合う。週末はコンサルとほぼ同時期に始めた「はたらく女性のかていきょうし(通称:かてきょ)」として活動。ほかにセミナー、大学での講義、コラム執筆などを通じて専門用語ゼロの“おしゃべり”で想いを引き出し、その人らしいキャリアの方向性を「自分ものがたり」に描き直すサポートを続けている。著書に『\かてきょ式/わくわく思考せんりゃく。』(すばる舎)。『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』(著:太田あや・KADOKAWA)に取材協力。今、自分自身の物語も50巻台。“次の章”を更新中。

 

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