【家族の絆】「お母さんのずっとそばにいてあげる」嫁いびりから私を守ってくれた娘が大人になって～その２～

取材・文／ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

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Z世代の結婚願望の低さが話題に挙がることが多いが実際はどうなのだろうか。株式会社ジェイックが行なった「最も興味のあるライフイベント」についてのアンケート（実施日：2024年３月29日～４月９日、有効回答数：株式会社ジェイックが提供する新入社員研修の受講者888人、インターネット調査）では、「現時点で最も興味のあるライフイベント」の１位が結婚（45.4%）となり、結婚を肯定的に捉えている人が多いことがわかった（２位は「当てはまるものはない」17.2%）。次いで、ワタベウェディング株式会社が行なった「大学生の恋愛・結婚に関するアンケート調査」（実施日：2023年11月20日～12月13日、有効回答数：首都圏の大学生624人、インターネット調査）を見てみると、「結婚（入籍）をしたいと思いますか？」という問いに６割以上の人が「はい」（65.9％）と回答。「どちらでもいい」（21.6%）、「いいえ」（9.1%）と続いた。

今回お話を伺った啓子さん（仮名・45歳）は21歳のときに授かり婚をして、22歳で娘を出産する。出産前後で体調不良が続き、結婚から出産などの多くのイベントがあったのにも関わらず数回しか義両親と顔を合わせたことはなかった。また、直接的なやりとりはすべて夫が行なっていたという。【～その１～はこちら】

母親を守ろうとして、娘が義母の標的に

義両親とは淡泊な付き合いで終わるはずだったが、義父方の親族が営む飲食店を啓子さんの夫が継ぐことになり、夫の実家のある地域で暮らすことになる。そこで親族一同からの嫁いびりを受け続けたという。

「私はそのまま生まれ育った地域で暮らしたかったのに、夫から頭を下げられて仕方なく。子どもも小さかったし、離婚する勇気もなかったので。

同居は嫌だとそこだけは譲ってもらったんですが、新居は義実家から徒歩圏内のところで、過干渉が始まりました。頻繁に私たちの家に遊びに来ては部屋や冷蔵庫などをチェックされ、ロクな食材がない、部屋が汚いと親戚の集まりで暴露されました。たとえ綺麗にしていても、です。

親族の集まりも定期的にあり、そこでは座ることさえ許されませんでした。ずっと誰かの世話をさせられるんです。少しでもグラスが空いて、それを指摘されると『こんなことまで言わないといけないんだ～』と周囲に聞こえるように言われて、それに対して周囲は私をバカにしたように笑っていました」

嫁いびりは日々エスカレートしていき、娘が大きくなるにつれて母親がいじめられていることを理解するようになった。娘は母親をかばうようになり、その姿を見て、義母は孫である娘に対してもきつい態度をするようになっていったという。

「娘は私を守ろうとしてくれました。でも、それが義母にはおもしろくなかったんでしょう。今までは私の容姿をからかうようなことはあったんですが、その矛先が娘にも向かいました。娘は小さい頃から目が悪くて眼鏡をかけていたんですが、『眼鏡でかわいくない顔が隠せてよかったね』と言われたときに、私はカッとなって、テーブルにあった義母の眼鏡に向かって握りこぶしを振り下ろしていました。そこから義母は怒り狂って、私も取り乱してしまって、夫と義父が仲裁に入るまでになりました。

そこから娘は義母と顔を合わしたくなくて、部屋から出てこなくなりました」

【「父親の介護をしてほしい」で長年の別居生活が終了。次ページに続きます】