【ビジネスの極意】MITの学生だけに伝えられた「人生のカンニングペーパー」を知っていますか?

人生に近道はない、とはよく言われることだ。だが、実は人生に近道があったのである! いったいどういうことだろうか? リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研から、その理由を知ろう。

* * *

人生の「カンニングペーパー」を覗いてみよう

人生がなんだかうまくいかないと思っていませんか。

学校を卒業して、実際に会社に入って仕事をして、はじめて見えてくる現実にがっかりする人もいます。実際に入ってみると社会が理想と違っていたことに気づき、悩み始めるわけです。

しかし、もしかしたら、少し複雑に考えすぎているのかも知れません。

「実は人生にはカンニングペーパーがあるんだ」と言われたら、どうでしょう?しかもそこには、シンプルなことが3つしか書いてないとしたら?

実は本当にそう言った人がいます。言葉の主は、Dropboxの創業者、ドリュー・ヒューストン氏です。ご存知の通り、Dropboxは、オンラインストレージサービスで知られるアメリカの企業です。

MITの学生だけに伝えられた「人生のカンニングペーパー」とは?

実は、人生の初期において知っておいた方がいいことは、そんなに多くないのかもしれません。

ドリュー・ヒューストン氏は、2013年7月に行われたMIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業スピーチで「人生にはカンニングペーパーがあるんだよ」と言い出しました。

しかもそれにはたった3つのことしか書いていないというのです。

果たして、「人生のカンニングペーパーに書いてある3つのこと」とは、なんでしょうか?ヒューストン氏によればそれは「テニスボール」「サークル」そして「30,000」です。[1]

これだけでは、なんのことかわかりませんよね。順番に見てみましょう。

あなたの「テニスボール」を見つけよう

まず、カンニングペーパーに最初に書いてある言葉は、「テニスボール」です。

これは犬がテニスボールを追いかけているように、「夢中になれるもの、狂気を目に宿すほど必死になれるものを探せ」という意味です。

しかし、単に「ただ好きなことをやりなさい」とは違う、とヒューストン氏は言います。

もっとも世界で幸せで成功した人々がやっていることは、ただ「好きなことをやる」ではないのだと。彼らは、大事な問題を解決することに、「夢中になっている」というのです。[2]

「夢中になる」とはどういうことか。まるで犬がテニスボールを追っかけているように、目に狂気が宿っていると。「狂気」になれるほど夢中になれる「テニスボール」を探しなさい、ということです。

つまり、モチベーションが何よりも大事になるということでしょう。

しかし問題は、多くの人がすぐにテニスボールを見つけられないことにあると言います。
ヒューストン氏の場合それは「頭の中の小さな声」がときどき自分に教えてくれたのだと。
自分の心に聞いて、それを見出せ、ということです。

時間と人脈にも注意せよ

その次に書いてあるのは「サークル」です。

この「サークル」は自分にとって有益な人脈を見つける、ということ。よく言われることですが、人生はあなたの一番付き合っている5人で決まる、とよく言われます。

ヒューストン氏は、「私が学んだ1つは、あなたをインスパイアする人々に囲まれることは、才能があること、一生懸命働くことと同じくらい重要だということです」[3]と説明しています。

そしてMITはその人脈を見つける上では有効な場所なのだと、彼は語っています。

そして、最後は「30,000」です。

ヒューストン氏自身、オンラインで「人生には3万日しかない」というのを読んで、実際に計算してみたのだそうです。そして、自分がすでに使ってしまった日にちについて自覚し、「もう9000日使ってた。一体自分は何をしていたんだ?」と愕然としたのだそうです。[4]

「練習期間」で人生を終えるな!

ヒューストン氏は「人生の罠」についても話しています。大きな罠の一つが、「人生を練習期間で終えてしまうこと」。ちょっとスピーチを聞いてみます。

最後の罠は「準備する」ということです。誤解しないでください。学びはあなたの最重要事項です。しかし、学ぶのにもっとも早い方法は「行動すること」です。もし夢があるのなら、あなたは人生の全てをかけて計画し、「準備する」こともできるでしょう。あなたがすべきことは、スタートすることです。[4]

その後、ヒューストン氏自身も、「実際に自分はまだ準備できていると思っていません」とも告白しています。
つまり、準備を完璧にすることは、一生をかけても、おそらくできないのかもしれません。

ヒューストン氏は「ビル・ゲイツの最初の会社は信号機のソフトウエアを作っていた。スティーブ・ジョブズの最初の会社はタダで電話がかけられるプラスチックの器具を作っていた。そして両方とも失敗した」[5]とも話しています。

成功の秘訣は「テニスボール」探しから

さて、皆さんのテニスボールはどこにあるのでしょうか?

テニスボールを探さないと、その後、いったい誰に囲まれたらいいかも、何に30,000日を使ったらいいかもわかりません。

私自身も、実は自分のテニスボールを見つけるまでには遠回りしました。

大学を出て、新卒で、なんとなく就職活動し、待遇につられて名前の知られた大企業に入りました。しかしそこでは全く成果が出ず、5年も苦しい思いをしました。しかし、当時は、周囲にいる誰一人として、「あなたにはこれが向いているよ」と言ってくれなかったのです。ただただ、「もっと長く勤めれば、給料が上がるよ」としか教えてくれませんでした。

間違った人に囲まれて、間違った時間を使い、テニスボールのことなんてまったく知らないままに人生を過ごしたら、大きな無駄になってしまったかもしれません。今もまだ、同じ会社にいたら、と思うとちょっとゾッとします。

何が自分のテニスボールなのか。あなた以外の誰にもわかりません。もちろん、中には、私のいた大企業が「テニスボール」だった人もいました。しかしあなたにとってのテニスボールは、会社で働くことかもしれないし、そうではないかもしれません。

いろんな人がいろんなことを言います。「もっと給料がないと生きていけない」とか「世間に恥ずかしくない仕事をすべき」とか「好きなことをするなんて無理」とか。雑音が多すぎて、「頭の中の小さな声」を聞き分けることは、私にとっては難しいことでした。

そして、そのテニスボールはだんだん変わります。10年前に自分のテニスボールだったものが、そうじゃなくなったり、新しいボールが見つかったりすることもあるのです。

まとめ

人生には約30,000日しかなく、あっという間に終わってしまいます。また、「準備期間」で人生が終わってしまうこともあります。そして、その成功のためには、なるべく良い人たちに囲まれることが最善であると。

そのためには、できるだけ早く、仕事のモチベーションになる目に狂気を宿せるような、「テニスボール」を見つけることが、重要なことなのです。

筆者:のもときょうこ
早稲田大学法学部卒業。損害保険会社を経て95年アスキー入社。その後フリーとなり「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者を経て独立。独立後は「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)など2冊の書籍を執筆。新刊「日本人は『やめる練習』が足りてない」(集英社新書)

参照
[1]MIT NEWS「Drew Houston’s Commencement address」より
筆者翻訳(原文)
If you were to look at my cheat sheet, there wouldn’t be a lot on it. There would be a tennis ball, a circle, and the number 30,000. I know this doesn’t make any sense right now, but bear with me http://news.mit.edu/2013/commencement-address-houston-0607(以下同じ)
[2]MIT NEWS「Drew Houston’s Commencement address」より
以下から抄訳しました。
I was going to say work on what you love, but that’s not really it. It’s so easy to convince yourself that you love what you’re doing — who wants to admit that they don’t? When I think about it, the happiest and most successful people I know don’t just love what they do, they’re obsessed with solving an important problem, something that matters to them. They remind me of a dog chasing a tennis ball: their eyes go a little crazy, the leash snaps and they go bounding off, plowing through whatever gets in the way.
[3]MIT NEWS「Drew Houston’s Commencement address」より
One thing I’ve learned is surrounding yourself with inspiring people is now just as important as being talented or working hard. Can you imagine if Michael Jordan hadn’t been in the NBA, if his circle of 5 had been a bunch of guys in Italy? Your circle pushes you to be better, just as Adam pushed me.
[4]MIT NEWS「Drew Houston’s Commencement address」より
I read something online that said “There are 30,000 days in your life.” At first I didn’t think much of it, but on a whim I tabbed over to the calculator. I type in 24 times 365 and — oh my God, I’m almost 9,000 days down. What the hell have I been doing?
[5]MIT NEWS「Drew Houston’s Commencement address」より
Bill Gates’s first company made software for traffic lights. Steve Jobs’s first company made plastic whistles that let you make free phone calls. Both failed, but it’s hard to imagine they were too upset about it.

* * *

いかがだっただろうか。人生の近道、「人生のカンニングペーパー」それはやはり自分自身でみつけなければならないのかもしれない。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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