
トイレのたびに痛い、出血が気になる——そんな痔の悩みをひとりで抱えていませんか? 痔は生活習慣や便通などが重なって起こりやすい身近な不調ですが、デリケートな話題のため相談しづらいと感じている人も少なくありません。そんな方におすすめしたいのが「乙字湯(おつじとう)」です。
あんしん漢方所属の薬剤師で漢方薬に詳しい中田早苗さんに、乙字湯の特徴や併せて行いたいセルフケアをうかがいました。
痔が起こる理由

痔とは肛門付近に負担がかかって起こる病気の総称で、主にいぼ痔、きれ痔、痔ろうに分けられます。いぼ痔は肛門の内外にしこりができる状態、きれ痔は肛門の粘膜が切れて傷がついた状態です。
硬い便や下痢、強いいきみ、長時間の同じ姿勢は肛門まわりの血流を悪くし、粘膜や血管に負担をかけます。また、睡眠不足やストレス、腸内環境の悪化などで便通が乱れると、便秘や下痢をくり返しやすくなり、肛門への刺激が積み重なります。
女性の場合、妊娠や出産によって肛門括約筋が衰えて筋肉が緊張しやすくなり、排便する力が弱まっていきむことで痔につながることがあります。
なお、いぼ痔やきれ痔はセルフケアで改善できる可能性がありますが、痔ろうはセルフケアでの対策は難しいため、病院で膿を出す治療などを受けましょう。
乙字湯はどんな人に向いているのか

いぼ痔やきれ痔でお悩みの場合におすすめの漢方薬が「乙字湯」です。
乙字湯は当帰(とうき)、柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、甘草(かんぞう)、升麻(しょうま)、大黄(だいおう)という6つの生薬を組み合わせて作られています。
比較的体力があり、便が硬く便秘傾向のある人のいぼ痔やきれ痔などに用いられる漢方薬です。
漢方では、痔を肛門周辺の巡りが滞った状態として捉え、便通や血の巡りの乱れにも着目します。乙字湯は肛門の炎症を鎮め、便をやわらかくする働きがあるとされ、排便時の負担を減らしたい人に向いています。
乙字湯と併せて行いたいセルフケア

痔を改善するには乙字湯だけに頼るのではなく、肛門に負担をかけないような生活習慣を心がけることも重要です。乙字湯と併せて行いたいセルフケアを紹介します。
1.トイレの仕方を見直す
排便時は、出し切ろうとして長く座り続けたり、強くいきんだりしないことが大切です。便意があるときに短時間で済ませることを意識し、スマホを見ながらトイレにこもるなどの習慣は控えましょう。
拭くときは紙で強くこすらず、押さえるようにやさしく拭きます。温水洗浄便座を使う場合も、水圧を強くしすぎず、洗いすぎないことがポイントです。清潔に保つことは大切ですが、肛門への刺激を減らす意識も忘れないようにしましょう。
2.下半身を冷えから守る
肛門まわりの血行不良を防ぐために、下半身が冷えないように意識しましょう。デスクワークや立ち仕事が続く日は、ひざ掛けや腹巻き、靴下などで腰まわりと下半身を冷やさないようにするのが効果的です。
とくに、腰まわりを温めると腸の動きが促進され、便秘改善につながります。こまめに動くことも意識して、肛門周辺の血行を促進しましょう。
3.食物繊維を積極的に摂る
食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻、豆類などを少しずつ食事に足しましょう。
便が硬いと排便時にいきみやすく、痔につながりやすくなります。食物繊維は便の体積を増やしたり柔らかくしたりして自然な排便を促す働きがあり、便通改善に役立つ栄養素です。腸内の善玉菌のエサにもなり、食物繊維が分解される際に産生される短鎖脂肪酸は腸内環境を整える働きが期待できます。
野菜やきのこなどがたっぷり入った味噌汁やスープを食事に取り入れると、体を内側から温めつつ効率的に食物繊維が摂取できます。
ただし、便秘がひどいときにはかえって悪化する可能性があるため、水分も一緒に摂りながら、無理なく続けることが大切です。
乙字湯に副作用はある? 安心して服用するために

漢方薬は自然由来の生薬からできていますが、副作用がないわけではありません。乙字湯では発疹・発赤やかゆみ、吐き気、食欲不振、腹痛、下痢などが起こることがあります。
また、まれに、空咳などが出る間質性肺炎や、手足のだるさや脱力感が出る偽アルドステロン症・ミオパチー、黄疸や全身のだるさを伴う肝機能障害などの副作用が出ることもあります。
妊娠中、授乳中、持病がある人、他の薬を服用中の人は、自己判断で始めず専門家に相談しましょう。
「あんしん漢方」では、漢方薬に詳しい専門家に相談しながら、症状や体質をふまえて漢方薬を選ぶサポートを受けられます。「乙字湯が自分に合うのか不安」「市販の漢方薬だと効果が感じられない」という方は専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
おしりの悩みは体質から見直すきっかけに

乙字湯は、便秘等に伴う軽いいぼ痔やきれ痔に使われる漢方薬です。痔は便通の乱れや血行不良などが原因で起こるため、漢方薬やセルフケアを組み合わせることで改善が期待できます。セルフケアで排便習慣を整えながら、必要に応じて専門家に相談し、ご自身に合うケアを見つけていきましょう。
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0318&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=260801







