
価値観やライフスタイルが多様化し、正解のない時代にもかかわらず、周りと比べて「自分には強みがない」「自分はたいしたことない」と思い込んでいませんか?
大手コンサルティングファームに勤務しながら、週末にライフワークとして個人コンサル「はたらく女性のかていきょうし」を続けるタブタカヒロさんが提案するのは、解なき時代を生き抜くための「自分を物語化する」思考法。タブさん自身が仕事の壁にぶつかった際にキャリア論や戦略論を調べ尽くし、習得したスキルから編み出したキャリア戦略=「自分ものがたり」。
そこで、今回はタブタカヒロさんの著書『「自分ものがたり」で人生が変わる』(小学館)から、「自分ものがたり」がなぜ最強なのか、その秘密に迫ります。最新脳科学に裏打ちされた「ものがたり」の持つ力に気づかされます。
文/タブタカヒロ
脳は「ものがたり」がお好き
「ものがたり」には、人を信じさせる魔法の力がある。
「そう言われるとそんな気もするなぁ。だけど、なんで? ホントに?」って思いますよね。
実はものがたりの魔法の力は、科学的に、しかもなんと最先端の脳科学の領域で、解明されてきています。人間の脳はものがたりを好むようにできているんです。脳はものがたりがお好き。なんだか急に自分の脳に愛着が湧いちゃいますね。具体的に脳がものがたりを好む理由は3つあります。
ひとつ目、脳は「ものがたり」のフォーマットで理解して記憶するようにできているから
ふたつ目、脳は「ものがたり」にわくわくするようにできているから
そして3つ目、脳は特に「ひとりのものがたり」にわくわくするようにできているから
ひとつずつ、詳しく説明させてください。まずはひとつ目の理由について。
脳は「ものがたり」で理解して記憶するという理論があります。実際ある実験で、情報をそのまま伝えられるより、その情報をものがたり形式で伝えられると、22倍も記憶しやすいという結果が出ています(※1)。
何それ。受験生の時に教えてよ、と思いますよね。例えば皆さんも、歴史を年表じゃなく「誰がどうして、何して…」的な、ものがたりにしたら覚えやすい、という経験があると思います。皆さんの脳が、そうさせていたのかもしれませんね。
ではどうして、ものがたり形式だと脳は記憶力が高まるのか。それは脳の認知の「癖」というか、進化の過程で得た「技」が、ものがたりだったからなんです。
人間は、◯、△、□といった図形がただただ動くだけの、音も字幕もない動画を見ると、「◯と△の追いかけっこ」とか「◯が□に閉じこめられた!」といった風に、「ものがたり」として本能的に理解する生き物である。という発見をした有名な実験があります(※2)。
これは大昔、天敵や天災に囲まれた厳しい自然環境のなか、人間が危険を超効率的に察知して生き抜くために習得した、パターン化して認識するという脳の「癖」の発展形なんです。
例えば、今起きたこと(結果)は必ず原因がある。目の前に石が落ちたらきっと頭上で何か起きてるはず! と人が上を見上げるのは「因果関係」というパターン認識のひとつ。
そして「ものがたり」はパターン認識という脳の離れ技の「究極奥義」なんです。子どもの頃、人形や石ころ、木の枝を登場人物に見立てて、「お話」を創りながら遊んだことがあると思います。これぞ、ものがたり。皆さんが大好きだったあの遊びは、人間の脳が大好物のフォーマットだったんです。

ふたつ目の理由、脳は「ものがたり」にわくわくする。これは、物語性のある映画を見ている人たちと、物語性の少ない映画を見ている人たちの脳のMRIを撮影するという実験が証明しています。前者の、物語性のある映画を見ている人たちの脳がより活性化していたんです(※3)。
さらに物語性のある映画を見ている人たちは、脳の活性化の仕方がすごく似通っていることも発見。同じ映画を見ている人同士は、同じように感動し共感することが脳科学的に証明されたんです。人の脳は「ものがたり」にわくわくするし、しかも同じ「ものがたり」を共有している組織は、同じようにわくわくしてひとつにまとまりやすい。わくわくする発見ですね。
そして3つ目の理由、脳は特に「ひとりのものがたり」によりわくわくする。これは、人の脳は数字の大きさより「ひとりのものがたり」により注目し、共感し、行動しやすいという理論のことです。
この理論は困っている人への支援を求めるCMでよく活用されます。100万人が被害を受けている! と数で訴えるより、「〜ちゃんは、今日も学校に行けません」的な、ひとりにスポットライトを当てた「ものがたり」の効果が高いんです。実感できますよね。政治家や起業家が人々に訴える時、自分の原体験を語るのをよく見ると思います。これも「ひとりのものがたり」の絶大なわくわくの破壊力を狙った手法です。
「ものがたり」の魔法の力の理由。科学の目線で見ると納得感が増しますね。
(※1)Jennifer Aaker / Stanford“Stories are remembered up to 22 times more than facts alone”
https://womensleadership.stanford.edu/resources/voiceinfluence/harnessing-power-stories
(※2)An Experimental Study of Apparent Behavior Fritz Heider,Marianne Simmel /1944年4月『American Journal of Psychology』第57巻第2号
(※3)Neurocinematics:The Neuroscience of Film Uri Hasson /2008年6月1日『Projections: The Journal for Movies and Mind』
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『モヤモヤが晴れる最強の魔法「自分ものがたり」で人生が変わる』
著者/タブタカヒロ
小学館 1760円(税込)

タブタカヒロ
ビジネスコンサルタント/はたらく女性のかていきょうし
コンサル歴約20年。外資系アパレル企業を経て外資系コンサルへ転身、現在は大手総合コンサルティングファームでクライアントの課題に向き合う。週末はコンサルとほぼ同時期に始めた「はたらく女性のかていきょうし(通称:かてきょ)」として活動。ほかにセミナー、大学での講義、コラム執筆などを通じて専門用語ゼロの“おしゃべり”で想いを引き出し、その人らしいキャリアの方向性を「自分ものがたり」に描き直すサポートを続けている。著書に『\かてきょ式/わくわく思考せんりゃく。』(すばる舎)。『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』(著:太田あや・KADOKAWA)に取材協力。今、自分自身の物語も50巻台。“次の章”を更新中。











