毒親とは、過干渉や過保護、過度な支配・管理、または価値観の押し付けなどによって、子どもに悪い影響を与える親のことを言います。親側にそんなつもりはなくても、子ども側からすると「うちの親は毒親だ」と思っているケースもあります。毒親に育てらた人は、大人になっても自分に自信が持てず、何かに依存しやすかったり、破滅的な対人関係・家族関係を築いてしまったりと、悩みを抱える方が多い傾向が見られるそうです。
そこで、親子関係心理学の専門家である三凛さとしさん(http://sanrinsatoshi.com)が、25歳以上60歳未満の父母全国3,000人を対象に「毒親」について調査しましたので、ご報告します。
なぜ「毒親」になってしまうのか?
親自身がなんらかの理由で、自分の親から十分に愛情をもらえなかった、と感じていたり、不安定な育てられ方をされたりした経験があると、子育ての際に、毒親の特徴に当てはまる行動をとってしまう可能性が高まります。こうした親から子どもに受け継がれる負のループこそが、一定数の毒親を産んでしまう原因だと考えられます。
調査は、25歳以上60歳未満の父母3,000人(男性:1,500人、女性:1,500人)に対して行われました。最初の質問では、「現在または過去に、自分の子どもに対してした言動で、毒親だった、と思い当たることはありますか」と尋ねました。
父母ともに「思い当たることはない」(全体:47.3%、父親:53.7%、母親:40.9%)が最多でした。
一方、思い当たることでは「言うことを聞かせようと命令や指示をする」(全体:25.9%、父親:21.6%、母親:30.1%)が最も多く、「過保護だと思う(何でも自分でやってしまう)」(全体:22.8%、父親:15.7%、母親:29.9%)、「子どものすることや交友関係、仕事などを把握・管理していたい」(全体:10.7%、父親:6.3%、母親:15.2%)と続き、父親よりも母親の方が思い当たる人の割合が多いこともわかりました。
次に、「もしかして、自分は子どもにとって毒親なのかもしれないと思ったことはありますか」と尋ねました。約3割が「あまりない」(全体:30.3%、父親:29.9%、母親:30.7%)と回答したものの、母親では「たまにある」(全体:23.5%、父親:16.5%、母親:30.5%)、父親では「まったくない」(全体:25.7%、父親:31.8%、母親:19.5%)も多く見られ、父親と母親で差があることが判明しました。また、「よくある」(全体:4.0%、父親:3.3%、母親:4.8%)も僅かながらいました。
続いて、「現在の子どもとの関係」について尋ねたところ、8割弱が「良い」(全体:43.3%、父親:40.9%、母親:45.7%)または「どちらかと言うと良い」(全体:35.1%、父親:32.1%、母親:38.0%)と回答。
これらにより、父親よりも母親の方が、「自分は毒親なのかもしれない」と思いつつも、子どもとの関係は「良好」と感じている傾向がわかりました。
毒親を卒業する方法
では、どうすれば毒親を卒業できるのでしょうか? ライフコーチの三凛さとしさんのコメントをご紹介します。
1.子どものニーズを聞き、自覚する
まずは、子どもの気持ちを聞くことです。今まで自分が子どもにしてきたことや普段していることの中で「嫌だったこと」はないか、子どもに直接聞いてみてください。
自分のことを客観的に見ることは誰にとっても難しいように、多くの毒親にとって、自分の子育てが間違っていると、自ら気づくことは困難です。子どもが教えてくれる「嫌だったこと」から、意外と自分は毒親だったのではないか、と気づくケースもあるはずです。
ちなみに、こうして子どもの意見を聞くことに抵抗があったり、子どもの方も遠慮してオープンでフラットなコミュニケーションが取れなかったりする場合、毒親である可能性が高いです。
2.自ら心を埋め、あなた自身が自分の人生を生きる
子どもに対する言動は、あなた自身の愛情の欠落や不足を解消することで、変えようと頑張ったり意識したりしなくても、自然と変わっていきます。
愛情の欠落を解消するには、まずは毎日自分を丁寧に扱い、小さなことでも自分を褒める、ということをやってみてください。自分を丁寧に扱うとは、自分の本心に従って生きるということです。日常の中で我慢や遠慮していることはありませんか? 愛情不足の人は、自分に対してとても厳しく接し、「心地いい」「好き」「楽しい」「幸せ」よりも「社会通念」「常識」「世間や親の期待」を優先した生き方をしています。また、同じ生き方を子どもにも課してしまいます。子どもに対して毒親でなくなる前に、こうした自分自身の生き方のルールを変える必要があります。
ですので、小さなことからで構いませんので、日々の選択を「心地いいのか?」「好きなのか?」の基準ですることを習慣づけてみてください。するとあなたも、子どもが自由に幸せに生きることを許せるようになります。
これは私の経験則ですが、「親としてこうするべき」を優先している親御さんを持つ子どもよりも、世間体に関係なく自分の夢を叶えながら生きている親を持つ子どもの方が、素直に育ちます。子どもは親の背中を見て、生き方を真似するということです。
3.子どもに謝る
毒親の特徴として、自らの非を認めたり謝ったりできない、ということがあります。自分の身を守ることが習慣化してしまっているので、子どもから責められた時、過度に自己防衛的になってしまったり、自分も苦しんだ分、耐えきれずに逆ギレしてしまったりする傾向があります。
しかし、子どもはあなたの間違いを責めたいわけではなく、「気持ちを理解して欲しい」のです。ですから、過去を振り返って、子どもに負担をかけ過ぎていたと、少しでも感じることがあれば、誠実に「あの時は本当にごめんなさい。私も親だけど、まだまだ未熟なのだ」ということを伝えてください。子どもは親から受け入れられていないと感じると、自己肯定感がどんどん下がってしまいます。
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自分に毒親の自覚があってもなくても、子どもとの関係がオープンで前向きなものになることを、願わない人はいないでしょう。また、子どもから受け入れられていないという気がしたら、助言に従って実践してみてはいかがでしょうか。続けるうちにいつの間にか、家族の絆が深まっているかもしれません。
調査概要
調査期間:2022年6月3日
調査手法:インターネット調査
調査対象: 25歳以上60歳未満の父母全国
サンプル数:3,000人(男性:1,500人、女性:1,500人)