2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳にすることが多くなりました。実際に、2020年以降は、都市圏での人口の減少、地方の過疎化など、多くの懸念点が指摘されています。
しかし、30年後を見据えて、どのエリアのどういった物件の価値が下がらないのかは、不動産事情に詳しくないと、見当もつかないはずです。
そこで今回は、不動産担保ローンを取り扱っているSBIエステートファイナンス株式会社が、不動産のプロたち104名に30年後に不動産価値が落ちない物件や、タワーマンションの価値に関して実施したアンケート調査をご紹介しましょう。
アンケート回答者:不動産会社に勤務する代表者、物件仕入れ担当者、営業担当者104名
アンケート回答期間:2019年9月24日~2019年10月8日
※すべての回答ではなく回答が有効なものとなります。
回答者の不動産業務経験年数:
※今回の記事では高さ150メートル以上のマンションをタワーマンションとしています。
設問:タワーマンションで仮に最寄り駅から都心までの距離が同じ物件の場合、30年後に資産価値が最も下がらないと思う立地条件を3つ選んでください。
30年後にタワーマンションの価値が下がらない立地条件としては、「通勤・通学に便利なターミナル駅の近く:22.1%」、次いで「駅前が賑やかでショッピングモールやスーパーなどがあるエリア:20.2%」、「駅前の再開発が最近行われたか10年以内に再開発が予定されているエリア:15.0%」となりました。
設問:近隣にタワーマンションが建っている駅の中で、そのマンションの価値が上がると思う駅を3つ選んでください。
今後、タワーマンションの価値が上がると思う駅では、他を引き離して、1位が「中目黒:13.8%」、2位が「六本木:12.2%」となり、次いで、「青山一丁目:7.1%」「高輪台:6.7%」「池袋:6.1%」となりました。
1位、2位の中目黒、六本木は、一般の方のアンケートにもたびたび登場する駅で、根強い人気があるようです。また、高輪台が上位に入ったのは、やはり高輪ゲートウェイ駅の影響が大きいと言えます。
マンションの価値が上がるエリアとされた理由は、以下のようなコメントが挙げられていました。
・土地のブランドが高いため。(勝どき、高輪台、二子玉川)
・今後の再開発による効果が出てきそうだと考えられるため。(東池袋、池袋、錦糸町)
・高輪ゲートウェイ駅の影響があるから。(浜松町、田町、高輪台)
・東京新都心として発展する要素があることと世界的なブランドであるため。(汐留、田町、青山一丁目)
・日比谷線の新駅に近いため。(中目黒、六本木、神谷町)
・中目黒はそもそもの立地的人気が下支えとしてあるため。錦糸町はホテル街や繁華街も新しい風が入ってきていて、治安が良くなってきているため。田町は新駅「高輪ゲートウェイ」ができ、人の流れが期待できるため。(中目黒、錦糸町、田町)
・候補となった様々な街に比べ、新宿の安定度は群を抜くと思う。特に、西新宿から西新宿五丁目方面は、住環境も好ましく、日本人だけでなく外国人の目にも優良な街と思われるはず。(新宿御苑前、西新宿、西新宿五丁目)
・渋谷区、港区、目黒区のタワーマンションは、どの時代も購入したいと考える方が多いため。(中目黒、青山一丁目、六本木)
・東急東横線、田園都市線は人気沿線のため。(中目黒、六本木、二子玉川)
・住民(居住者)の民度が重要で、これらの駅近辺の民度が高いと思われるため。(中目黒、高輪台、二子玉川)
反対に、価値が上がるエリアとされなかった理由としては、以下のコメント挙げられていました。
・ブランド力が低いため。(市川、千葉中央、川口元郷)
・都心から遠いため。(千葉中央、川口元郷、市川)
・水害の恐れがあるため。(勝どき、豊洲、辰巳)
・埋め立て地だから。(新豊洲、辰巳、千葉中央)
・供給過多。(月島、武蔵小杉、東雲)
・日暮里は外国人を相手に大きくなってきている町で、交通も通過点としては有名だが、駅周辺の開発があまりされていなく、大きく発展するイメージがないため。 豊洲は大きなイベントの恩恵を受け、しばらくは良いと思うが、その分、下落率が高いような気がする。千葉中央は都内への通勤圏としては、割安感あるが、千葉は東京寄りのみが発展していて、それ以外はそれほど良くなるとは思えないため。(日暮里、豊洲、千葉中央)
・湾岸エリアの自然災害か、中国のバブル崩壊での大量放出による極端な価格崩壊が予想されるため。(豊洲、辰巳、東雲)
設問:山手線の駅の中で、今後タワーマンションが建設された場合にそのマンションの価値が上がると思う駅を3つ選んでください。
今後タワーマンション建設された場合、価値が上がると思う駅では、1位が「高輪ゲートウェイ:11.2%」「渋谷:10.9%」、次いで「恵比寿:8.7%」「東京:8.3%」となりました。
理由としては以下のコメントがありました。
・再開発が進んでいるため。(渋谷、品川、高輪ゲートウェイ)
・飛行機、リニアモーターカーのアクセスが良いため。(田町、品川、高輪ゲートウェイ)
・渋谷は、ビジネスと商業の鉄板のエリアであり、駅近にタワーマンションないため、駅近にタワーマンションが出来れば100%値上がりすると思う。上野は、海外からのインバウンドが上野周辺にホテル含め非常に多く、認知度も大分上がってきており、千葉方面(TDL)へのアクセスが良いため。高輪ゲートウェイは、言うまでもなく新駅周辺は価値が高くなるため。(渋谷、上野、高輪ゲートウェイ)
・オフィス機能が集積していて、交通アクセスが良い駅だから。(渋谷、東京、浜松町)
・現時点でタワーマンションが少なく潜在ニーズがあるように思う。(五反田、目黒、恵比寿)
まとめ
今回は、タワーマンションに焦点をあてて調査しましたが、タワーマンションだから価値がそれほど下がらないということではなさそうです。
特徴としては、新駅、商業の中心エリア、利便性の高いエリアは、今後も価値が上がり、ブランド力が低いエリア、自然災害に弱いエリア、マンションの供給が過剰なエリアは、東京近郊のタワーマンションでも下がる可能性があると考えられているようです。