取材・文/坂口鈴香

写真はイメージです。

50代後半から60代の転倒事故は屋外が多い印象を受ける。仕事などで外に出て活動することが多い年代だからか、高齢者の転倒事故の8割が室内で起きているというデータとは対照的なイメージだ。

思わぬところにキケンが! アラカン世代で増える転倒事故【1】はこちら(https://serai.jp/living/1267559

歩道の傾斜部分で

50~60代の屋外での転倒箇所はさまざまだが、本人は「何でこんなところで?」「気づいたら転んでいた」というのも共通するところだ。

Mさん(62)は、雨上がりの歩道で「気がついたときには、思いっきりひっくり返っていました」という。

「駐車場で車が出入りする場所だったので、歩道に少し傾斜がついていたのが転倒の原因だったと思います。アッと思う間もなく、だから手をつくこともできず、半身を路面に打ち付けていました」

それでも、頭を打たなかったことにホッとした。冬で、帽子をかぶっていたからだと思っている。

「とはいえ、転んだ拍子に帽子は飛んでいっていました。それもしばらく経って、頭がスースーするなと思って帽子がないことに気づいたという情けなさなんですが。頭を打たなくてよかったと心底思いました」

手や腰も骨折はしていなかったものの、しばらくは痛みとアザが残っていた。それからは、その転んだ場所を通るときには、路面が乾いていてもゆっくりと歩くようにしているという。

「斜めになっているところは通らずに、なるべく平らな場所を選んでいます」

歩道の傾斜箇所は結構多い。傾斜があったら、できるだけ平らなところを探して通るようにしてもらいたい。シニアは特に、スニーカーなど滑りにくい靴を履くことも大事だろう。

マンホールの段差で

道路の段差や階段、傾斜は危険だ。Tさん(65)は道路の段差で転んだという。

「マンホールと道路との間のわずかな段差につまずいたんです。マンホールが見えてはいたのですが、段差があるとは思わなくて油断していました」

なんとか自宅に戻ったが、次第に痛みが激しくなった。病院に行ったら、骨折はしていなかったものの全身の痛みで動くことができず入院することになった。幸い数日で退院できたが、外に出るのが怖くなりしばらくは家に籠っていたという。「すっかり体力や筋力が落ちてしまいました」と嘆く。元通りの生活に戻るまで2か月ほどかかったが、もっと高齢だったらどうなるのか不安になるとため息をつく。

「とにかく転倒しないよう注意することに尽きますね」

歩道のポールで

Aさん(67)は、歩道に設置された、自転車の進入を防ぐポールに引っかかって転倒し、捻挫してしまった。整形外科に行ったが、その後もなかなか治らない。心配になって再受診したところ、医師から“衝撃的”な言葉が返ってきたという。

「Aさん、おわかりにならないようなので、はっきり申し上げます。高齢になると治りが遅いんですよ」と。

「高齢だと指摘されて、思わず『あっはっは!』と笑ってしまいました」

60代後半、れっきとした「前期高齢者」とはいえ、自分が高齢者だと思っている人はそう多くない。治りが悪いのは、高齢の証、ということか。

エントランス、玄関ポーチで

Nさん(59)が転倒したのは、自宅マンションのエントランスだ。雨で滑って尻もちをつき、尾てい骨を骨折した。「寝るのも起きるのも、歩くのも激痛でした。それからは、エントランスの手すり近くを歩くようにしています」

手すりがあるのなら、頼ったほうが安全だ。

Sさん(58)も玄関ポーチの3段ほどの階段で滑って転倒したという。危うく頭を打つところだった。怖くなってすぐに滑り止めテープを貼ったが、それだけでは心もとなく、とにかく慎重に歩くようになったという。

玄関ポーチにはつっかけサンダルで出ることも少なくない。雨の日は特に要注意だ。Sさんが使った滑り止めテープは簡単に貼ることができる。またタイル仕様の滑り止めや、滑り止めコーティング剤も販売されているので、自宅に合ったものを選んでみては。

自転車で

Uさん(59)は、自転車で転倒した。歩道と道路の間のわずかな段差に車輪を取られたという。

「幸い、車が走っていなかったので交通事故にはなりませんでしたが、腰をしたたかに打ちました。痛かったけれど、動けないほどではなかったので打撲だと思い病院は受診しませんでした。それでも痛みが続くので、整体院でマッサージしてもらっていたんです」

ところが、1か月経っても痛みが引かないばかりか、強くなってきた。整体師からも一度レントゲンを撮ってもらってはどうかと助言されて、整形外科を受診した。

「骨折していたんです。それなのに、何度も腰をマッサージしてもらっていたんだ、とゾッとしました」

Uさんは通勤で自転車を使うので、自転車をやめることは考えていないが、それ以来なるべく車の少ない道を通るようにしている。ヘルメットも欠かさない。

自転車で転んで手首を骨折したというシニアも多い。自転車は便利な反面、危険も多いことを自覚するしかない。

思わぬところにキケンが! 屋外での転倒事故・親世代の場合【3】に続きます。

取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

 

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