暮らしを豊かに、私らしく

バジルやルッコラやパセリ……気持ちも豊かに楽しめる夏型ハーブ

日差しが眩しい季節がやってきました。夏の植物は、お日様大好きタイプや、花色で勝負タイプ、暑さが大好きさタイプ……などさまざまなラインナップが出揃います。成長の勢いに圧倒されながらも、元気に育つ植物からパワーをお裾分けいただく日々が続きます。

そんな夏の入り口の時期にぜひおすすめしたいのが、今が旬の夏型ハーブたち。馴染み深いバジルやルッコラやパセリの類はスペースを取らず、鉢植えでも、小さな花壇スペースでも、臨機応変に育つのが良いところ。なんといっても、香りの良さは、病みつきになる程です! イタリアで食べたルッコラの香りや、家で簡単バジルペーストを楽しむなど、少しの量で食卓が豊かに、そして気持ちも豊かに楽しめるハーブたちをご紹介。料理上手さんじゃなくてもいいんです。美味しく、楽しく食事ができれば! ここでは、収穫量を増やすコツも伝授していきます。暮らしは楽しいほうが良いですよね。ぜひチャレンジしてみてください。

あると便利なパセリは、ミックスハーブにして寄せ植えにすれば管理も楽に

梅雨明けとともに、栽培を本格的に楽しめるのが、ルッコラや、イタリアンパセリ、そして普通のパセリ。「パセリばっかり食べられないし、添え物でしょ?」 という方はもったいない! こんなに鉄分豊富で美味しく、簡単栽培できる便利香菜はないと言いきれるほど、植えておくと便利なハーブです。

ルッコラ・パクチー・イタリアンパセリ
少しあると便利セットの組み合わせ。少しずつ、外側の葉から収穫します。

細かく刻んでいつものサラダで楽しむこともできますし、バターやクリームチーズなどに混ぜ込んで冷蔵庫で保存すれば、目玉焼き、トースト、温野菜、魚料理など、メニューのレパートリーが広がります。イタリア料理だけにとらわれず、日々のメニューで活用すればもっと納得できるはず。

あると便利なほかのハーブとミックスにして寄せ植えにしておくと、管理も1箇所で済みます。この管理のしやすさが、1つ目のおすすめポイント。1鉢ごとに1品種で植えても良いのですが、ミックスにして寄せ植えにすると大きく、しっかり育つかどうか……心配される方も多いでしょう。しかし、それは植物にとっても予測のつかないことです。虫がついたり病気になったり、うっかり水切れさせたり、植物も育つためにはいろいろな冒険に遭遇します。心配はありますが、そんな植物をみんなまとめて寄せ植えにすると見た目にも美しく育てることができます。寄せ植えをする際は、使いやすい味の調和や、葉色の変化、育つ形状なども少し考えたりします。ハーブを植える土は、草花用の培養土で十分です。夏の酷暑を乗り越えられる様に、粒状の肥料を土に混ぜてから植え付けます。

イタリアンパセリとパイナップルミントの寄せ植え
葉の色が、緑色1色では味気ないので、斑入りのミントと寄せ植えに。
見た目にも楽しめる寄せ植えです。

葉の育ち方や生育環境に配慮して植えるのが、ハーブ栽培のコツ

タイムの葉っぱは、細かく地面を覆う様に這って育つので、鉢や花壇の縁に植えるとよく育ちます。そして、イタリアンパセリのように茎の先に葉がつく草姿は、空間がゆったり見えるように植え、普通のパセリは葉っぱがくしゃっとした独特の形なので、寄せ植えにしても雰囲気が出ます。肉料理や、魚料理で活躍するローズマリーは、上に向かって育つタイプと、地面を覆う様に育つ匍匐(ほふく)タイプがあり、植える場所に合わせて選ぶことをおすすめします。そして、ルッコラ。ルッコラの葉は放射状に広がり、花茎がすらっと伸びた先にアイボリーの花が咲きます。そのため、タイムの近くに植えると他のハーブの影にならず、健康的によく育つようになります。そして、花も美味しく食べられます。

水やりのタイミング
難しいと言われる水やりのタイミング。栽培する際は、土の表面に赤玉の小粒を敷き詰めます。乾いていると、赤玉は画像のような白っぽい土の色になります。この色の時が水やりのタイミングです。底穴からたっぷり流れてくるくらい水をかけます。

このラインナップを1箇所で栽培できるようにしておくと、少しずつ収穫していけば、サラダで美味しく食べられますし、細かく刻んで塩と混ぜてハーブソルトにすれば万能調味料として大活躍します。また、オリーブオイルやバターなどで保存すると、油で香りを包み込め、保存期間も長くすることができます。ただし、水分を含むと痛みやすいので、水気を完全に拭き取るようにしましょう。

収穫して枝数を増やし、草姿をコントロールするのがお料理上手かつガーデニング上手

そして、料理にもよく使われ、馴染み深いバジル。バジルはシソ科の植物なので、1枝切ると枝が2本になって育ちます。枝数が増えれば、葉の数が増えるので、収穫量が増えます。よく相談を受けるのが、「切ったら無くなっちゃうからいつ収穫していいかわからない」と葉を切らずにいたら花が咲いてしまったというお悩み。ハーブ類は花が咲くと葉の香りが少し鈍くなるので、花芽が出たら手でつまんで花が咲かないようにします。これはハーブ全般に言えることですが、鑑賞だけではなく、収穫して枝数を増やし、草姿をコントロールすることがお料理上手、かつガーデニング上手さんです。

消臭や殺菌、車酔いの抑制効果も。さまざまなシーンで活用できるハーブ

毎日、ハーブばっかり食べていられない! という時は、料理だけではなく、暮らしにも少し取り入れてみましょう。ハーブは食べる以外にもいろいろな使い勝手があります。たとえば、ローズマリーは消臭効果があるので、数本束ねてリビングや洗面所まわりに飾るのもおすすめ。また、車移動が増える夏休みは、車酔いに苦しむお子様も多いかと思います。ローズマリーは集中力を高め、車酔いをしにくくさせる効果もあります。車内に1枝、エアコンの吹き出し口などにさしておくと良いでしょう。エッセンシャルオイルよりも、自然で強すぎない香りを楽しめると思います。

同じく、収穫しても使いきれないミント。「毎日ミントティーは飲めない……」という時は、洗濯ネットに収穫したミントを入れて、浴室に吊るします。湯気の効果で、浴室に広がるミントのさっぱりした香りを楽しむことができますし、炭酸水に葉がついた茎ごと入れておけばノンアルモヒートが楽しめます。お湯を沸かして、ポットに移す手間がなく、すぐ簡単に味わえて便利です。マイボトルのお茶に同じように葉つきの茎ごと入れて持ち歩くだけでも、リッチなハーブティーを味わえます。殺菌効果が強いミントですから、マイボトルのお茶を持ち歩いても、安心して飲めるというメリットもあります。

ミントとワイルドストロベリー
同じく、葉色の変化を取り入れながら、収穫に便利な組み合わせで。
ワイルドストロベリーは年中収穫可能なイチゴ。小さな粒ですが、味が濃く、香りが豊かなのが特徴です。

また、目で癒されたい……という方には、ラベンダーや、ヘリオトロープがおすすめです。ラベンダーは、香りが一番良いとされるイングリッシュラベンダーのほかにも、暑い夏でも栽培可能な品種が増えました。葉っぱに触れると香る植物ですが、花が咲いてきたら花を収穫して切り花で楽しむことをおすすめします。窓際に切り花を置けば、見た目にも涼しげな花色が、窓から入る香りとともに穏やかな時間を過ごすお手伝いをしてくれるはず。

ミントとラベンダーとタイムの切り花

暮らしにハーブを取り入れて、暮らしに彩りを

お料理のバリエーションや暮らしの知恵として加えたり……。いろいろな目線で日常の中にハーブを取り入れて楽しんでみてください。使いきれない不安や、栽培のハードルを感じるハーブですが、夏は暑さが手伝って栽培しやすいタイミングです。親しい人たちと過ごす時間が増える時期、暮らしに彩りを与えるハーブ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

フェンネルとイタリアンパセリと
いつものサラダに、育てたイタリアンパセリとフェンネルを刻んでクリームチーズに混ぜ込んで保存可能に。バケットに塗って手軽に楽しめるおつまみにおすすめ!
撮影協力/花のワルツ

杉井 志織(すぎい・しおり)
1972年生まれ、埼玉県出身。建築の専門学校を卒業後、フラワースクールで植物の生態やアレンジメント、花屋運営のノウハウなどを学ぶ。現在は、ガーデニングや花壇ボランティア運営の指導、イベント装飾、執筆活動の他、NHK『趣味の園芸』へ出演する等、各メディアで幅広く活動中。上海花卉博覧会(10th CHINA FLOWER EXPO)海外招待ガーデナー・最優秀設計賞受賞。

杉井志織さんのインタビュー記事はこちら

 

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