もうすぐ母の日! 母親をイメージした植物の花選びが今年流
母の日は赤いカーネーションを贈る日です。鉢花のカーネーションは、長く鑑賞できるメリットがあるからか、育て上手の「母」へ感謝の気持ちを込めてなのか花色も増え、目移りするほどの品種が店頭を賑わせます。またガーデニングブームもあり、カーネーション以外の鉢花やハーブの寄せ植えなど、母親をイメージした植物の花選びが主流となってきているのではないでしょうか。
とはいえ、植物を育て上手な母親ばかりでもなく、「もらったけれど、どうしましょう……」と育てるのに困る母親も多いはず! 今回はそんな母親の目線に立ち、お子さんからの母親への気遣いをプレッシャーに感じることなく、気軽に楽しみながら取り組めるお花との付き合い方をご紹介します。
日当たりの良い場所や屋外の日陰。管理は花の性質に合わせた場所で
まずは、カーネーションの鉢物をいただいたら、素敵なラッピングを外し、必ず外の直射日光がよく当たる場所で管理します。蕾が全部花を咲かせるためには、お日様の力が必要です。よく聞くのが、水をかけても葉が黄色くなり、蕾が萎んで茶色くなってきました……というお悩み。こんな症状になるのは、室内でラッピングをしたままの状態で水やりをしていることが原因の場合が多いので、屋外で管理しましょう。同じく日当たりの良い屋外で管理できるのがバラの鉢物。真っ赤なミニバラやピンクの中輪咲き品種などをいただいても同じ様に管理してください。
室内でしばらく鑑賞できるのは、アジサイの類です。花の大きさや花色の種類が多く、打ち上げ花火が開いた様なガクアジサイなど、見応えある花の大きさと、鉢サイズのバリエーションも豊富です。アジサイは、少し日陰で育てます。壁前や軒下など、直射日光が当たらない場所が好ましいです。2週間ぐらいでしたら、室内の明るい窓辺で管理することも可能ですが、基本的には、屋外の日陰で管理します。
アジサイは、今年限りの開花ではなく毎年花を咲かせる楽しみもあります。毬状に咲く種類のアジサイは、日陰から軒下などの明るい日陰までの範囲で育てることができます。
他に、夜空に広がる打ち上げ花火の様に広がるガクアジサイは、もともとの自生地が斜面などの日当たりが良い場所になりますので、直射日光が当たる場所、または軒下などの明るい日陰で管理します。 アジサイの学名のハイドランジアという名前には、水と容器という意味が含まれています。学名からも察する様に、水が大好きな植物です。なので、手元にきたアジサイは素敵なラッピングを外し、外にだしてお水をたっぷり施します。花屋さんで並んでいる時は、水を少し切らし気味で販売することが多いです。持ち帰り時に少しでも軽く……という配慮なのですが、家に着いてからはたっぷり根の隅々まで水が吸える様にすると、葉っぱも花もハリのある姿になります。
多様な鉢カバーの活用と1輪挿しで異なる雰囲気を楽しむ
水をたっぷり施したら、日陰の場所か、少し明るい日陰か……花の形で置き場を考えます。置き場が決まれば、次は飾り方です。今年はぜひ置き場も含めて素敵に飾る楽しみ方にチャレンジしてください。プラスチックの容器で鑑賞するのは味気ないものですので、鉢カバーを利用します。鉢カバーになればなんでも良く、アンティーク調のバケツを使えば、カントリー風に。ポップな感じに見せるなら、カラフルなバケツがおすすめです。カゴなどを活用する時は、受け皿をかごの内側に入れると、すっきりとして、バランスよく飾ることができます。
水が漏れなければ置き場を汚す心配はありません。アジサイ以外の鉢花も、鉢カバーを活用して雰囲気作りを楽しむのがおすすめです。開花期間中、蕾まで全部咲かせたい時は、液体の肥料を規定量よりさらに薄めて水やりの頻度で施すようにします。微量の栄養素を頻度高く与える方法です。人間で例えると、バランスの良い食事を3度きちんと食べるというイメージ。
花のピークがきたら早めに摘み取り、室内で楽しむ方法もあります。好きな1輪挿しなどを活用して飾れば、外とは異なる雰囲気を楽しむことができます。
寄せ植えなら同じ環境を好む植物と。地植えにして景色として楽しむのもおすすめ
寄せ植えで育てる時は、同じ環境を好む植物と合わせれば鑑賞期間を長く楽しめます。毬状のアジサイであれば、ツワブキや、ナルコユリなどの日陰を好む植物で、葉色に模様がある種類と寄せ植えにすれば、花が終わっても華やかさを楽しむことができます。ガクアジサイの種類だったら、ベゴニアやインパチェンスなどの少し明るい日陰を好む1年草と合わせれば、花色が楽しめて管理しやすい寄せ植えができます。
また、カーネーションやミニバラなどの日当たり好きな植物は、同じ環境を好む草花と寄せ植えにするか、地植えにして景色として楽しむことをおすすめします。
一通り花を楽しんで、天気予報の梅雨入りの声を聞いたら、草丈の半分を残して切り戻します。株の中心部までお日様が当たるようになれば、新しい芽が伸び枝数も増えます。枝数を増やし、来年の春にたくさんの花が咲くように、粒タイプの肥料を施します。
「育てる」プレッシャーも感じますが、子育て同様、育てているつもりが育てられていることにも気が付く母親も多いはず。日頃の感謝の言葉を聞きながら、母親として育ててくれた周りの環境にも感謝をしたい母の日。母親としても、いろいろな状況に感謝をしながら、「ありがとう」の華を咲かせねば! と想うことでしょう。
杉井 志織(すぎい・しおり)
1972年生まれ、埼玉県出身。建築の専門学校を卒業後、フラワースクールで植物の生態やアレンジメント、花屋運営のノウハウなどを学ぶ。現在は、ガーデニングや花壇ボランティア運営の指導、イベント装飾、執筆活動の他、NHK『趣味の園芸』へ出演する等、各メディアで幅広く活動中。上海花卉博覧会(10th CHINA FLOWER EXPO)海外招待ガーデナー・最優秀設計賞受賞。