健康であるために、さまざまな健康法を日常的に取り入れている方も多いことでしょう。でも、その健康法は本当に効果的なのでしょうか。日進月歩で研究が進められる医療業界では、これまで常識と信じられていたものが、ある日、180度変わることもあります。
何が本当なのか、最新の常識は何なのか、素人にはなかなかわかりません。そこで今回は、専門の医師たちが新しい健康常識を、最新の知見とともに解説してくれる『医者が教える健康の新常識 ここまで変わった50のこと』(宝島社)から、「食事」に関する新しい“健康常識”をご紹介します。
「食事」の監修者である栗原毅医師は、「血糖値の上昇を抑える食生活が健康の基本」と言います。食生活を見直して、健康な体を取り戻しましょう。
栗原毅(くりはら・たけし)
栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士、日本肝臓学会専門医、日本内科学会認定医、日本未病システム学会認定医等。
1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。前東京女子医科大学教授、前慶應義塾大学大学院教授。治療だけでなく予防にも力を入れている。「血液サラサラ」を命名したひとり。『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯 血液のおそうじスープ』(アスコム)、『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文芸社)など監修書・著書多数。
大間違い1:酒を飲む人は脂肪肝になりやすい
新常識:適量の酒は脂肪肝や心臓病を抑制する
二日酔いになるような深酒や長期にわたる過度の飲酒が健康に悪いのは当然です。脂肪肝になり、肝硬変やがんになるリスクが高まります。しかし1日2合程度なら、脂肪肝や心臓病のリスクを高める中性脂肪の上昇を抑えます。
むしろ酒のつまみが問題です。酒量が適量でも糖質が多いつまみを食べることで、肝臓に負担がかかります。
「すぐに出るつまみだということで、糖質が多いポテトサラダやフライドポテトなどを頼むのをやめましょう。逆にカロリーが高いからと敬遠される鶏のから揚げは糖質が少ないのでおすすめです。大量に食べれば別ですが、普通の量なら太りません」(栗原医師)
糖質が少ないからとハイボールを頼んだり、蒸留酒にこだわるよりも、酒量はほどほどにして好きな酒を飲むほうがいいとのこと。
「糖質ゼロや糖質の少ないビールが出ていますので、それもいいですが、飲んでもいいビールの量は缶ビール2本分ほどです。それなら好きなビールを飲み、つまみで糖質を調整したほうがストレスにならなくていいと思いますね」(栗原医師)
栗原医師comment:1日に日本酒換算で2合までなら、肝臓や心臓の働きを良くする作用も
大間違い2:疲れた時は甘いものを思いきり食べる
新常識:血糖値の乱高下は疲労の原因に
疲れたら甘いものを食べたくなります。頭や体を働かせると血糖値が下がり、脳や体の栄養が不足して、体がだるくなり眠くなってきます。糖分はすぐにエネルギーとして利用できますし、脳はブドウ糖しか栄養として使わないので、甘いものを食べて血糖値が上がると元気になります。
疲れた時に甘いものは間違いではないのですが、問題は量です。下がった血糖値を正常値に戻すところで終わればいいのですが、甘いものをとり過ぎると今度は血糖値が上がり過ぎてしまいます。糖はすぐに消費されるため、血糖値が急降下します。これは「血糖値スパイク」と呼ばれ、血管にダメージを与え、イライラや疲労感の原因にもなります。疲労回復のために甘いものを食べても、食べ過ぎると逆に疲れてしまうのです。
甘いものに頼らず、温かいお茶やコーヒーで神経を休めてはいかがでしょうか。こうした飲み物には活性酸素を減らす作用があり、疲労を軽減します。飲み物でお腹が温かくなると副交感神経が活発になって、体はリラックスモードに。心身が癒やされます。
栗原医師comment:食べ過ぎて血糖値が急上昇すると、急降下が起こりストレスが生じます
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医者が教える健康の新常識 ここまで変わった50のこと
監修/栗原毅、桑満おさむ、久保明
宝島社 891円