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いつもトイレに行きたくなる、夜中にトイレのために何度も起きてしまう……。そんな尿の悩みを多くの女性が抱えています。株式会社山田養蜂場が行なった「女性の健康に関する意識調査」によると、30~40代の5人に1人が、尿トラブルを抱えていることが判明しました。尿トラブルは「尿もれ」「頻尿」「膀胱炎」「残尿感」の4つに大きく分けられ、その中で日常生活に大きな支障をきたすのが頻尿です。一般的には朝起きてから夜寝るまでに8回以上トイレに行くと頻尿にあたるものの、8回以下でも自分で多いと感じる人は頻尿に当てはまる可能性があると言われています。

そんな頻尿ですが、日頃の生活習慣を心がけることで改善が期待できます。頻尿は悩み始めたときが対策を始めるタイミングと言われており、対策次第では75歳までは改善の可能性が高いとのこと。そこで、今回は自分で始められる尿トラブルとの向き合い方について、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生にお話を伺いました。

頻尿の原因は膀胱の柔軟性と関係があった

頻尿の主な原因は、「過活動膀胱」と言われています。

石原先生(以下名称略)「過活動膀胱とは、尿をためる膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていなくても本人の意思とは関係なく、膀胱が収縮し急に尿意をもよおしたり、何度もトイレに行きたくなる症状を指します。原因はさまざまあり、神経系の疾患をはじめ、日中のストレスや膀胱炎などの炎症、骨盤底筋のゆるみなど筋力の低下からも引き起こされることがわかっています」

また、頻尿の中で最も多いのが「夜間頻尿」です。夜間頻尿は悩み始めたときが対策を始めるタイミングと言われており、原因として過活動膀胱や睡眠障害のほかに夜間多尿が起因しているとのこと。夜間多尿とは、夜寝ている間に尿の量が増える状態のことを指し、生活習慣病のある人が夜間頻尿になりやすいと言われています。

「夜間頻尿の原因は、主に3つに分けられます。

1.昼夜あるいは夜間の尿量の増加(多尿、夜間多尿)
日中に摂った水分が日中に排出しきれないことです。また水分をたくさん摂る人も該当するため、水分の摂り方に注意が必要です。
塩分の多い食事は喉がかわき、水分をたくさん摂ってしまう原因に。また、野菜に多いカリウムは利尿作用があるので、夕食の野菜の量も関係します。

2.膀胱の容量の減少(蓄尿障害)
加齢に伴うことが多いです。加齢により収縮力や尿を保持する蓄尿機能が低下してきます。生活習慣が乱れていたり、膀胱炎などを起こしやすい、いわゆる炎症を起こしやすい方はとくに線維化が加速し、症状が出やすいと考えられています。

3.睡眠の障害(睡眠障害に伴う夜間多尿、夜間頻尿)
うつ病やパーキンソン病といった病気などからの不眠によっても、多尿や頻尿が起こります。また高齢者は眠りが浅いので過度に尿意を意識してしまい、トイレに何度も行ってしまうことも多いです。
睡眠中には脳下垂体から抗利尿ホルモンが分泌されることにより夜間の尿量を調節しますが、加齢に伴い分泌が悪くなることで夜間の尿量が増えてしまうこともあります」

セルフで始められる尿トラブル症状のケア方法

ここからは石原先生にセルフケアの方法を伺います。

下半身の筋肉を落とさない

「下半身の運動を意識した対策を行なうといいでしょう。夕方に運動をすることで下半身(腎臓、膀胱など)の血流が良くなり、下半身に溜まった水分が血管にもどるので寝る前までに尿量が増えて、夜間頻尿の予防になります。下半身の運動は、例えば、ウオーキングを1日20~30分といった軽い運動から継続していきましょう」

冬に限らず、お腹周りを温めること

「物理的にお腹周りを温めることも大切です。腹巻きなどをすることで臓器の血流が良くなり、働きを良くしてくれます。
また、入浴の時間も重要です。入浴は下半身の血流を促し、お風呂から寝るまでの間の尿量を増やしてくれるため、寝る3時間前くらいに入っておくのがいいでしょう」

利尿作用のあるものや塩分を控える

「食事面では、利尿作用があるカフェインやアルコール、人工甘味料を控えることが大切です。また、塩分やカリウムの摂取量を減らすことで排尿の回数が減ることがわかっているため、食事のとり方にも注意してください。

女性に多い便秘ですが、便秘も尿漏れの原因となる場合があるので、水溶性食物繊維を多く含む根菜を摂取することを意識してみてください。

他にも、日々の生活においてストレスや不摂生によって膀胱炎などの炎症を繰り返す人は尿トラブルが起こりやすいです。普段から再発性細菌性膀胱炎に研究成果があるクランベリーや抗菌・抗酸化作用があるプロポリスをサプリメントなどで摂取するのもおすすめです」

ストレスを溜めない

「頻尿の対策には、ストレスを溜めないことも大切です。ストレスから頻尿を引き起こす心因性頻尿というものもあります。

また、『外出先にトイレが無かったら』『電車に乗っているときにトイレに行きたくなったら』といった不安から頻尿になってしまう場合も多くあります」

膀胱トレーニングをする

「頻尿の対策には、膀胱トレーニングなども有効です。膀胱トレーニングの方法は、尿意を感じてから5分程度我慢し、だんだん時間を伸ばしていきます。トレーニングをすることで自分の意思で排尿をコントロールできるようになります。

頻尿の対策には、尿漏れパッドや尿漏れパンツを活用するといった方法もあります。うまく利用することでストレスを防ぐことにもなります」

* * *

最後に、石原先生は「尿トラブルは年代毎では40~50代は尿漏れ中心、70~80代になると頻尿(特に夜間)が増える傾向にあります。決して『高齢者の悩みではない』」と言います。

早いうちからしっかりと頻尿対策することで、症状の改善が見込めます。運動をすることや、栄養素をしっかりと摂取することを心がけ、血流を良くすることが尿トラブルの改善につながります。ぜひ意識して行なってみてください。

イシハラクリニック副院長石原新菜(いしはらにいな)先生
ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、フェムテック・ジャパン理事。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『やせる 不調が冷える 読む冷えとり』等70冊を数える。監修した書籍を含めると100冊を超え、韓国、香港、台湾、ベトナムでも翻訳され出版されている。

文/ふじのあやこ

 

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