痩せにくくなった、腰や膝の痛みが消えない、転びやすくなったなど、年齢を重ねるとともにからだの衰えを感じることは多いと思います。「もう年だから仕方ない」と思っていませんか。
「諦めるのはまだ早い! 筋肉は何歳からでも鍛えることができます」と教えてくれたのは、体幹トレーニングの第一人者で、トップアスリートからの信頼も厚い木場克己さん。からだを支える根幹である体幹を整えるだけで、からだそのものが変わると言います。
今回は木場さんの著書『長生きの秘訣は体幹にありました』(宝島社)から、老け見えの原因のひとつである悪い姿勢についてご紹介します。いつも自分はどんな姿勢をしているのか思い出しながら、参考にしてみてください。
文/木場克己
老け見え悪姿勢1「頭下がり」
・頭が前に出ている
・お腹に力が入っていない
・首のカーブがなくなり直線的に
首の過緊張で頭痛、肩こり、猫背を引き起こす
スマートフォンの普及で急増しているのが“頭下がり”という姿勢。小さな画面を覗き込むために頭が前に出て、首の後ろの筋肉が引っ張られて、緊張状態に。頭の重さは約5kg。それを細い首の筋肉だけで支えているわけですから、その負担はかなりのものです。頭が下がった姿勢が癖になってしまうと、緊張による筋肉のこわばりから、血流が悪くなって頭痛や肩こり、首の寝違えなども起こりやすくなります。また、腹圧が弱くなって猫背や腰痛などの原因になることも。
老け見え悪姿勢2「猫背」
・背中がだらしなく曲がっている
・お腹が圧迫され、腰に負担がかかる
慢性疲労や免疫力低下、あらゆる不調の原因に
背中が猫のように丸まってしまう猫背は悪しき姿勢の代表です。もし、猫背でいるほうがラクという人がいたら要注意。猫背に慣れているということは、正しい姿勢を保つためのお腹周りの筋肉がいっさい使われていない状態で、筋力がどんどん低下していきます。体を圧迫する姿勢なので、全身に負担をかけて目の疲れ、肩こり、腰痛、便秘、自律神経の乱れなどを引き起こします。猫背は万病の元なのです。
老け見え悪姿勢3「反り腰」
・胸を張りすぎている肩が下がっている
・お腹が前に突き出ている
・腰が極端に反っている
慢性の腰痛を招きスタイルを悪く見せる
一見、姿勢よく見えるけれど実は悪い姿勢になってしまっているのが反り腰です。腰を極端に反らせてしまうので、骨盤をゆがませる原因になります。この反り腰は、姿勢を維持する筋肉が衰えているために、骨盤が前に傾いている状態。正しい姿勢なら骨盤内におさまっている内臓が、傾くことで前にせり出し、それを支えようとするために反り腰が起きます。靴を脱いで壁に頭・背中・お尻を壁につけるように立って、壁と腰のすき間に握りこぶし1個分が入ると反り腰の傾向があります。
老け見え悪姿勢4「脚を組む」
・肩が下がっている
・お腹に力が入っていない
・太ももが浮いている
体をガタガタにする無意識の習慣
脚を組まないと落ち着かない人は、体がゆがんでいる証拠。脚を組むと、下になっている脚に重心が偏って臀部の筋肉が圧迫され、筋力や柔軟性もアンバランスが起き、骨盤も傾いていきます。骨や筋肉で複雑に連結している全身。骨盤が傾いた状態で頭や上体を支えようとすることで、どんどんゆがみ、嚙み合わせの悪さ、頭痛、肩こり、腰痛といった全身の不調を引き起こします。無意識に脚を組むのはゆがんだ体を安定させるため。たれ尻や脚が太くなるなど、体形の崩れも招くので今すぐやめましょう。
* * *
『長生きの秘訣は体幹にありました』(木場克己 著)
宝島社
木場克己(こば・かつみ)
1965年生まれ。鹿児島県出身。一般社団法人JAPAN体幹バランス指導者協会会長。柔道整復師・鍼灸師・健康運動指導士・日本体育協会アスレティックトレーナー。体幹トレーニング第一人者としてKOBA☆トレを確立する。サッカー、水泳、陸上など、あらゆる競技の名だたるトップアスリートのトレーナーほか、有名アーティストのサポートも務める。多くのテレビ出演、雑誌メディアでも活躍。企業での健康講演会、教育現場での体育指導など幅広い分野で健康を広める活動を行っている。また、体幹トレーニング関連書籍は子ども向け、アスリート向け、女性の美BODYづくり、健康年齢についてほか、あらゆる年齢層に向けた分野で監修。その数は50冊以上、累計発行部数は230万部を突破。