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慢性の頭痛や月経痛、むくみ、だるさなど原因不明の不調を訴える女性が増えています。薬を飲んでも改善しないその不調の原因は病気ではなく、実は栄養失調なんだとか。飽食の現代において栄養失調とは驚きですが、極端な食事の偏りにより、からだが最適な状態を保てないことも栄養失調なのです。

医学的根拠に基づいた食事法「栄養療法」で、延べ500人以上の患者を救ってきた梶の木内科医院の梶尚志院長による『え、私って、栄養失調だったの? その不調は病気でなく状態です!(みらいパブリッシング)』から、からだの状態を改善させる、実践方法をご紹介します。「脱」栄養失調できるレシピにも注目です。

文/梶尚志

むくみ:〇〇不足が原因!? 毎朝食べるといいのは?

むくみの原因を言及するのはなかなか難しいです。まずはかかりつけの医療機関で心臓病や腎臓病、甲状腺などの病気がないか診てもらいましょう。これらの病気の症状として、むくむ場合があります。それらが問題ないとしたら……。一番の原因はタンパク質不足でしょう。血液中にタンパク質が足りないと、血管の内側の水分が血管の外に出てしまい、むくみの原因になります。解決するにはここでもタンパク質です。タンパク質を三食食べるようにしましょう。特に動物性のタンパク質、肉か魚は毎食摂るように心がけてくださいね。

タンパク質が多いと水分をしっかりキープできるが、
少ないとキープできない!

解消レシピ:まぐろの長芋のせ

【材料(2人分)】
・まぐろの刺身:1パック(130g)
・長芋:80g 
・水菜:1束
・かつお節:適量
・醤油:お好みで

【作り方】
1.まぐろの刺身をお皿に並べる。
2.長芋は細く切り、水菜は食べやすい長さに切り、お皿にのせる。
3.かつお節をかける。
4.お好みでお醤油をつけて食べる。

イライラ・不眠・うつ:アレの過剰摂取が、ストレスのもとだった!

女性のメンタル不調の原因はいくつかあるものの、なんといっても、幸せホルモンが足りなくなることです。幸せホルモンを造るために大切な栄養素は、ビタミンB群、鉄、ビタミンDで、もう一つ大事な栄養素を付け加えると、それは脂質です。また、糖質の過剰摂取はメンタルに悪影響を及ぼします。糖質を摂りすぎて血糖値が上がると、からだはその反動で血糖値を急いで下げようとします。そうすると今度は低血糖状態になります。からだにとって低血糖状態は好ましくないので、次は急いで血糖値を上げようとするわけですが、その際に、血糖値を下げるインスリンの効果を打ち消すために、ストレスホルモンであるアドレナリンを放出します。このアドレナリンが不安感やイライラ感の原因となります。ですから、幸せホルモンを多く造ることができるように、ビタミンB群とビタミンD、そして鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂りつつ、糖質の摂りすぎに注意してください。

解消レシピ:しめじとふわふわ卵のマヨ炒め

【材料(2人分)】
・しめじ:1パック
・卵:2個
・むき枝豆(冷凍):25g 
・マヨネーズ:大さじ2
・塩・こしょう:お好みで

【作り方】
1.しめじは石づきを取り、ほぐしておく。
2.フライパンにマヨネーズとしめじを入れて、しんなりするまで炒める。
3.炒めたしめじを端に寄せて、溶き卵を流し入れ炒り卵を作る。
4.枝豆を入れて全体を混ぜる。
5.お好みで、塩・こしょうで味を調える。

冷え症・肩こり・頭痛・めまい・動悸・息切れ:原因はたった一つの〇〇不足

これらの原因で一番多いのは鉄不足です。鉄は、細胞内にあるミトコンドリアのはたらきを強くします。ミトコンドリアは私たちのからだを動かすエンジンのような役割を務めています。ミトコンドリアでのエネルギー産生量が少ないと冷え症になります。また、鉄が少ないということは、品質の良い赤血球が造れない、ということになります。品質の悪い赤血球は酸素を運ぶ能力が低いため、脳が、いわゆる酸欠状態になり、頭痛が起きるのです。足りない酸素を全身に一生懸命送ろうとして、動悸・息切れの原因にもなります。すべて、鉄不足による酸欠の症状です。
鉄不足を解消するにはいくつかポイントがあります。

(1)鉄が豊富に含まれる食品を摂取する
具体的には、レバーや赤身の肉、貝類、豆類、ひじき、昆布などがお勧めです。

(2)ビタミンCを多く摂取する
ビタミンCをたくさん摂取すると、鉄の吸収率が高まります。例えば、柑橘類やトマト、パプリカ、ブロッコリー、いちごなどがあげられます。鉄を豊富に含む食品と合わせて摂取することで、鉄の吸収を効果的に促すことができます。
(3)鉄の吸収を妨げる成分を控える
カルシウムやタンニンなどの成分は、鉄の吸収を妨げる作用があります。これらの成分を含む、例えばコーヒー、紅茶、お茶などと、鉄を一緒に摂取すると、鉄の吸収率が低下してしまいます。したがって、鉄を豊富に含む食品と一緒に、カルシウムやタンニンを含む食品を摂取するのはなるべく控えるように心がけることが大切です。

解消レシピ:さばの味噌煮

【材料(2人分)】
・さばの水煮:2缶
・味噌:大さじ2
・砂糖(糖質制限ではラカントS):大さじ2
・みりん:大さじ1
・ねぎ(白い部分):1本
・おろししょうが(たれ用):小さじ1~2(しょうがチューブで代用可) 
・しょうが(トッピング用):適量

【作り方】
1.ねぎは3cmほどの長さに切る。しょうがはすりおろしたものと、トッピング用に千切りにしておく。
2.フライパンにねぎ、さば缶を煮汁ごと入れて火にかける。
3.温まったら調味料とおろししょうがを溶かし入れ、煮汁をさばにかけながら煮詰める。(煮汁がとろとろになるまでが目安!)
4.盛りつけて、千切りのしょうがをのせる。

便秘・下痢:腸内環境を整える三つの大切なルールとは

便秘や下痢の原因は、腸内環境の乱れから起こると考えています。腸内の環境が悪く炎症が起こっていると、水分を吸収する機能が弱まって、下痢になったり、逆に水分のない硬い便になってしまったりするのです。腸内環境を整えているのは善玉菌なので、しっかり増やしてあげることをすればいいわけです。ですから、便秘や下痢の解消方法は、

(1)食物繊維を摂取する
野菜や果物、穀物などに豊富に含まれる食物繊維が、腸内細菌である善玉菌のエサになって、便の量が増え、排便がスムーズになります。特に、水溶性食物繊維は腸内で水分を吸収し、便を柔らかくする効果があります。オートミールやりんご、にんじんなどが良いでしょう。

(2)乳製品と小麦製品をやめる
腸管粘膜を痛める乳製品や小麦製品はやめましょう。

(3)水分をしっかり摂る
水分不足になると便が硬くなり、排便が困難になることがあります。また、下痢の時は水分や栄養素が失われるため、こまめに水分を補給するようにしましょう。1日に1.5~2リットル程度の水分を摂るよう心がけるといいでしょう。

解消レシピ:豆腐ハンバーグ

【材料(2人分:4個)】
・☆木綿豆腐:1/2丁(160g)
・☆豚ひき肉:1パック(120g)
・☆玉ねぎ:1/2個(80g)
・☆卵:1個
・☆おからパウダー:大さじ2
・☆塩・こしょう:適量

<きのこソース>
・バター:20g
・えのき:1/3房(30g)
・しめじ:1/2房(50g)
・ぽん酢:大さじ3

・小ねぎ:適量

【作り方】
1.木綿豆腐はレンジで3分ほど温めて水分を抜く。
2.玉ねぎはみじん切りにする。☆を全体が混ざるように混ぜる。
3.形を整えてフライパンでじっくり両面焼く。(油はひかなくてもOK)
4.ソースを作る。えのきは2cmほどに切る。しめじは石づきを取ってほぐしておく。フライパンにバターをひいて、えのきとしめじを炒める。火が通ったらぽん酢を加え全体を混ぜる。
5.ハンバーグに、きのこソースをかけて小ねぎを散らす。

*  *  *

え、私って、栄養失調だったの?
その不調は病気でなく状態です!


著者/梶尚志
みらいパブリッシング 1,540円

梶尚志(かじ・たかし)
梶の木内科医院院長。栄養療法実践医。
1989年、富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。2000年、岐阜県可児市に梶の木内科医院開設。年間約5万人の患者を診察する中で、通常の診察では解決できない不調が多いことに危機感を感じ、改善策を模索。分子整合栄養医学との出会いをきっかけに、不調の原因が栄養状態にあることを確信する。以来、栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行い、不調の改善に取り組んでいる。

 

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