低い温度でじっくり火を入れることで、お肉や魚を柔らかくできる低温調理器。火を使わないので安全で、長時間調理でもつきっきりになる必要がなく、機器任せでよいなど、思った以上に使いやすいと人気があがっています。
誰でも美味しく簡単に、さまざまな調理が可能な低温調理器ですが、更に美味しくできる方法を提案してくれるのが『一流シェフの低温調理器レシピ』(世界文化社)。日本を代表する、野崎洋光(日本料理)、脇屋友詞(中国料理)、日高良実(イタリア料理)、高良康之(フランス料理)の4人による低温調理専門のレシピブックです。
※野崎さんの「崎」は正しくは「たつさき」、高良さんの「高」は正しくは「はしごだか」です。
今回は、日高良実シェフによる「濃厚カルボナーラソース」と「骨付き仔羊肉のグリル」のレシピをご紹介します。
しっとり仕上がるお肉料理や、とろんとした食感の魚料理など、レストランのような味を簡単に楽しめる低温調理器を使って、レパートリーを広げてみませんか。
【イタリア料理】日高良実(ひだかよしみ)
「オリーブ油やハーブを使ってシンプルに仕上げるイタリアンと低温調理は相性がとてもいいですね。肉や魚料理はもちろん、パスタのソースやドルチェなど毎日作りたいレシピを紹介します」
東京・外苑前「リストランテ アクアパッツァ」オーナーシェフ。イタリアンの真価は郷土料理にこそあり! と南イタリアで出会った料理名を店名に掲げる。YouTube「日高良実のACQUA PAZZA チャンネル」では毎週金曜日に料理動画をアップ。おうちイタリアンの伝道師として大活躍。
濃厚カルボナーラソース
【材料】(2人分)
卵黄…4個分
生クリーム(乳脂肪分42%)…60ml
パルミジャーノ(粉末)…80g
E.V.オリーブ油…20ml
パンチェッタ(棒切り)…60g
水…80ml
スパゲッティーニ…180g
パスタをゆでる水…2L、塩…20g
黒粒こしょう、パルミジャーノ(粉末)…各適量
1.下ごしらえ
1.卵黄、生クリーム、パルミジャーノをボウルに入れ、混ぜ合わせる。
2.フライパンにオリーブ油とパンチェッタを入れて中火にかけ、熱くなったら弱火にして脂分を溶かし出すように炒める。脂身が透き通ってきたら水を加えて焼き汁の旨みを溶かし、火を止める(A)。
3.【2】を焼き汁ごと【1】に加えて混ぜ合わせ(B)、食品用耐熱袋に入れる。
2.低温調理
低温調理の水槽を70度に予熱する。水温が目標温度に達したら、ソースの入った袋を水槽に沈め、水圧法で脱気。封をして15分調理する(C)。
3.仕上げ
1.袋を湯から取り出す。
2.スパゲッティーニを塩を加えた湯で7分ゆでる。湯をきり、【1】のソースで和えて器に盛り、粗く砕いた黒こしょうをふる。好みでパルミジャーノをふってもよい。
◆保存は袋のまま氷水で冷却後、冷蔵室で2〜3日、チルド室で4〜5日、冷凍は不可。リヒート(70度10分)して用いる。
骨付き仔羊肉のグリル
仔羊ロース肉の目指す火入れは、ロゼ色の切り口。骨2本分の塊で70度30分の低温調理にかけると、中心温度は63度に。この段階で引きあげ、表面を香ばしく焼けば、骨1本単位に切り分けた時に柔らかなロゼ色の断面が現れます。付け合わせのグリーンピースも冷凍品を低温調理すると、豆の風味の濃いおいしい煮込みに。
【材料】(2人分)
仔羊ロース肉(骨付き)…200g
塩…適量
ローズマリー…2枝
にんにく(皮付き)…1片
E.V.オリーブ油…適量
【カッチャトーラソース】
にんにく(みじん切り)…3g
アンチョビ…2枚
ローズマリー(みじん切り)…1枝分
白ワインヴィネガー…20ml
E.V.オリーブ油…5ml
1.下ごしらえ
1.仔羊ロース肉の外側の脂身に、包丁で細かく格子状の切り目を入れる(A)。
2.【1】の両面に塩をふり、ローズマリー、にんにくと共に食品用耐熱袋に入れる(B)。
2.低温調理
低温調理の水槽を70度に予熱する。水温が目標温度に達したら、仔羊肉の入った袋を水槽に沈め、水圧法で脱気。封をして30分調理する(C)。
3.仕上げ
1.袋を湯から取り出し、仔羊肉の水気をキッチンペーパーで拭く(D)。フライパンにオリーブ油をひいて中火にかけ、仔羊肉、ローズマリー、にんにくを入れる。最初に脂の面をしっかり焼いて脂を落とし、残りの面も順に香ばしく焼く(E)。骨1本ずつに切り分けて器に盛る。
2.【1】のフライパンの油脂を捨て、カッチャトーラソースのにんにく、アンチョビ、ローズマリーを入れて炒め、香りが出たら白ワインヴィネガーを加えて沸かす。最後にオリーブ油を混ぜる。
3.仔羊肉に【2】のソースをかける。
付け合わせ
お好みで低温調理したグリーンピースの煮込み。
◆すぐに仕上げない場合、保存は袋のまま氷水で冷却後(F)、冷蔵室で2〜3日、チルド室で4〜5日、冷凍で1か月。リヒート(70度約20分)して用いる。
撮影/西山 航
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