とくに理由があるわけでもないのに、なんだか疲れる、やる気が起きない。そうした、病気というほどではない「からだや心の不調」を自分で整えられたら、もっと毎日が過ごしやすくなると思いませんか。
そこで、今月から毎月1回、久保奈穂実さんの著書『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』より、日々のちょっとした不調におすすめの、セルフケアや養生レシピをご紹介します。SNSでも大人気の漢方アドバイザー、久保奈穂実さんは子供のころは胃腸が弱く、アトピー性皮膚炎で悩まされていたそうです。そんな自身の過去の体験や、年間約2000人という漢方相談を受けた知見をもとに、「これならできそう」と思えるような優しい養生法をまとめています。
6月は梅雨に入ることで起きる不調を和らげるアイデアをご紹介します。小さなことからはじめる“おおらか漢方生活”。お花に水をあげるように、自分のからだや心を少し労わってみませんか。
文/久保奈穂実
芒種の日。体の水はけをよくしよう
6 月6〜20日頃は、二十四節気では、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔くのによいとされる「芒種(ぼうしゅ)」の時期。例年、梅雨入りを迎えて、湿度が高くなる頃です。体に余計な湿気がたまる湿邪(しつじゃ)の影響で、むくみ、だるさ、お腹の不調、皮膚症状の悪化が出始めます。
対策としては、豆類や、はとむぎ、とうもろこしなど、胃腸を元気にして、余分な水分を排出する食べ物を意識してとりましょう。適度に体を動かして汗をかき、体の水はけをよくすることも心がけて。
胃腸が弱ると口の中を噛みやすい
舌やほっぺの内側など、口の中を噛みやすいとき、ありませんか?
これは、胃腸が弱って水分代謝が悪い状態、もしくは体や脳が疲れている状態と考えられます。胃腸が弱ると口の中を噛みやすいため、口内炎もできやすくなります。
ぶつけた覚えがないのに、あちこちにあざができている。買い物袋を腕にかけていただけであざができる。これらも、胃腸が弱っているサイン。梅雨どきは、味の濃いもの、脂っこいもの、甘いものを控えて胃腸を休めてあげましょう。
雨の日頭痛には豆もやしと塩昆布
雨の日に出やすい頭痛は、体にたまった湿の影響かもしれません。体に湿がたまっていると、雨など外からの湿気の影響を受けて頭痛が悪化してしまうのです。こんなタイプの頭痛には、湿を排出するために「豆もやしの塩昆布和え」を食べましょう。豆もやしにも塩昆布にも、利尿作用と、体の熱を冷ます作用があります。熱がこもるタイプの頭痛や、むくみにも効果的です。
豆もやしの塩昆布和え
1.豆もやしを5分ゆで、水で冷やす。
2.ボウルに水気を切った1を入れ、塩昆布、鶏がらスープ、ごま油を加え、混ぜ合わせる。お好みで醤油少々を足しても。
3.味がなじんだら器に盛り、白ごまを散らす。
ごま油や白ごまは潤い食材なのでちょぴっとに。
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『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(久保奈穂実 著)
世界文化社
久保奈穂実(くぼ・なおみ)
国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人。